浅田信一 2015ツアーの思い出①
2015年 02月 28日
ステージ上のMCや飲みながらの会話で本人から語られた幾つかの言葉は、それを強烈に印象づけてくれたのである。
デビュー20周年というメモリアルイヤーである今年、残念ながらSMILEの再結成ライヴが諸事情により不可能となり、ファン以上にがっかりしていたのは他ならぬ信ちゃんだ。昨秋のイベント出演がいい感じだったようなのでなおさらだろうし、地元の友人たちで組んだバンドでデビューし上京したのだから、その気持ちは痛いほどわかる。
しかし!である。ソロとなり10年以上のキャリアを積み重ね、ここ数年プロデューサーとして大活躍している姿は、紛れもなく「SMILEの浅田信一」ではなくソロミュージシャン「浅田信一」だと僕は感じていた。
だからこそツアーも企画してきたしCDも作ってよ!と言い続けてきた。
大袈裟かもしれないが今こそSMILEの呪縛から解き放たれ、自由に軽やかにソロ活動を展開していけること、そしてそれをみんなで応援することが彼をより輝かせていくことになるのではないだろうか。
「去年のツアーももちろんだけど、今回はホントにいい旅でしたよ。なんかどこかでSMILEのことがずっと引っかかっていたし、ライヴに来る人にだけ聴いてもらえればいいやみたいな感じだったけど、なんか吹っ切れた。昨年コータローさんのアルバム作らせてもらったことも大きかったし。もっと頑張らなきゃね。ちゃんヒロともさらに親密になれたしさ(笑)」
だからファイナルの前々日、旅から東京に戻り怪しげな会員制の飲み屋でこの言葉を聞いたとき、浅田信一というミュージシャンの第3章の幕が確かに開いたのだと嬉しかった。
様々な要因や時の流れが、ようやくここに辿り着いた。機は熟したのだ。
1/29 移動日
ツアーの前祝いをしようということで、ススキノでラムしゃぶを食べまくった。大いに笑ったあと帰り道の狸小路でのサービスショット。決しておっぱい星人ではないのだが何故かこのポーズになってしまった。トホホ(笑)
1/30 札幌公演
モーニングバイキングで例のドレッシングをたっぷりかけサラダ大量補給。
ツアー初日、円山夜想。
感触を確かめるようにリハはじっくりと。今回はステージ上のiPhoneからリズムを出して演るもの数曲。エンディングに合わせPA卓でカットアウトしてくれというので、念入りに練習する。「最速のカモメ」でギターにディレイかけたらどうだろう?と信ちゃんがアイディアを出すが、札幌だけは飛行機移動で機材を持ち歩いていないので今後の宿題にした。
ライヴ本編は1年ぶりのツアーということで、どこかペースをつかめない様子。お客さんも緊張しているのか、前半は会場全体がちょっと硬い雰囲気だ。予定になかった休憩を挟む。楽屋へ行くと「お客さん楽しんでくれてるのかなぁ。ライヴってこんな感じだっけ?(笑)」と信ちゃん。やはり初日ならではの緊張もあったかもしれない。
後半は徐々にペースをつかみ、どんどん温かい空間に変わっていき、ラストは本当に大きな拍手が鳴り止まなかった。
このMCには客席が大いに沸いた。それほどみんなも待ちこがれているのである。そして公言したということは、自分を奮い立たせるという意味合いもあるかもしれない。
こうしてツアー初日は幕を閉じたが、このあと若干のセットリスト変更があったりするので、とてもレアなライヴになった。
1/31 移動日
空路で仙台へ。札幌より雪が多いが、めげずに飲みに繰り出す。
この日は友人のCK先輩も関西から駆け付けていたため合流。せり鍋をつついたあと国分町のショットバーで盛り上がる。もちろん今後の作戦会議も。
2/1 仙台公演
途中MCの最中「あっ、いまお腹鳴ったの聞こえた?なんか腹減ったなぁ〜(笑)」ステージ上でお腹が空いたなどと発言したのは初めてだったらしい。これもライヴならではだ。
後半の「夏の日の夕立、秋の日の果実」では、キーを間違えてセットしてしまったブルースハープのソロを咄嗟のアドリブで口笛に変更。これがまた良くて、この曲の間奏はこの日から口笛になった。
終演後は手伝ってくれた仲間たちも一緒に、打上げもまた盛り上がる。
2/2 移動日
順調に到着し、信ちゃんのプリプロルームへお邪魔する。竹友くんとのラジオ収録を見学したあと、ピックアップを付け直しているというギター(’69年製信ちゃんと同い年のGibsonハミングバード)が仕上がったというので2人で引き取りに行く。戻って音をチェックしたら上々で、西へのツアーはこのギターを持って行くことになった。
夜はホテル近くの餃子で軽く乾杯。
2/4 大阪公演
ツアー3本目ともなると、信ちゃんも僕もそれぞれ問題点や確認点がはっきりしてくるので、どんどんスムーズにリハをこなせる。その分あらたな部分にチャレンジしていけるので、少しずつステージングも音も進化していくのだが、それがツアーの醍醐味のひとつだろう。
2/5 移動日
これまで奇跡的に天候に恵まれてきたが福岡に入るあたりで途中雪になり、ノーマルタイヤで30km/h走行という時間も少しはあったが、雨に変わり1時間ほど予定より遅れただけで福岡へ到着した。
美味しいものをいただきながら、いろいろな話が出来て楽しい夜になった。
2/6 福岡公演
昼間は別行動。僕は福岡で執筆活動やご当地アイドルのプロデュースやイベントなど手掛けているO氏と打合せ。次につながる話が出来た。
夕方前に会場にイン。ONSAはライヴハウスではなくライヴもやれるイベントスペース。控室のない所では近くにホテルを取って、信ちゃんにはリハ後部屋に戻って待機してもらっていたのだが、何故かこの日の福岡はホテルがまったく取れず会場から遠くしか押さえられなかった。開場後は仕方なくスタッフのふりをして僕のPAスペースで待機。思ったより気付かれずに済んだが、あの気配の消し方は見事だった(笑)。
ライヴというのは演者と客席のキャッチボールであると言った人がいたが、まさに相乗効果抜群のステージであった。
昨年は定員以上に申込みがありライヴに入れなかったお客さんもいたので、今回はそのリベンジも果たせてよかった。音はなかなか苦労したが、なんとか大丈夫だった。
車で送迎してくれたセキさん、いろいろ手伝ってくれたフリーアナウンサーYちゃん、ありがとう!
2/7 移動日
一九ラーメンで舌鼓を打ってから、快適に広島まで移動。
行こうとしていたお好み焼き屋さんが閉まっていて、夕方のパトロールでたまたま信ちゃんが発見して気になる!とチェックした焼き物屋さんで夕飯。正解!
2/8 広島公演
昼はお好み焼きで昨日のリベンジ。ここは相変わらず美味い。僕はこれまで鉄板からヘラで取って食べるのがなかなかうまく出来なかったが、今日はバッチリ上達していてこぼさず食べられた(笑)。
リハをやって驚いた。床がウッディーだからという理由だけではないだろうが、音の響きがとてもナチュラルで気持ちいい。快適に音作りが出来た。
「若い時には書けなかったし歌えなかったうたを、今後自分の曲ではやっていきたい!」と力強く語る信ちゃんの決意みなぎる顔が印象的だ。
写メはたまたま見つけた店前でパチリ。
2/9 オフ日
今回のツアーは無理せずリフレッシュしながら回りたいねと、比較的ゆったりとした日程を組んだ。お互いおじさんになって無理も利かなくなってきたし(笑)、せっかく車であちこち行くのにホテルと会場と打上げの店だけでは勿体ないから、旅の楽しみもちゃんと味わいながら大人にしか出来ないツアーをと前々から話していたのである。
本当は名古屋へ移動しそこで1日オフにしようとスケジュールを組んでいたのだが、急遽うどんを食べに香川に寄って行こうとなり予定を変更した。僕は唯一行ったことのない地域、四国に初上陸することになった。
うどんマニアの知人から情報を入手。昼過ぎには閉まってしまう店も多いと知り、朝早めに広島を出発。
②へ続く...