佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
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ふたつの才能。

先週末の2つのライヴについて書こう。

ひとつは、来月メジャーデビューする秋田出身のシンガーソングライター、高橋優くん。

プロモーターから情報は得ていたが、何より敬愛するミュージシャンである浅田信一氏がサウンドプロデュースを担当し、更にサポートバンドのバンマスとしてギターを弾くと言うではないか。

そして信ちゃん本人からも、とても才能のあるシンガーだと聞いていたので大いに期待していた。

ライヴ当日の昼過ぎに、まず電話がきた。
「ども、浅田です。おつかれっす〜。いま会場に着いたんだけど、この近くに旨い牛タン屋ないすかねぇ?」
ちょうど僕は会場近くにいて仕事の合間だったので、とある牛タン屋へ皆を案内。

そして初めて高橋優くんと会い、その佇まいに、夜がますます楽しみになったのであった。

この夜の仙台Club Junk Boxは、5バンドのオムニバスライヴ。
1つ前のバンドもなかなか良かったが何せ音が最悪だったので、フロアの外で友人と話をしながら出番を待つ。

ほぼオンタイムで、いよいよ高橋優ライヴ初体験。

PAの音もコーラスが聞こえづらかった以外は、この日の他の出演バンドとはまるで違っていたし(後で聞いたら専属のPAマン同行で納得)、照明もきっちりしていた。
バンドの演奏もクオリティが高く、アレンジも素晴らしい(さすが信ちゃん!)。

そして優くんの歌である。
少し雑な面もあるにはあったが、見た目とは違い(失礼!)非常に骨太で、メッセージ性のある躍動感にあふれていた。

おじさん、2回ほど目頭が熱くなったぞ。
聴く人にズドンと響く歌って、なかなかお目にかかれない。
いい歌うたうね〜。

仕事目線になってしまうが、音や照明、曲のつなぎやMCなど(5曲だけだが)見せ方も計算されていて、トータルでプロの仕事人が関わっている質の高さを感じた。

これも大切なファクターのひとつである。
きっと、もっともっと大きくなるであろう。

紹介されることもなくバックに徹していた信ちゃん、クールでイカしてた!

ライヴ後は信ちゃんと2人、中華飯店(萬寿山)へ上海ラーメンを食べにいき、軽く乾杯となったのであった。



もうひとつは、いつか仕事ができる日がやってくるだろうと思っていた篠原美也子さん。
坂本サトル氏をはじめ何人かから噂は聞いていたのだが、会う機会に恵まれず何年か過ぎていた。

しかし今回ひょんなことから、東京マターでPAの話が巡ってきたのである。
東北放送東京支社のN氏→盟友Lapland小林氏を経由してのものだった。

これは何かの縁だと思い、彼女の久々の仙台ライヴのPAを快く引き受けさせてもらった。

今回の会場は仙台市中心部より車で10分ほど、広瀬川沿いのロケーション抜群のカフェ・モーツアルト・アトリエ。
17時半開場なのだが17時まで通常営業しているとのことで、セッティング〜リハを30分でやらねばならない。

Twitterやメールで会話していたので、そんなに緊張感はなかったとは言え初対面である。
お互いやや硬めの挨拶を済ませ、急いで準備をしサウンドチエックへ突入するも、途中で客入れの時間となった。

ここで篠原さんの性格が垣間見れた。
開場を少し遅らせて、もうちょいリハをやってもよかったとも思うのだが「あら〜、もう開場の時間!」とピタリとやめた。

そこには、お客さんを待たせたくないという気持ちと、あとは本番でなんとかなるわよ!(するわよ!)という思いもあったように推測する。

まぁ、僕も同じタイプなのでまったく問題はない。
本番で何とかするのが僕らの力量でもある。
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初めて生で聴く歌声は、力強さと繊細さが同居した、とてもダイナミックレンジの広いものであった。
思わず引き込まれてしまう不思議な世界を持っている。

問題意識丸出しの毒のあるものから、くだらない冗談まで、独特のMCも魅力的であった。

会場の都合でPA卓はステージ横にあり、さらにカフェという構造上音作りには苦労したが、終演後に外で一服していたお客さんが「きょうの音良かったね〜」と雑談していたのが耳に入りホッとした。

その日のうちに東京へ戻るというので、軽くご飯&ビールでプチ打ち上げ。

ようやく色々と屈託のない話ができたのだが、人間的にも非常に深みのある人であった。
たぶん僕よりちょっと年下なのだが、つい敬語を使いたくなってしまう(笑)

今後もいいお付き合いが出来そうな予感がする、心地いい夜となったのである。


love & fascination.
by higehiro415 | 2010-06-25 23:06 | 音楽 | Comments(0)

面接官と現実。

ラジオ制作セクションの新人採用のための面接が続いている。

これまでは専門学校であるとか知人のツテであるとかで補充してきたのだが、この春に採用した若手がヤワな理由でばっくれたため、急遽求人誌に広告を出した。

夏のイベント〜秋からのツアーと他の仕事が詰まってきたので、早急に補充しないと自分の首が絞まるのである。

僕が所属しているような小さなプロダクションが一般求人を出すのは珍しい。
なんだか華やかな世界に映るようだが、実際は相当過酷な職種なので、やってみたいという声を聞く割には応募が少ないというのが、これまでの現実だ。

ところがである。当初「10人くらいは来るかね〜?」などと話していたら、なんと50人ほどの応募がきた。
年齢は22歳〜51歳!まで。異業種からの応募が95%。
予想外である!こんなところで不況の現状を垣間見た。

いい人材を見過ごしたくないし10人位ならと書類選考はしない方針だったので、応募者全員と面接することになった。
しかし、これが実に厳しい。
80%の人は単なる就職活動の一環として応募しているからだ。

まず志望動機が弱い。弱すぎる。
ラジオ制作と明記しているのに、最近はあまり聞いていないと答える人がほとんど。
こんなことってあるかいな?
嘘でもいいから情報を仕入れてきて「この番組のここが好き」とか言ったらどうなのか?と思う。

Twitterでも嘆いたが、音楽への興味も知識もかなり物足りない。
本とか映画とかアート、ファッションとかカルチャーとかに興味を持ってる人も非常に少ない。

本気で働こうとして応募してきてるのか、僕には到底理解できないのだ。
あまり酷い人には「そんな意識で勤まるほど、この仕事は甘くないよ」と諭してしまった。

別に経験者でなければ難しいとか知識がないと不採用とか、そういう問題ではない。
要は、すごい好き!とか、めっちゃヤル気ありそう!とか、何かを持ってないと引っかからないということなのだ。
それは何もこの仕事に限ったわけではないだろう。
質の高い仕事を求められる業種なら当たり前のこと。

就職口がないとよく耳にするけれど、そういう準備もせずに面接に挑む側にも問題はあるのではないか?

そして同時に、そんな意識レベルで応募されてしまう、こちら側のステータスの低下も否定できないと感じた。
僕が20代の頃などは、よほどの覚悟がなければ応募すら躊躇してしまう世界だ。
しかしディレクターや喋り手のプロフェッショナル感は、年々下がってきていると言わざるを得ない現状だ。

これを機に、自分も含めて業界全体がブラッシュアップに努めなければ、このまま落ちていくだけだろう。
そんな事を考えさせられる、いい機会ではある。

面接は今週末まで続く。


love & interview.
by higehiro415 | 2010-06-22 18:42 | 日記 | Comments(1)

アナモン

遅ればせながら、先週末の下北沢440でPAをやらせてもらった、アナログモンキーズ・ライヴレポを。

アナモンとは古市コータロー(コレクターズ)と浅田信一(ex.スマイル)による、謎のデュオユニット?(コータロー談)である。

そんな活動をやっていたのは知っていたが、生ライヴは初体験。
普段から息がピッタリの2人による、懐かしい曲のカヴァーは非常に楽しみであった。

遊び心にあふれた、ゆる~い感じなのはコータローとの事前電話で察していた。

髭「何か特別なこととか持ってくものある?」
K「まぁさ、PAっつっても、俺たち大したことやるわけじゃないからさ。手ぶらで来てよ」

朝イチで仙台の仕事を片付け、きゃわいい「むすび丸弁当」を食べつつ東京へ向かった。
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少し早めに会場に到着。下北沢は何度も仕事で来ていたがここは初めてである。
オープンにもなる大きなガラスとウッディな感じが心地よいカフェレストラン。
雰囲気サイコーである。
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セットリストは聞いていなかったが、
Twitterでのやりとりから演る曲は何となく予測していて、
それに合わせて僕も昭和な温もりのある音にしようと決めていた。


音質というより空気感を出したかった。


前売りSold Outで満杯のお客さんに、
少しでも2人のユルさを楽しんで欲しかったからだ。




リハーサル前のセッティングで、まずびっくり。
譜面を見ながらやると思っていて譜面台を出していたのだが「小さいテーブルがいい」とのこと。
なんとそこにMacを置き、PCをいじりながら中に入っている歌詞を見つつやると言う。

ステージ中のMCでも言っていたが、アナログ〜という名前を付けながら思いっきりデジタル感満載ではないか!(笑)。でも嫌いじゃないな、その感じ。

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2人の後ろにはウイスキーの水割りセットのような飾りが置かれた。

「いや〜10年ぶりに食べたよ!」と言いながら、
仙台からの土産、萩の月をそこに忍ばせる男。

「わかる人が見たら気付く感じがいいのよ」と言っていたわりに、
あっさり本番中のMCで僕からのお土産だと、
黄門様の印籠のように箱をかざしていたコータローであった。




セットリストに関しては信ちゃんがblogにアップしたので触れないが、なかなか興味深い選曲であった。
http://www.asashin.net/
(個人的なツボは「All My loving」と「また逢う日まで」)

どの曲も自分の持ち歌のように歌いこなす信ちゃん(飲みながらなのでやや赤ら顔)、照れながらもまんざらじゃない様子で歌うコータロー。

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ちと語弊があるかもしれないが、2人がとても微笑ましく可愛く見えた。

これをキュートと言わずして何と言う?
こんな40代♂って素敵じゃないか!

さらには飲み屋の会話のようなMCには、何度も声を上げて笑ってしまった。
面白すぎる!


そして意外?に盛り上がったのがカラオケであった。
(コータローによると技の導入らしい。http://www.prosoundcommunications.com/kotarofuruichi/)

前日に信ちゃんから「カラオケないすか?」と連絡があった。
たぶんラジオ局にあるだろうと思っていたら無かったので、近所のカラオケBOXに行きマシンの裏をこっそりつなぎ替えてGetしてきた(笑)。

リハでは時間が無くなりオケを出すタイミングまで確認できなかった。
適当でいいと言われても、カラオケって出すタイミングを間違えると、非常に間抜けな感じになるのだ。

だから終演後に2人に言われてホッとした。
「オケ、ここしかない!ってタイミングで出たね〜。ラジオやってるだけあるわ」と。

でもこれは僕が良かったわけではない。
「んじゃ、マスター!」というアドリブでのフリが絶妙だったし、2人の呼吸を知っていたから、あのタイミングしかなかっただけなのだ。

それにしても、あんなにマジで熱唱するとは思わなかったぞ(笑)。
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まぁ、そんな感じで終了したのだが、遊びと言いながらあんなもん見せられたらたまらない。
2人が元々ああいう、ゆるキャラの部分を持っているとは言え、あの実力と存在感と話術とキャラは圧倒的だ。

ますますファンになってしまうではないか!

なんだか仲の良い兄弟みたい〜と話していたお客さんがいたが、僕の見解は従兄弟だ。
その微妙な距離感が、独特の雰囲気を醸し出しているような気がした。

終演後は「ブランデーはいいの?」とからかわれながらウイスキーを楽しく飲ませてもらった。

わざわざ来てくれたんだからと僕がおかわりをしにバーカウンターに行く度に隣に来て「今日はいいから!」と財布を出すコータロー。
ツアーの時の信ちゃんもそうだったが、奢りがどうとかの問題ではなく、そういう気持ちが嬉しかったりするものだ。

こういう男意気のあるところも、2人の共通項のひとつだろう。

とにかく僕も遊び気分でPAができたので、感謝である。
肝心の音のほうは?PAブースが客席前方の横だったので自分で判断をしづらいが、たぶん大丈夫だったのではないかと思う。

声をかけてくれた皆さん、差し入れをくれた皆さん、Twitterでコメントくれた皆さん、ありがとうございました!

おかげで楽しさが増しました。
またね!


love & loose.
by higehiro415 | 2010-06-17 20:54 | 音楽 | Comments(6)

近況

昨日『The黄昏カラアズ』のMini Albumのマスタリングが終わった。
髪を切りシャンプーをした後のヘアブロー的なものだ。

音の好みは人それぞれなので、どんな感じに仕上げるかは悩みどころ。

一発録りの良さを生かすために、よりバンド感のある音を心がけたつもり。
なかなかの仕上がりになったと思う。

8/10にリリースするようなので、乞うご期待!


そして某結婚式場のCMに付随して録音していた『幹』の音源。
必死にアレンジをし、バンドでの音録りのあと地道にギターやらストリングスやらを重ねた。

こちらも遂に出来上がった。

あまりにも出来がいいので、急遽もう1曲レコーディングしてシングルとしてリリースすることになった。

カップリング曲は現在アレンジ&プリプロ中。
最近のライヴでも評判のいい曲で、とても素敵なメロディーを持っている。
アコースティックでシンプルな感じに仕上げるつもりだ。

リリースは未定だが、秋が来る前には出せると思う。


そう言えば昨日マスタリングをやったスタジオの隣のビルで、仙台のジュニアアイドルユニットのジャケット撮影とPV撮影をやっていた。

坂本サトルがプロデュースしている物件で、サトルから電話が入っていたので、ちょっとだけ覗きに行ってみた。

どんな顔でアイドルの仕事してるのかと思っていたが、意外と(予想通り?)楽しそうで安心した。

そろそろ9月のバンドツアーの打合せしなきゃ。


そんな感じの週明けである。

関係ないけど明日はロック(6/9)の日、そして胸キュンの日でもあるそうだ。


love & seed.
by higehiro415 | 2010-06-08 18:49 | 日記 | Comments(1)

Made in UK.

1993年、29歳。すべてに行き詰まっていた。

バンドブームの中ひたすら仕事に没頭する毎日。
オーバーペースになり質の追求は二の次になっていた。
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バブルで浮かれたクレイジーな音楽業界人との付き合い。
(自分も十分クレイジーではあったが…)

幼児体験と精神の不摂生により、知らずに歪んだ恋愛観。


メンバー間の不仲により解散を余儀なくされた自身のバンド。
曲を作りギターを弾くことにも興味を失った。


もう音楽から離れるしかないと思った。
他の何かを見つけなければ、と。

きっかけが欲しくて渡英した。
いや、本当はすべてから逃げ出したかった。

旅行で3日しか滞在したことのない憧れの町、ロンドン。
007とサンダーバードを生み、ビートルズやポール・ウェラーらが息をしていた街。

はじめの1週間は、ただひたすら街を探索した。
ギャラリーやシアターや公園、カフェやパブやあちこちの通り。
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それだけで、いろいろなことを学んだ。

手ぶらに新聞だけ持っていると地元の人と仲良くなりやすいこと。
クイーンズイングリッシュが、僕らが学校で教わってきたアメリカンイングリッシュとかなり違うということ。
酒はベロベロに酔うためではなく、楽しく時間を過ごすために飲むのだということ。
レディーファーストやライン(1列に順番に並ぶ習慣)の概念。

平静を取り戻し始めた頃には、敢えて避けていたロックに関わるスポットを回り始めた。

ピート・タウンゼンドとキース・ムーンが住んでいたアパート。
デヴィッド・ボウイやストーンズがジャケ写を撮った場所。
プリテンダーズの1stが録音されたスタジオ。
ジミヘンがギターを修理に出していたギターショップ。
クラッシュがレギュラー出演していたライヴハウス。
P.ウェラーが散髪している床屋やオアシスのノエルが通うレコード屋などなど。

そしてナイトクラブやライヴにも通い出した。
クラブでは7inchのレア・グルーヴを回すDJに仲間に入れてもらい、ライヴハウスではPAのオヤジに頼み込んでサウンドチェックを見せてもらったり。

場末のパブへウィルコ・ジョンソンを観に行ったとき、背後から「こげんとこで、何しとっと?」と鮎川誠さんに声をかけられ、ライヴ後にウィルコを紹介してもらったこともったなぁ。
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クラブやマーケットでDJをやらせてもらい、路上ミュージシャンとセッションし、ライヴパブでPAを手伝わせてもらい、時には危ないことに手を出したり(笑)しながら暮らした。


この頃の話しをすると長くなってしまうので割愛するが、音楽に関わることに嫌気がさして逃げ出したロンドンだった筈なのに、気付くと前以上に音楽に刺激を受け恋している自分がいたのだ。


ただ、日本に戻って、また同じ仕事をしようとは思わなかった。
今までは目がいかなかった別のことがしたくて、レコードバイヤーとしてイイ音楽を日本に輸入紹介し、同時に地元仙台のクラブやライヴハウスシーンに底辺で協力できないかと考えるようになっていた。

それから何度も渡英しているが、この時こそが自分の人生の大きな転換期であり成長期であった。

何かを捨てれば新しい何かを得る!という自分なりの根拠と現在の仕事へのスタンスは、この時の体験が元になっている。


love & restart !
by higehiro415 | 2010-06-05 12:20 | 日記 | Comments(4)