佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
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Sweet Road To Youth

THE COLLECTORS
古市コータロー50歳バースデーライヴ in 北上
2014年5月10日(土)

「北上の地にこのメンツが集まってくれて、こうして一緒に飲めていることがすごい幸せだし、今日のライヴでようやく自分に落とし前をつけることができました。皆さん本当にありがとうございました!」
コータローが打上げのシメで発した言葉を聞き、感無量になった。
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彼にとって因縁の地である岩手・北上でライヴを開催したということ以上に、そこに友人やスタッフや仲間から多くの協力や応援があり、さらには全国から集まってくれた沢山のファンに見守られドラマが結実したことにこそ、とても大きな意義があったのだと思う。
こんなにも周囲に愛されているバンドやギタリストは、そうそういない。

今回のライヴの意味は昨年9月にこのブログに書いたので省略するが、5/10のコータロー凱旋ライヴは単なるバースデーライヴではなく、30年以上前からの点を線でつなぎ合わせ未来へ向かわせるという、壮大なロマンが詰まったものだったのだ。
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昨年の春、ツアーの途中でコータローと2人北上に立ち寄り、さくらホールを下見して「ここでやろう!半分くらい集客できればいけるよ!」と話し合った日から412日、超満員の観客の皆さんと一緒に見届けることができて、ほんと素直に嬉しい。

このライヴの裏方は、いつもの東京スタッフに加え僕の大切なブレーンでもある仙台・盛岡のスタッフ合同の最強メンバーで臨んだのだが、これも大成功のひとつのポイントだった。仕事の実力(クオリティー)だけではなく、スタッフ間の信頼関係も大きく物を言ったからだ。

いくつかのサプライズに関してだが、バースデーケーキは北上の洋菓子店アンデルセンの職人Tさんに頼み作ってもらったもので、信ちゃん(浅田信一氏)にステージに持ってきてもらえない?と相談したところ「それ断れるわけないじゃないですか(笑)」と快く引き受けてくれた。
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入場時に皆さんに配り、サプライズ時に満開の桜のように会場を彩ったピンク色のケミカルライトは、ファン有志の方々の気持ちとアイディアと準備と提供だ。

受付でそれを配布してくれたのは以前僕のブログを読んで「自分の地元岩手での記念すべきライヴ、手伝えることがあれば何でもやるので言って下さい!」と連絡をくれた人たちと、コレクターズをリスペクトする仙台のTheシミー(The黄昏カラアズ)。
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コータロー高校時代の山本先生は、事務所であるWonder Girlに、先生と一緒にライヴに来る予定だという方(コータローの先輩)から連絡があり、対面が実現した。

加藤クン、コータロー共に24年振りの再会となった伝説の初代ベーシスト・チョーキーは、岩手のコレクターズファン345号くん(彼のブログで北上ライヴのことが感動的に描かれている! http://collector345.blog63.fc2.com/ )がいろいろと動いてくれた。
おれも会いたいし、せっかくだから一緒に演奏もしたらどうだろう?チョーキー用のベースは持ってくから!と言ってくれたのは、加藤クンである。

僕はただこれらを実現させるために提案したり交渉したり調整したりしただけで、最初から用意されていたかのような絶妙なタイミングと、各方面の方々の尽力と理解が、あのスペシャルなサプライズコーナーを演出したのである。
特に主催のVintage Rock若林氏、事務所のWonder Girl松本氏には色々とわがままを聞いていただき大感謝。

さくらホールの職員K君も開催が決まってから、せっかく来てくれるのだからといろいろ宣伝をしてくれていたりして、多くの人の(もちろんファンのみんなも含めた)それぞれの熱い想いが、あの日のドラマを生み出したのだと思う。
細かい全貌を知っていたのは、僕と当日の段取りを相談していた舞台監督の山品さんだけだったので、誰かに言ってしまいたくなるのを堪えるのが一番大変だった(笑)。


5/9(金)
朝イチで明日の開場時のBGMを選曲したあと、手持ちのマイクとファン有志から送られてきたケミカルライトの入った段ボールを積み込んで、仙台から北上まで車を走らせる。
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雲が厚く途中で雨もポツポツきたが、まったく気にならない。明日のことが(まずは今日なのだが)楽しみすぎて、天気のことなど心配する暇もなくあっという間に北上に到着した。
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空がまた明るくなった12時半過ぎ、コータローと松本社長が駅の改札から出てきて合流。
「佐藤クン、ついにきちゃったねぇ〜この日が。明日は天気良さそうだから安心したよ。」
渡哲也ばりのサングラスをしたコータローは、なんだかとても嬉しそうな表情だ。
まずは腹ごしらえをしようということで、懐かしのスパゲッティーを求めてJUMPへ移動。3人でミートソースをキメる。
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今日はコータロー思い出の場所を巡る日だ。
当時住んでいたというボロアパートをあちこち探し歩いたり、飲み屋街やアーケードがなくなってしまった商店街、高校にも行った。
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北上展勝地では「マイナスイオンがすごい。リフレッシュするなぁ〜」などと、風に揺れる新緑やキラキラと反射する川、遠くの山々を眺めたりした。
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夕方の岩手日報の取材の前に、一旦ホテルに戻りロビーでひと休み。
コータローが「ちょっと電話してくる」と席を外した隙に、僕はすかさずフロントに尋ねた。「古市宛てに何か届いていませんか?」
まだ届いていないようだった。
やっぱりそんなに上手くはいかないよなぁ〜とがっかりする自分に言い聞かせる。「いや。ここまできたのだから、近い将来必ず会える日が来るはずだ。サプライズは明日もあるのだから欲張るな!」

そろそろ新聞の取材に出掛けなければと時計を見た時、綺麗なフラワーアレンジメントを持った花屋さんらしき人が入ってきてフロントに花を置いた。
僕は咄嗟にフロントへ近寄り「もしかして古市宛てですか?」と尋ねると同時に、添えられた封筒が目に入った。古市耕太郎様と書かれていた。

フロントでその花を受け取りロビーのテーブルに置く。胸が高鳴る。
そこに電話を終えたコータローが戻ってきた。
「コータロー。なんか花が届いたみたいだよ。」
「え?楽屋じゃなくホテルに花が届くなんて初めてだよ。」
添えられた封筒をあけ中のメッセージカードを読んでいる。
「佐藤クン!これ、田園のママ?」
彼が北上時代一番の思い出と語る、喫茶「田園」のママから花が届けられたのだ。
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Podcastで「カプチーノ、よろしく!」と宿題を出された気分になり(笑)、こりゃ何とかしたいなと本格的に捜索に動き出した。どこにいるのかも生きているのかもわからなかった。
岩手の知人数人に情報提供を呼びかけ、北上にいる親戚には店の跡地周辺の聞き込みをしてもらう。

4月後半、まだ物件を手放してはいないようだが、だいぶ前に店を閉め娘さんがいる仙台に引っ越したとの情報をつかんだ。そういえば、デビューしてから一度だけ娘さんから手紙をもらったことがあり、仙台にいるらしいとコータローから聞いたことがあった。ただそれは20年以上前のことだ。
北上にいるなら人口も少ないしどこかでつながるかもと期待していたが、仙台となると逆に難しいと思いながら、自分が住む街にいるなんて何か縁があるのかもしれないとも感じる。

親戚の必死の聞き込み調査により、ママの旦那さんが以前務めていた北上の職場が判明した。ダメモトで引越し先の住所を聞き出そうと試みたが、もちろん教えてはもらえなかった。ただ対応してくれた方がとても親切で、代理で電話をかけてくれたのである。

偶然にもママらしき人が出たらしく事情を説明したようだが、だいぶ歳もとり昔のことはあまり憶えてないとのことだった。
本当に惚けてしまったのか、それとも怪しいと思われたのか、とにかくここで捜索は断念せざるを得なくなる。

4月末、アラバキ出演のため前乗りしたコータローと飲んだ時に、そのことを正直に話した。サプライズは無理になってしまったからだ。
「驚かせようと思ってたんだけど、ここまでしか出来なくてゴメン」と言うと、「そこまでわかれば十分だよ。ありがとう!そっかぁ。生きてたかぁ。」と慰められた。

人事を尽くして天命を待つ。その言葉が僕の頭を支配する。
やれることだけはやっておこうと手紙を出すことにした。住所がわからないので、先日電話をしてくれた人に頼んで郵送してもらった。

手紙には、勝手な捜索のお詫び、探している経緯と僕の気持ち、そしてコータローの生い立ちと現在、「田園」が彼の青春の1ページにいかに深く刻まれているかということを綴った。娘さんにも読んでもらえればと微かな望みを賭け、娘さんから連絡が来たこともあったらしいと付け加えた。
これでダメなら後悔はない。

それから数日して知らない番号から携帯が鳴った。ピンときた。
声を聞き、向こうが名乗る前に僕は言った。「××さんですよね?」
どうして自分の名前を知っているのかと驚いていたので、コータローから聞いていたと伝えると、さらに驚いた。「私の名前まで憶えていてくれているんですか?」
田園の娘さんからの電話だった。ついに見つけた!

話を聞くと、訳あってちょうどその日は北上に行っていたらしく、仙台に戻ってきたら僕からの手紙が届いていたので、すごくびっくりしたとのことだった。
それもそのはず、店の中に置きっぱなしだった荷物を片付けに行っていたようで、そこでロックのレコードが出てきて「これ、たぶんコータローさんが置いていったやつだなぁ」と眺めていたら、ママが「それって学生服着てうちに来てた背の高い子!?」と思い出したというのである。
そんなことがありつつ仙台に戻ると、偶然にも僕からの手紙が届いていたと言う訳だ。

こんなことってあるのかいな?と僕も驚いた。
さらには、コータローが田園のことを今もそんな風に思ってくれていることに感動し、もしかしたら辛い高校時代を過ごし北上のことが好きじゃないかもしれないから、今度北上に来る時は「おかえり!」と温かく迎えてやれるようにしたいと言うのだ。

この話を聞きサプライズなど関係なく、その言葉を直接コータローに伝えてはくれないかとお願いしてみた。すると、ライヴには行けないが、何かメッセージは送れるよう母と考えてみますとのことで、宿泊先のホテルを教えて電話を切った。

先方のニュアンスから、話題になるようなことは避けたいし、純粋な気持ちの問題だということが伝わってきたので、ここに書くことは相当ためらったのだが、強い想いや真心は、通じるばかりか奇跡的なことを起こす場合もあるという証拠として、紹介させてもらうことにした。

話をはしょるとドラマが成り立たないので長くなってしまったが、このあと僕は娘さんに花が届いた御礼の電話を入れ、そのまま隣にいたコータローに代わった。
ついにコータローは娘さんとママさんと、電話越しだが直接言葉を交わしたのである。
なんとなくその場にいないほうがいいかなと思い席を外したので、何を話したかはわからない。いつか本人の口から語られるのを待とう。


夜には前乗りのスタッフもホテルに到着し、ホテル近所の居酒屋で焼酎のボトルを3本も空けてしまった。シメはコータローおすすめの知床ラーメンへ。
楽しい前祝いになった。
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5/10(土)
いよいよ当日を迎えた。天気はこれから良くなってくるらしい。
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僕らPA(音響)、照明、舞台、楽器スタッフは9時に会館に集合である。ホールは一からすべてを仕込むので、時間がかかるのだ。
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今日のミッションは昨日までの運転手や探偵ではなく(笑)、本業のPAである。機材は仙台でいつもお世話になっているところから持ってきてもらった。モニター(ステージ上のメンバー用PA)は普段はメインPAをやっている山本さんが東京から来てくれている。鬼に金棒だ。
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舞監の山品さんがステージにパンチカーペットを貼っている間に、照明チームはバトンを下ろしライトを吊り込む。僕らPAチームはステージ側と客席側に分かれ機材を運び準備していく。ローディーの秦くんは楽器を少しずつセットする。
ガランとしたホールが、だんだんとライヴ会場の様相を呈してくる時間はワクワクする。
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昼前くらいにPA機材はセットが完了し、メインスピーカーから音を出しホールの響きをチェック。今日のリファレンス(チェックのためかける曲)はG.LoveのAin’t That Rightだ。
客席すべてを歩き回り聴こえ方を確認する。思ったよりデッド(反響が少ない)で客席中央あたりに低音が少したまる以外は、どの位置もナチュラルに聴こえるので安心する。
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昼の弁当を食べ照明シュート(バトンに吊られたライトひとつひとつの当たる位置を調整)の時間を利用し、サプライズの段取り確認。本番中僕は動けないので、山品さんとVintage Rock若林さんに流れを説明しすべてを託す。

メンバー入りよりだいぶ早く、前乗りしていたコータローが会場にイン。ステージに上がり客席を眺めている。きっと夜のことを想像しているに違いない。
近寄り話しかけてみる。
「いい感じのホールだよね。やっぱり。」
「うん。いいねぇ〜」
「ここに満員のお客さんでしょ。いいライヴになりそうだね。」
「そうなんだけどさ。自分でも想像つかないんだよね。どんな感じになるか。」
それはライヴがどうこうというよりも、どんな気持ちになるのかがわからないということで、やはり彼も平常心ではいられないのだなと察する。

当日移動でやってきた他のメンバーも会場に到着したころ、ステージ上は各楽器のチェックだ。
JEFFのベースの音に触れるのは初めてなので、山本さんと秦クンに音の感じを聞き取り調査。小里クンとはだいぶ音質が違うとわかった。アラバキのときコータローから「ポップなニュアンスが出てるベースで、すごくいいよ!」と聞いていたので、僕なりにイメージを膨らませる。

メンバーのいない隙に、加藤クンが持ってきてくれたチョーキー用のベースもチェック。秦クンが「このベースがあるのコータローさんに見つかっちゃって。JEFFさんが試してみたいということにしておきました。」と苦笑い。

14時半からサウンドチェック、続いてリハが始まった。確かにベースの音は聴き慣れていたものとは違うが、まったく違和感はなくむしろ新鮮だ。
これまで自分なりに構築してきたコレクターズのライヴサウンドを修正する。特にQちゃんのドラムとJEFFのベースの関係性。どこら辺に定位させ、全体のバランスをどうするのか。

とにかく集まった皆さんにこのライヴをより楽しんでもらうために、迫力ある音とかクリアな音とかではなく(もちろんそれらを加味したうえで)、温かくて心の襞(ひだ)まで見えるような音にしたいと努めた。
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この日は加藤クンのボーカルマイクを、いつもと違うものにしてみた。コータローのボーカルマイクは3月のアナログモンキーズで試して本人が好きと言っていた、持ち込みのテルフンケンM80oak、通称こけしマイク(笑)。ギターアンプには贅沢に3本のマイクを立てた。
久しぶりのホールワンマンということで、いつもより念入りにリハーサルする。いい感じではないか。バンドサウンドに関しては何の問題もない。
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リハが終わり僕はロビーへと急ぐ。サプライズで配るライトを、企画してくれた有志のみんなが袋詰めしてくれ、それを配布チームへ引き継ぐ。
まわりには沢山のファンの人がすでに集まっていて、気分も盛り上がってくる。

各セクションの最終チェックも終わり、いよいよ開場時間だ。
この日のBGMはZombiesやStones、McCoysなどに加え、Ann PeeblesやCilla Black、Martha & The Vandellasなど黒人ものを取り混ぜ、ライヴタイトルでもあるSweet Road To Youthをテーマに選んでみた。それにしても素敵なタイトルだ。

客席の様子は、やはりいつもとは違っていた。どこかそわそわしているというか、これまで体験したことのない、未知の世界に引きずり込まれるような感覚だったのではないだろうか。
東京から信ちゃん、達ちゃん、コージも到着し客席に案内する。

楽屋に行くとコータローが廊下をウロウロしていた。
「あれ。もしかして緊張?(笑)」
「いや緊張っていうよりさ、なんかフワフワしてるっていうか、変な感じだよ。」
僕もそうだったし、客席も同じ。今日は特別な夜になるということを予感させる。


開演時間になりメンバーがステージに登場すると、割れんばかりの声援と拍手がホール全体に鳴り響く。ついに伝説の幕は切って落された。

NICK!〜から始まる今回のセットリストは、4月のうちにコータローから送られてきていたが、3日前に本編ラストがNever Mindに変更された。
まだ東京での追加公演が残っているので詳しくは割愛するが、新旧・緩急織り交ぜたベストな内容で、個人的には好きな並びだ。

僕のすぐ後ろには信ちゃんが立っていた。関係者席に座ったら?と言ったが「ヒロさんの仕事ぶり見学しますよ」とニヤニヤしている。なんともやりづらい(笑)。
1曲目の途中で「もうちょっとだけギターのエッジを立てたらいいんじゃないすか?」と言うのでEQ(イコライザー)をいじると、親指を立ててうなずいた。確かにこのほうが聴こえ方がいい。さすが名サウンドプロデューサーだ。

ライヴ本編については、正直うまく言葉にできない。最初から胸が熱くなり、僕も冷静ではいられなかったのだ。
演奏はいつだっていいのだが、それを軽々と飛び越える表現力や一体感。演奏や歌の細かな部分には、過去から現在へとバンドが(それぞれのメンバーが)転がり続けてきた歴史の重みが見え隠れする。
そしてそれが未来へと続いていくのだと確信させられる強靭な音の塊が、恍惚感を伴ったグルーヴとなって放出されていた。
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チョーキーのサプライズ登場については、相当悩んだ。
喧嘩別れではなかったにせよ、24年間も音信不通だった昔のメンバーに会って嬉しいのかどうかわからなかった。
奇しくも小里クンが脱退したばかりで、メンバーも様々な葛藤があることは想像できたし、ただ懐かしむだけなら楽屋で会えばいいのではとも考えた。

それでもコータローが若かりし自分に落とし前をつけるように、加藤クンやバンド自身、さらに今は岩手でまったく別の生活を送っているチョーキーも、各々が落とし前をつけるにはここしかないと判断し、加藤クンに提案した。
はじめ驚いて戸惑いを見せた加藤クンだが、すぐに賛同してくれたのだ。きっと会いたかったのだろうし、いろいろ考えてくれたのだろう。

チョーキーがベースを弾いたToo Much Romanticは、とても美しかった。
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「バンドはいろいろあるよ。でもね。最高だ・・・」
コータローの涙も加藤クンの涙も、とてもよく理解できた。グッときてしまった。
ずっとそばにいたわけではないが、僕も彼らを見続けてきたし年齢も近く性格も理解している。
まさに加藤クンがFacebookに綴った言葉にその理由が集約されている。

打上げで「佐藤クンにカッコ悪いとこ見せちゃったなぁ〜」と言っていたが、決してそんなことはなく、むしろいつもは軽口や皮肉でごまかしている加藤クン本来の優しさや純粋さが滲み出てて、めちゃくちゃカッコよかった。
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この北上でのコータロー・バースデーライヴは、彼の人生を一度精算すると同時に、図らずもザ・コレクターズのメンバー脱退の不安を完全に払拭し、あらたな歴史の幕開けになったのではないだろうか。そう強く思わせてくれる、感動的で素晴らしいライヴだった。
奇跡は偶然が起こすのではなく、それまでの頑張りや信念や想いが引き寄せるのだとも思った。

終演後は予定通りコータローが来場者1人1人に記念ピックを手渡しする。これも粋な計らいだ。感謝を表すにはこれが一番いい方法だと考えたのだろう。

ファンの方々から「コレクターズを好きでいてよかった!」という声をたくさん聞いた。
バンドにとって、これに勝る褒め言葉はないのではないか。
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打上げは居酒屋の大広間で。30人以上はいたであろう。
その中で東北に住んでいるのは僕と山品カントクだけ(仙台のPAチーム、盛岡の照明チームは帰ったので)という、不思議な光景だった。
お客さんと同じように全国から集まった仕事仲間や友人、沖縄のHさんやアンヌ隊員まで。ここでもまたザ・コレクターズ(そして古市コータロー)の愛され具合を思い知らされた。

途中コータローと僕は、先述の345号くんが近くで開催していたアフターパーティーに顔を出すためこっそり抜け出した。今回いろいろ動いてもらった御礼に僕は必ず顔を出すと決めていたが、コータローもそれを知って「おれも行くよ!」と言ってくれたのだ。

繁華街を歩きながら話す。
「佐藤クン。今日のライヴは最高だったよ。まぁ演奏は間違っちゃったけどさ。それも関係ないほど完璧だった!サプライズも先生はもしや?と予想してたけどさ、信ちゃんが出てきてびっくりして、ライトも綺麗だったねぇ。でもチョーキーには参った。想像もつかなかったよ。」
店に着くと15人程とチョーキーが飲んでいた。ほんの少しだけだったがみんなと乾杯できたし、コータローは嬉しそうにチョーキーと話していた。

10分ほどで打上げに戻り、盛り上がってお開き。二次会は連日の知床ラーメンへ。
ラーメンをすする一緒に行った連中をニンマリと見ながら「いいだろ。ここ!」と自分の店でもないのに自慢げに微笑むコータローであった。

ホテルまで戻りせっかくだからと写真を撮った。少年時代に戻ったようなコータローの表情がこの日の大成功を象徴しているではないか。
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5/11(日)
昨日から雑誌の密着取材が入っていたようで、この日も運転手で北上を巡る。
展勝地でカメラマンに質問された。
「佐藤さんって、PAですよね?どうしてサプライズや運転手までやってるんですか?」
それは登山をする人に「なぜ山に登るのですか?」と訊くのと同じで、「そこにコレクターズがいて、そして古市コータローがいるから。」と答えるしかない(笑)。

彼らが愛される理由はなんだろう?と考える。もちろん音楽や人間的魅力なのだが、それだけではない。
彼らはいろいろな人からの好意を自分たちのためだけに利用などせずに、きちんと音楽やファンに還元している。要するに循環しているのだ。みんなが気分がよくなる。

松本社長と話す。コータローの顔が昨日までと全然違うねと。
ホッとしたのか満足感か、確かに表情がやわらかい。

夕方、駅まで送り握手をして別れた。
これで北上でのドラマは終わりだ。一抹の寂しさはあるが、とてつもない充実感と、この夏にスタートするツアー、リリースするニューアルバムがさらに楽しみになる。

THE COLLECTORS...日本の至宝であるバンドのあらたな旅が、また始まった。


追伸
このブログを書きはじめた昨夜、こんなメールが届いた。

北上お疲れさまでした。
いやー、よかった!やった!ね〜(^▽^)
古市コータロー
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by higehiro415 | 2014-05-13 18:08 | 音楽