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佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
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ついに!

レコーディングしていた幹ちゃんのアルバムのマスター(プレスの大元になるCDR)がついに完成した!

2/1に録音を開始してから大地震での中断も含めて2ヶ月弱(プリプロから数えれば3ヶ月)、ようやくここまで辿り着いた。
長いような短いような不思議な感覚だが、いま自分に出来る事の最大限が詰められたと思う。

誰も経験した事がない信じられない大災害を乗り越えての制作ということで、何か特別な意味も含まれたアルバムになるだろう。

結果論だが大地震があったためにRECスタジオの他の予定や僕自身の他の仕事が無くなり、作業は遅れたものの、より時間をかけ集中して音作りが出来たことは確かだ。
震災後は何より邪念が一切無くなり、ニュートラルに歌と向き合えた気がする。
音作りにおいても初心に戻れたというか、デジタル機材に頼り過ぎず自分の耳を信じてとにかく歌を大切にした作業が出来たのも事実なのである。

いいアルバムを作ろう!などとは、ここ数日考えていなかった(考えられなかった)。
ただひたすら何かに導かれるように音に没頭していただけだ。

アルバムや曲ごとの制作秘話は追って解説したいが、とりあえずプレス前までの全作業を終えたということで、勝手な僕の心情を書いておきたい。

このアルバムを制作するにあたり最初から特別ないくつかの想いが僕にはあったし、やりながらどんどん膨らむ想いもあった。

この3年間幹ちゃんと関わってきて、壁にぶつかりもがきながら成長する彼女の歌と声を、1人でも多くの人に聴いてもらいたいという想い。
幹ちゃんの歌で誰かがうつむいた顔を上げたりちょっと癒されたりするなら、きちんと世に送り出したいと思ったし、僕のようなへっぽこPを信頼してくれている彼女にお返しもしたかった。

音楽的に成熟しきれない仙台という街に対する問題提起の想いもある。
ビッグネームや中央にしか反応しない人たち(特に業界人!)に、そんなものと音楽の価値は別で、いいものはいい!と意地でも仙台で質の高いものを作り上げたかった。
それが仙台の音楽シーンの起爆剤になって欲しいとも思っている。

そして事務所代表Sさんへの恩返しと激励の想い。
昨年、Sさんは仕事で大変な苦労をした。それでも親のように幹ちゃんを見守り続け、僕にも温かく接し起用し続けてくれた。
いいアルバムを作って(そしてそれが売れて)Sさんに頑張って欲しいと願っていた。

さらに今回のアルバムに参加し助けてくれた浅田信一氏(RECに駆け付けてくれたCozi、はっちゃん、小島くん、サウンドバレイの皆さん)、佐藤達哉氏への想い。

幹ちゃんの歌は自信を持ってイイ!と言えたが、なんせインディーズ。頼むのは正直躊躇したが、みんな自分たちで役に立つのであればと快く引き受けてくれ素晴らしすぎる手腕を発揮してくれた。
彼らの評判に傷を付けないためにも、アルバム全体をハイグレードに仕上げるのが僕の使命とも言えた。

一生懸命演奏し瑞々しい息吹を吹き込んでくれた、地元のサポートミュージシャンの力も大きかった。

RECスタジオ(サウンドリソース)代表の磯村氏にも相当な無理を強いてしまったが、一時期は宇多田ヒカルの仕事もしていた人である。
仙台のシーンを支えていくには、埋もれていてはいけない人材なのだ。
僕のしつこい執念(笑)に笑顔で付き合ってもらい、本当に感謝している。

また、自身の忙しい仕事と重なり参加は叶わなかったが、幹ちゃんと僕を応援してくれていた坂本サトル氏の分までという想いもある。

もちろん自分勝手な想いもあった。
昨年秋の全国ツアーのときに発症した突発性難聴。いくつも病院を変え通い続けたが完治せず、ついには職業病とも言える慢性の難聴になってしまった。

生活する分には何の支障もなく、難聴とは言っても仕事仲間の多くが陥っているものに比べれば症状はかなり軽い。
それでも耳の良さが取り柄でもあったので、しばらくは誰にも言えず「これでおれの音の仕事も終わりかなぁ」などと悲観的な日々が長く続いていた。

だから満足する音が作れなかったらレコーディングは最後、と覚悟して臨んだのである。
しかし人間の脳は優秀で、この程度の難聴ならば経験で記憶した周波数をきちんと補正してくれることが作業していてわかった。まだまだいける!

加えて、頼んでもいないのに大自然の猛威も味わう始末。
しかしM気質の僕には(笑)これが燃える材料にもなった。
目の前に立ちはだかる壁の向こうには、きっと見たことのない風景がある。

まぁ、そんなような事が諸々積み重なって制作が進み完成したアルバムなのだ。
もちろん幹ちゃん本人はじめ関わってくれた人たち全員も、それぞれの想いがあるだろう。

僕のエフエムなどの仕事をフォローしてくれた後輩たち、尻を叩き支えてくれた身内、応援してくれた方々、めちゃくちゃいろんな想いが詰まっている。

そう考えると大地震になど負けるわけがなく、逆にこんな今だからこそ!と思えるのだ。
出るべくして出るアルバムなのではないかと、すべての作業を終え感じている。

今はシンプルに、この素晴らしき歌たちが1人でも多くの人に届けば、それでいい。


最後に一言・・・愛すべき素敵なアルバムに仕上がりました!


幹 -Miki- 1st Album『声』4.29全国リリース(予定)
by higehiro415 | 2011-03-26 02:00 | 音楽