「エキサイト公式プラチナブロガー」スタート!

佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/
by higehiro415
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5周年イベント終えて

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5年前の震災後、いろいろと思うところあって組織を飛び出した。やるべきことはたったひとつで迷いはなかった。自分を支えてくれている音楽と仲間に恩返しすること。そして地元に良質な音楽(音)文化を根付かせること。

自分のまわりにいる大好きな素晴らしき本物ミュージシャンの音楽と人柄の魅力を、まだそれに出会っていない人たちにきちんと伝えていき、音楽に携わる裏方だからこそ出来ることを、誇りと信念と夢を持って誠実にやろうと決めたのだ。


悩んだのは屋号だった。個人事業主なので佐藤商店でもヒロサウンドでも何でもよかったのだが、GROOVE COUNCIL(グルーヴ・カウンシル)に決めて税務署に届けを出した。

勝手に師と仰ぐポール・ウェラー率いたスタイル・カウンシルの影響もあるが、さすがに40代後半ともなると自分一人の力では何も成し得ないことを実感していたので、関わる人全員によって成立するCOUNCIL(議会・評議会・審議会)という言葉がしっくりきた。GROOVEは文字通り音楽用語のグルーヴの意味と共に、レコードの溝とか俗語では素敵な経験といった意味もあり、目指すものに一番フィットする気がしたのである。

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グルーヴ感のある素敵な時間をみんなで共有し、レコードの溝のように点ではなく線でつながっていくような、そんなイメージだった。



5年が長かったのか短かったのか考えても答えは出ないが、この5周年企画ライヴを終えた今、少しだけ理想に近づけたのではないかと感じている。でもそれは僕自身の頑張りというよりは、そういう想いを理解して無条件に出演してくれたアーティストの方々、協力してくれたスタッフ達、そして集まってくれた皆さんのお陰だとつくづく感謝しているところだ。本当にありがとうございました。


あのメンバー、スタッフ、お客様だからこそ生まれた奇跡の2夜は、どんなにお金を積んでも得られない宝物のような空間で、音楽愛と人間愛に溢れた極上のグルーヴが充満していたように思う。

偽善や儲けやエゴや名声や、そんなくだらないことなど微塵もない純度100%の聖なる領域。それぞれが日常に戻ってゆく中で、あの空間(時間)が全員の明日への活路となってくれればいいなと切に願う。


さて、ライヴに関してはSNSなどで出演者含め多くの方が感想やリポートを書いてくれているようなので、僕は主催者ならではの裏話や気持ちなどを書こうと思う。あのライヴの様子を言葉で説明するのは、僕の語彙力では到底無理だ。


7/17『スナフキン達のブギー』at CLUB JUNK BOX Sendai

仲井戸”CHABO”麗市/山口洋(HEATWAVE)/古市コータロー(THE COLLECTORS)


3人にイベント出演の声を掛けたのは昨年末だっただろうか。皆すぐに快諾してくれたものの、コータローにとっては憧れの人チャボさん、そしてほぼ同い年とはいえソロシンガーとしての芸歴が長い山ちゃんとの競演は、嬉しいけれど恐縮しちゃう相手だったようだ。チャボさんと山ちゃんはMy Life Is My Messageというイベントで競演しているものの、コータローとは初。こちらも一緒にやりたいけれど客層が違うのは大丈夫かと少し不安にも感じたようである。


僕はといえばそのどちらもまったく気にしなかった。それぞれスタイルは違えど、歌うギタリストという以上に共通する匂いみたいなものを感じていたからだ。それが何なのかはうまく言葉に出来ないが、音楽へ向かう姿勢と心の瞬発力とでも言おうか。優しい男気みたいなものも。そして何より、来てくれるお客さんは3人のお茶目なキャラも含めて気に入ってくれるだろうという確信があった。それはもちろん音楽性やパフォーマンスの質の高さがあってこそだが、それぞれソロでの仕事をさせてもらっていて、直感的にそう思っていたのだ。これまで共演しなかったのが不思議なくらいである。


事前に、何か1曲チャボさんの曲をセッションしてもらえないだろうかとオファーを出した。2曲ピックアップして事務所に伝えていたのだが、7月頭のチャボさんのツアーの最中、本人からこんな話があった。

佐藤ちゃん、せっかくだから3人の曲を1曲ずつやったほうがいいんじゃないかな?彼らが嫌じゃなければだけど、おれはヒロシの曲もコータローの曲も一緒にやりたいな。昨年のコータローBDでやったロックンロールあったじゃん。あとヒロシの満月かなぁ、仙台だし。まぁ2人にちょっと提案してみてよ。


ライヴ会場からすぐに2人に連絡し、3曲のセッションが決まった。コータローの「それだけ」山ちゃんの「満月の夕」チャボさん(RC)の「上を向いて歩こう」。これは考えただけでもあり得ないコラボになると身震いした。


当日だけではリハの時間が足りないだろうということもあり、本番二日前にチャボさんがこのイベントのための一人リハを東京でやるというので、そこに山ちゃんとコータローを招集し音合わせをすることになった。コードや構成の確認をしながらさらっと2回くらいだろうか。もうその時点で涙腺が緩む。

多くの言葉は交わさずとも瞬時に分かり合えるギタリスト魂といおうかロックマナーといおうか。これが本番ではどんなドラマを産むのかがさらに楽しみになったのは言うまでもない。

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チャボさんの事務所社長Eさんが言う。「佐藤ちゃんが5周年記念で作ったトートバッグ、なんか顔に似合わず可愛いデザインだよね。」コータローが返す。「そうなんですよ。彼のセンスはなかなか女子力高いんですよ()

和気あいあいとリハは終わり、記念撮影をして17日の再会を約束する。

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イベント当日はあいにくの曇り空だったが、嵐にさえならなければいいやという気分だ。

これは二日間ともそうだが、出演者に関して音楽的な部分には絶対的な自信があったし、さらにはマインドを共有できる信頼のメンツなので、とにかく無事お客さんに来てもらえさえすれば最高の夜になると感じていた。

会場は慣れ親しんだJUNK BOX、スタッフはいつも手伝ってくれている仙台の仲間に加えて福島、東京、関西からも駆けつけてくれ、頼もしくハートフルな雰囲気で準備は進行する。

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3人の個性と音楽性をうまく伝えられるような音響を心がけながら、リハも順調に進む。

この日は全体でひとつの流れが出来るようにと、転換時間を極力少なくする作戦だ。なのでステージ上には3本のボーカルマイクと足元のエフェクターは出しっ放し。これも出演者サイドとの話し合いで決めたことだ。僕の企画主催ではあるが全員で作り上げていく感が強く本当に有難い。

チャボさんに同行してきたスーパーローディー正巳氏も事務所のF女子も、自分の担当以外のことも率先して手伝ってくれ、受付や物販コーナーも含めて会場全体がすでに一体感に包まれていた。

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開場時間になりこの日のために選曲してきたBGMを流す。続々とお客さんが入ってきてフロアがガヤガヤと賑わいはじめ本番へのワクワク感がどんどん大きくなっていく。

ライヴハウスの事務所には前説を頼んでいたTheシミーがいた。「楽屋に行ってたら?」「ダンナ、そりゃ無理ですよ。あの3人と一緒になんて緊張していれないっすよ。」そりゃそうだ。笑。


表の物販コーナーにはGROOVE COUNCIL札幌婦人部がシャレで作って送ってくれたポストカードを置いておいたのだが、あっという間に無くなったようだ。翌日にも少し取っておけばよかった。

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イベントは17:30スタートなので前説のTheシミーは17:25に登場し1曲歌って本番へと突入するタイムテーブルだったが、楽屋へ行き「予定通り5分前にシミー出します」とスナフキン達に告げると、客が入りきった30分ちょうどに出してあげたら?と全員が口を揃えた。せっかく歌うんだからと。彼らはただ前説をさせるためだけにシミーを呼んだのではないという僕の本心を見抜いていた。その思いやりに感謝した。


前説のTheシミー(The黄昏カラアズ)はあの緊張感の中よく頑張った。まとまらない前説()のあと歌った「私のロッケンロール」は2011年の秋に僕がプロデュースしたThe黄昏カラアズの1stアルバムに収録されているナンバーで、レコーディングでは友人でもある高木克(ソウルフラワーユニオン)にギターで参加してもらった思い出深い曲。今日はアコギ1本ということで、いつもの独特のゆるいスタイルをさらに自由に変化させ、会場をいい具合に和ませてくれたのではないか。今後のソロ活動へのヒントが何か見つかっていればいいなと思う。

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そしてSEにのり珍しく最年少というTシャツにエプロン姿の古市コータローが登場。楽屋でチャボさんヒロシちゃんに料理を振る舞ってたんだよとジョークを飛ばす。選曲は緩急織り交ぜたお馴染みのソロナンバーだったがボーカルがとても力強く、やはり気合が入っているのだなと感じる。アコギは潔くノンエフェクトなので、曲によっては同期を使ったりPA卓でエフェクトをかけたり。それにしても彼の楽曲はどことなく甘酸っぱい香りがして、いつ聴いてもきゅんとくる。

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後で聞いたのだが、この日でソロ弾き語りは12回目だったそうだ。相変わらずの冴えたMCを交えながら(楽屋では出番待ちの山ちゃんとチャボさんがMCを聞いて大笑いしていたようだ)ご機嫌に40分のステージを駆け抜けてくれた。

野球で言えばトップバッターがいきなりヒットを放ち次へとつないだ状況で、さぁ次の打者はどう攻撃してくるのかというワクワク感さえ与えてくれる、さすがのパフォーマンスであった。

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続いて山口洋がステージへ。コータロー君のエプロンの紐はおれが結んでやったんだと自慢げなMCで笑いを誘う。演奏はアコギの美しい音色から変則チューニングあり、エフェクターで歪ませたりサンプリングループを駆使したりと、まぁいつもの通りではあるのだが、初めて彼のライヴを観た人は変幻自在のギタープレイに度肝を抜かれたのではないだろうか。

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PAはコータローと対局。リハで細くバランスと音を決めたら本番はほぼPA卓をいじらない。いじりたくなっても我慢する。それは彼独自のダイナミクスをステージ上の本人がコントロールするからだ。マイクの使い方とかギターピッキングの強弱など、山ちゃんならではの世界観が構築されていく。


それにしてもオーディエンスが温かかったからか共演が嬉しかったのか、きっと両方だろうが新曲を中心に気分良くギターソロを弾きまくっていたな。

コータローに続き山ちゃんもクリーンヒットを放ち、走者1〜2塁となりチャボさんの番だ。

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余談だが、この日僕は家のレコード箱に保管していた古井戸「さなえちゃん」のシングル盤を持参した。ジャケに写るおよそ44年前のチャボさんの雰囲気がいまと同じに見えて、いつか本人に見せようと思っていたのだ。

リハ後に楽屋へ行きそれを差し出すとイスから転げ落ちそうになりながら驚いた。「これ佐藤ちゃんのか?」「はい。小学校のころ友達の兄貴に、これを聴け!ともらったんですよ」「よく今まで持ってたなぁ。おれも持ってないぞ、これは。しかし若くて恥ずかしい。早く仕舞えよ、佐藤このやろう()」そんなやりとりがあり、記念にサインをもらった。

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話を戻そう。

仲井戸”CHABO”麗市、日本のロックを切り開いた誰もが憧れるギターヒーロー。3番バッターとして満を持して登場したチャボさんに黄色い声援が飛ぶ。なんとなく野球に例えてしまっているのでこのままいかせてもらうが、これが本当の野球チームだったなら日本最強の1〜3番だなと惚れ惚れしてしまった。


チャボさんクラスになればちょっとしたライヴは些細なことのようにも思えるが、どんな時でも手を抜かず全力でオーディエンスと音楽に対峙する様は、かっこいいを通り越して本当に美しい。ツアーが終わったばかりなのでセットリストはその中からかと思いきや、登場のSEを変え「ホリデイ」や「忙しすぎたから」のようなツアーではやらない珍しい曲を混ぜてきた。それだけでもプレミア感は大いに増した。

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百戦錬磨のMCとギタープレイ、誰にも真似のできない味のあるボーカルスタイル、日本の宝が紛れもなく目の前のステージに立っている幸福感と興奮がそこにはあった。それはCHABOという唯一無二のとてつもなく崇高なシンボルだ。


最後にはTheシミーの紹介もしてくれ有り難かったが、さらに感動したのはチャボさんがここでホームランをかっ飛ばしたのではなく、ヒットを打ち次へとつないだことだ。

そう、あの伝説として語り継がれるであろう光景が繰り広げられた夢のセッションへと、走者満塁で最高の見せ場が間もなく訪れようとしていた。




アンコールの拍手の中、3人のスナフキン達がステージに再登場する。その立ち姿を目にするだけで圧巻だ。ギターを抱えチャボさんが口を開く。「ニューバンド結成。残業するぞ〜!」


コータローが8ビートのロックンロールをかき鳴らすと、すぐにチャボさんと山ちゃんが続く。ここはXタイム(長さが決まっていない)だ。アドリブを繰り出しながら、それぞれが相手の音を聴きながら瞬間的に間合いを計っていく。完全にギター小僧の表情だ。難しいソロや絡みはないが、どんどんグルーヴが増してきて客席を飲み込んでゆく。熟練の業師にしか出来ないこの一瞬のロックマナーが、3人の凄さと奥深さを物語っていた。

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アンコールセッション1曲目は古市コータローの「それだけ」。間奏のソロバトルもチャボさんのコーラスも映える。続いてはRCサクセションがロックにカヴァーした「上を向いて歩こう」。3人とも飛ばす。奇しくも作詞をした永六輔さんが亡くなったこともあり、また一味違った響きがあったように思う。

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そしていよいよラストは山口洋の「満月の夕」。神戸大震災の時にSFUの中川くんと共作した大名曲だ。東日本大震災以降、東北でも多く歌われてきたこの歌をラストにしようと言ったのはチャボさんだ。コータローが一緒にやるのにも意味があると。

これはもう筆舌に尽くし難い儚さとしなやかさと強さが共存し、お互いの音を尊重しながら紡いでいく美しすぎるアンサンブルには、ただただ聴き入ってしまった。

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膨大な経験と音楽への造形、己を突き詰めた美学と生き様が刻まれた3人の姿とプレイは、誰にも真似できないし太刀打ちできない伝統芸のようでもある。

それは大きな放物線を描く、見事な特大ホームランだった。

それにしてもなんて瑞々しい平均年齢57歳の男達。歳を重ねるかっこよさとは、こういうことなのだろう。

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こうしてスナフキン達のブギーと題した1日目は終了したのだが、出演者ばかりでなく友人やお客様からもお花やお酒や多くの言葉なんかもいただき、本当に恐縮である。5周年と銘打ったのは、この二日間のメンツを集めるための口実とも言えたのだが、皆さんの気持ちには素直にありがとうと言いたい。


打ち上げはメンバーとチャボさんの事務所社長のEさんのみで。3人に今夜のイベントは素晴らしかったし楽しかったと言ってもらいホッとする。

何気なくスマホをチェックすると山ちゃんがすでにブログをアップしていた。ホロリとくる。

http://no-regrets.jp/wordpress/?m=20160717


チャボさんがコータローに笑いながら質問した。「ところであのエプロンってのは一体何だったんだ?」「あれはですねチャボさん、前にポール・ウェラーがテレビに出た時にエプロンしてて、これはイカすってことでいつかやりたいと思ってたんですよ。それでエプロンだけは2年前に準備してたんですけど出番がなかなかなくて。ついにきょう日の目を見ましたよ」「バカヤロー!なんで本番前にそのネタ言わねぇんだよ!」一同大爆笑。


こんなことも言われた。山「きょう楽屋にあったGROOVECOUNCILステッカー貼ってあるクーラーボックスとポットもしかしてわざわざ買ったの?」Eさん「そうそう。新品だったでしょ。」ヒ「そうです。今後きっと使うだろうと思って。」山「そんなの言ってくれればおれのやつ持ってきてやったのに!」Eさん「ほんとだよ。佐藤ちゃんがイベンターじゃないのわかってるし、無くても誰も文句言わないよ。」そんなところまで見ていてくれたのだ。ありがたや。


ご機嫌に打ち上がったあとチャボさんをホテルまで見送り、山ちゃんとコータローと3人で別の打ち上げ会場へと向かう。スタッフ達が飲んでいる居酒屋へ。

席に合流するとみんないい塩梅に出来上がっていた。Theシミーが「ダンナ、今日はちゃんと前説らしいこと言えなくてすんませんでした!」と言うと山ちゃんが口を挟む。「前説なんでどうでもいいんだよ。ヒロくんが君を前説にしたっていうことは、シミーの歌をあの場の人に聴かせたいということなんだぜ。それはわかってるよな?」コータローも続く。「そのとおり!」「はい。わかってます!」なんか微笑ましかった。


その後は何を話したっけ。コータローが髪を結ぶと可愛いとか誰が一番ハードPかとか、それはもうカオスとなり夜は更けたのだった。

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7/18『声のロマネスク』atエルパーク仙台スタジオホール

浅森坂(浅田信一+森山公一+坂本サトル)/畠山美由紀/KUDANZ/堀下さゆり


この日は会場が公共のイベントホールということで、朝9時に集合し舞台設営から照明吊り込み、PA機材の搬入〜セッティングとすべてゼロから仕込まねばならない。

本当は二日間同じ会場でやりたいとは思っていたのだが、スケジュールが取れずこういう形になった。しかしこの日の出演者を考えれば、結果的にこれが正解だったような気がしている。

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昨日のスタッフ+αに加え、いつもお世話になっているPA会社と照明会社のスタッフも合流。今日も最強布陣で挑む。前日の深酒が残っていないといったら嘘になるが、緊張感と期待感で体は軽い。敏腕スタッフのお陰もあり、タイムスケジュールより早めに準備が進んでゆく。ホール管理の担当者もその昔いろいろとお世話になった人という幸運も重なり、万事がスムーズだ。

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2日目は昨日とはガラッと違う内容のメンバーだ。どちらかといえばポップで、メロディーと歌声の力で誰をも魅了できる4組。声というどんなに練習しても他人には太刀打ちできない個性、そしてそれを最大限の武器に音楽シーンで生き残っている、まさにこの日のタイトル(ロマネスク)の通り《「ロマン(: roman)」から派生し、奔放な想像力によって現実の論理・事象の枠を飛び越えた幻想的な性質》という本物ばかり。とにかく本番が待ち遠しい自信のラインナップである。


午後になり次々と出演者が会場入りしてきた。淺森坂の3人と堀下ちゃん以外は初顔合わせとなるので、それぞれを紹介してリハーサルへと突入する。

美由紀ちゃんには前日コータローから渡して欲しいと頼まれていたメンマをお裾分け。池袋交差点24時(ポッドキャスト)でも話題になった岩手からのお土産だ。そのメンマを片手に、もう一方にはコータローに欲しいと言ったものの今持ち合わせがないからと山口洋が前日もらえなかったバストロイヤーステッカー(美由紀ちゃんは財布に忍ばせていた!)で満面の笑み。

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さて今日は内容だけではなく演出も昨日と違う。チームワークで全体をひとつにまとめた初日とは逆で、個々の世界観と歌声にスポットを当てるためにステージ転換時間を設けた。

PA機材は会場に常設されておらずすべて持ち込みなので、声の繊細な部分がきちんと出るスピーカーなど機材をチョイスし、照明オペレーターの新氏にはシンプルだがドラマ性のあるライティングをとお願いしていた。あとは彼のセンスを信頼していたのでお任せでと。

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リハも順調に和気あいあいと進み、あっという間に開場時間が近づいてきた。ロビーを確認しに行くと有志の方からお祝いのバルーンが届いていた。この他にも差し入れを多くいただき、この場を借りてお礼したい。ありがとうございました。

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今日も北海道から九州まで本当に遠くからもお客さんが来てくれる予定なので、最高の音で最高の歌声を届けようと心に誓う。

楽屋ではどうやら淺森坂の宴会が早くも始まったようだ。



トップバッターは堀下さゆり。今月頭に浅田信一プロデュースのニューアルバム「うたかたの日々」をGROOVE COUNCILレーベルからリリースしたばかり。彼女の魅力であるポップなメロディーと親しみやすい歌声と表現力豊かな歌詞は、会場の雰囲気を一瞬で和やかにしてくれた。

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途中ここ5年のことを思い出したのか涙ぐむ場面もありながら、宮城県でのCMソング「あなたとの未来」や、ママになったからこそ出来た「今日は寝てしまおう」では同年代の女性客の気持ちをぐっとつかむ。

一人の女性として、母として、ミュージシャンとして奮闘する生き様みたいなものが、きっちりと伝わったのではないか。楽屋でのムードメーカーぶりもナイス。


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次に登場したのはKUDANZの佐々木玄。バンド時代とは一線を画す静なるパッション、ダイナミクスを持ったボーカルで一気に独特の世界観に引きずり込まれる。まだ若いのにあの成熟さは見事だ。サポートなしの弾き語りということもあり静かめのナンバーが多かったが、それが返って彼の伸びやかな歌声と表現力を浮き彫りにして激しく心を揺さぶるのだから、声の力ってすごい。

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数日前から胃腸炎になったということで楽屋で酒も飲めず可哀想だったけれど、ステージは完璧な内容だった。この日は友部正人さんが客席に見に来てくれていたが、本人の前でカヴァーをさりげなくやってしまうあたりも大物感があり、今後がますます楽しみになったのである。嬉しいMCもありがとう。

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3番手は畠山美由紀with小池龍平。この二人も今回どうしても皆さんに聴いてもらいたかったデュオだ。


以前美由紀ちゃんと飲んだとき、気仙沼での少女時代の話をしたことがあった。歌が好きで好きでたまらなかった様子が伺えて嬉しくなったのだが、ちょっと意外だったのは声質のせいで今のようなボーカルスタイルになったと聞いたことだ。本当はもっと激しい曲も歌いたかったが、そういう曲は自分の声に合わないと悟りこの方向にいったという。微かに悔しそうな表情だった美由紀ちゃんに僕が言ったのは、自分の一番いい部分を最大限に生かす最高の選択だったんじゃないのかということ。

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そんな自分のスタイルを追求した結果、ポップスもボサノバもジャズも昭和歌謡も、すべてを自分のオリジナルのように美由紀節で歌いこなす。こんなシンガーはそうそういないのだ。


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美由紀ちゃんの美しくしなやかな歌声と、龍平くんのタイム感抜群のゆらぎのギター&ボーカルは、気持ち良すぎてここがどこなのかわからなくなる瞬間が何度もあった。客席もまさに息を呑むようにステージを見つめている感じで、服装と照明の具合もあったのだろうが、歌う妖精のようにも映る。圧巻のステージだった。

スケジュールの都合で打ち上げをご一緒できなかったのは残念。この二人、オフステージもかなり個性的で面白いのである()

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そして大トリはなんと6年半ぶりに奇跡の再集結を果たした、浅森坂(浅田信一+森山公一+坂本サトル)。これは各々と仕事をさせてもらっている僕が、数年に渡りあちこちのファンに「浅森坂もうやらないんですかねぇ。また聴きたい。」と言われ続けてきた待望の復活劇だ。

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昨年の信ちゃんのソロライヴのとき、来年は5周年だからイベントでもやろうかなと打ち上げで言ったら、「浅森坂いいんじゃないですか!?」と満面の笑みで答えてきた。冗談かと思いつつそれは誰より僕が望むところだったが、さすがに6年も音沙汰のなかったユニットが復活するとも思えず、でも心の中ではサトルにも森山にも5周年には出て欲しいし、どうしたものかと年を越した。


新年になりあらためて信ちゃんに連絡したら、2人がいいといえばやりましょうよと言ってくれたので、すぐにサトルと森山に電話した。はじめあまりに突然だったせいかマジで?というニュアンスだったが、ヒロさんの5周年なら断れないよ(と言いながらも本当に嬉しそうにやる気満々の声で)と快諾してくれたのである。

そこからの細かいまとめ役は森山にお願いした。3人とも当時の譜面が見当たらない()というところから始まったので、コード譜を書き直してもらったり、忙しいなか集まって事前リハもやってやってくれ感謝である。


当日のリハはさすがに少しぎこちなかったが、本番はバッチリきめてくれた。ソロボーカリストとしても評価の高い3人の歌声が重なるとき魔法のようなハーモニーが生まれる。1曲を3人で作るオリジナル曲は、それぞれの個性がありつつもトータル性を保ち、単なる集合体ではない魅力がやはりある。


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セトリは当時のアルバムからの曲オンリーだが、途中確か新曲があったはずだが誰も思い出せないという場面があり、たまたま来ていた浅森坂のコピーバンドをやっているお客さんからタイトルを教えてもらったり。

それにしてもこの感じは何なのだろう。歌もうまいし声もいいしメロディーも素晴らしい。でもそれだけじゃない魅力がたくさん詰まっている。それは各々のソロではあまり出ない部分が、どこかでシンクロして絶妙なバランスになるのだろう。
6年前を思い出し時の流れを感じるが、それは郷愁ではなく、こうして3人がここで歌ってくれている現在の重みと最高の幸福感だ。

相変わらずの好き勝手な()MCも含めて、会場全体をハッピー1色に染めてくれ、これ以上ないイベントのトリを務めてくれた。

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アンコールセッションはデイ・ドリーム・ビリーバー。予定よりちょっと時間が押したため東京戻りの美由紀ちゃんと龍平くんが新幹線に間に合わないということで、リハもやっていたのだが残念なことに会場を後にしたため不参加。

浅森坂の3人がこの日の出演者を呼び込み堀下ちゃんと玄くんがステージに登場。そして何ということでしょう()。美由紀ちゃんの代わりにそのパートを歌えと僕をマイクで呼んだ。最初意味がわからずぽか〜んとしていたが、客席まで拍手するもんだから出ていかないのもシラけるし野暮ってものだ。


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結局ロマネスクとは程遠い声でなんとかワンフレーズを歌い、みんなとわいわいアンコールセッションをやらせてもらった。こんな大勢の人前で歌ったのは20年ぶりで顔から火が出るほど恥ずかしかったが、ステージから見えるお客さんの顔は本当に楽しそうで、それを感じられただけでも素敵な経験をさせてもらったなと思っている。

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そしていつから計画していたのか、たくさんの寄せ書きが入った英国フラッグと花束とお酒をプレゼントされた。まったく予期していなかったためうまくお礼の言葉も出てこなかったが、涙が出るほど感謝している。そして本当に素敵な仲間に囲まれているなぁとあらためて痛感した次第だ。

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打ち上げは出席可能なメンバーとスタッフ全員で。充実感と安堵感で何を話したかよく覚えていないのだが、とにかくみんながハッピーな表情でアルコールを消費しまくっていた。これでいいのだ。いや、これがいい。

この出演者とスタッフでほんと良かったとしみじみしながら、僕もしこたま飲んだ。若いときには絶対味わえなかった充実感である。

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こうしてイベントのすべては終了した。

両日とも、お目当てのアーティストじゃなくてもほとんどの人がフロアの外に出ることなくライヴに聴き入ってくれ、出演者みんながそうさせるような最高の歌と演奏とパフォーマンスを繰り広げてくれた。


テーマは違ったがこの二日間を貫いていたのはジャンルや派閥みたいなものではなく、良質な音楽と愛あるハートを持ったミュージシャン、そのマインドを共有できるオーディエンスとスタッフ、そんな愛すべき人たちが全員で作り上げてくれた極上のグルーヴ。それに尽きる。



翌日の朝、ベランダで寝起きの一服をしながら山ちゃんのブログを読み直し(その後本人から、あんなイベント滅多にないよ。出してもらってありがとね。二日間おつかれ!と電話があった)、Twitterに投稿されたコータローや玄くん他多くのコメントを見つけた。胸が熱くなる。続けて、Facebookに投稿されたサトルのコメントとそれをシェアした信ちゃんのコメントを見つけた瞬間、何故か涙が溢れて(正確に言えば号泣なのだが)止まらなくなった。


自分でも驚いてその理由を探ってみる。仙台ではなかなかうまくいかないことも多かったのは事実だが、好きでやってきたことなので苦労してきたとは思っていなかった。でもあのコメントを見たとき、やってきたことは間違いじゃなかったしこうしてちゃんと見ていてくれる人がいるのだと、なんか報われたというか救われたというか、そんな感情が無意識に押し寄せたのだった。


本当に人脈というかコネクションというか、人とのつながりは財産だと思う。さらに言えば、そのつながりは打算や利害関係ではなく、時間をかけて築いた信頼や心からのリスペクト無しにはあり得ないものだろう。

音楽にしても仕事にしても人間関係にしても趣味にしても、とにかく本気で向き合い誠意を込めなければ、決して見られない景色が確かにあるのだ。


そう気付かせてくれた最高の仲間たちに、最大級の賛辞と感謝を伝えたい。


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photo by たい吉、Hiro


proud of staff...

ユハラ/アイタちゃん/前沢/浩美ちゃん/ちゃーこ/朋ちゃん/たい吉/大陸/大河/永瀬さん/大沢/新さん/司くん/エルパーク小野さん


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そして集まってくれたお客さま!ありがとう。




# by higehiro415 | 2016-07-28 23:49 | 日記 | Trackback | Comments(2)