佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


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2010回想

僕の2010年はどんな1年だったかなぁ〜と考えてみる。
今年はじめに立てた目標は、プライベートなことはあまり実現できなかったが、仕事に関して言えばだいぶ達成できたような気がする。

まだまだ自分のスキルアップを計りたいという欲求は、もちろん自分自身の努力もあるのだろうが、何といっても素晴らしいプロフェッショナルな人たちと一緒に仕事ができたことで鍛えられ、グンと向上したように思う。

でも同時に、技術やセンスを極めるってことは果てしない荒野を彷徨うのにも似て、どこへ向かいどこまで行けばいいの?という厳しい現実にもぶち当たった。
1段階は突破できたかもしれないが、見えないゴールまではほど遠く、来年もさらなる自分磨きを続けなければいけないなぁ〜と感じている。

それでも今年の仕事の充実ぶりは本当に運が良かったと思うし、一緒に仕事をさせてもらった方々への感謝は計り知れない。
そしてそれに伴い知り合った方たちとの出会いも、かけがえのないものになりそうだ。

もちろんメンタルな問題で悶々としたり、初めて商売道具である耳の調子を悪くして不安のあまり眠れぬ日々を過ごしたりしたが、まぁトータルで見れば出来過ぎで、こんなに恵まれることなど稀だし、実は死ぬ前の最後のご褒美?なんて少しナーバスになっていたりするのである(笑)。

だからという訳ではないが、僕にとって大きな意味を持った2010年の仕事を駆け足で振り返ってみたい。


今年は1月からインストアライヴなどちょこちょこあったが、大きめのライヴPA仕事初めは2月の浅森坂(渋谷BOXX)だった。

僕はこのユニット(もちろん3人それぞれも)が音楽的にも仕事的にも大好きで、主旋律とハモリが目まぐるしく交錯するというPA泣かせのハーモニーをいかに気持ちよく出すかという命題をクリアしたときの快感は、その分気が抜けないという緊張感も含めて他ではなかなか味わえない。

そして3月、SMILE 15周年のAcoustic SMILE全国ツアー。
笑って泣いて感動した3人での車の旅は、以前blogにもさんざん書いたが本当に大切な宝物になった。
全てを回れなかったのは残念だが、僕の新たな出発点になったと言ってもいいくらいの出来事だ。

そして3月末にはThe Collectorsと久しぶりの仕事。
これも僕にとってはとても大きな意味を持つものとなった。

語弊があるかもしれないが、仕事うんぬんという以前に、なんか昔からの仲間が互いに頑張ってる姿を見て勇気づけられるみたいな。
歳はくったが俺たち何も変わっちゃいないしまだまだやれる!というモチベーションにもなった。

もちろんそれはお互いに体を張って第一線で頑張ってきたからこそのことだし、むしろ昔より今のほうがイイ!と思える大人って、なんか素敵じゃない?

4月には仙台から羽ばたいたカラーボトルの超満員インストアライヴを何本か担当し、紅白歌手・水森かおりのワイドショーでも取り上げられた新曲リリース船上ミニライヴ。

5月にはArabaki Rock Fes.での坂本サトルBand。
HEATWAVE、Theピーズとの再会も楽しめた。

その間に平行して仙台のインディーズ、The黄昏カラアズ、幹mikiの2つのレコーディング。
これまでもレコーディングは数多くやってきたが、いわゆるサウンドプロデュースも含めた密接な関わり合いは久しぶりだけに燃えた。

6月にはアナログモンキーズ(下北沢440)に篠原美也子(仙台カフェモーツアルト)。

7月は坂本サトルBand、ベッキー、AAAなど出演のTBC夏まつり(仙台市民広場)。

宮城県白石市でのホワイトキューブ音楽祭は、企画の段階からいろいろと関わらせてもらい、大変ではあったがとても大きな成果が残せたと思う。
何より出演者(神野美伽、アントニオ古賀、山口洋、リクオ、坂本サトル)が素晴らしかったし、クラシック向けのホールでのポップスの音作りの難しさなど、ここでも多くのことを学んだ。

8月は七夕のイベントや何故か北乃きいちゃんのインストアライヴの依頼がきたり、七ヶ浜国際村で行われたイベントで三宅伸治氏と久しぶりに会えたりしたのも変化があり刺激になった。

9月には坂本サトルwith His Bandの全国ツアー。
今回は最高のメンバー(石崎光、佐藤達也、坂本昌人、Cherry)だっただけに音作りも非常にやり甲斐があったし、サトルも気合い十分で札幌・仙台などは本当に感動的なライヴだった。

その合間に少年の頃からの憧れだったRCサクセションの仲井戸麗市(チャボ)さんとの再会・初PAがあり、これは嬉しかったとか燃えたという以上にこの仕事を続けていく原動力をもらった。

10月、かしぶち哲郎(ムーンライダーズ)さん恒例の仙台でのレストランライヴ。
一昨年ライヴ録音したものが、ようやくCD化になったのもホッとした。

10月末から坂本サトルの弾き語りミニツアー。
一緒に全国を回るようになって4年?チームワークと信頼関係の大切さを再確認するものになった。

平行して春に続き水森かおり、そして矢沢洋子(永ちゃんの娘ね)。

それから記憶に新しいザ・コレクターズの素晴らしすぎる仙台2days。

12月に入りHip-Hop/R&B専門レーベルのNo Doubt TracksのZeppでの所属アーティスト総出演のスペシャルイベント、The黄昏カラアズがOpeninng Actを務めたスウェーデンの歌姫Maia Hirasawaのカフェライヴ。

幹mikiのdarwinでのワンマンはバンドアレンジなどもやったのでとても大変だったが、とても好評で来年への大きなはずみになった。
来年春にはアルバムを出す予定だが、とても楽しみなお知らせがそのうち出来ると思う。

12/21にはNHK-FMの公開生放送ライヴ。
ドロシーリトルハッピー、熊谷育美、SHANTI(トミー・スナイダーの娘さん)、坂本サトルAcoustic Band。
若いながらも非常に歌唱力もムードもあるJazzyなナンバーを歌うSHANTIは、いっぺんでファンになってしまった。

12/22は「びすた〜り」という仙台の長町にあるレストランでのディナーライヴ。
坂本サトル氏との今年最後の仕事は、締めにふさわしい素敵な夜になった。
詳しくはサトルのオフィシャルblogを参照して欲しい。
何かここにきて、いい感じに抜けてきた頼もしさがある。

そして12/25のPA仕事納めは下北沢Club Queでの浅田信一&メランコリーズ。
1年ぶりの信ちゃんのソロを見に、フロアはぎゅうぎゅうの人で溢れた。

最近は高橋優くんのサウンドプロデュースやライヴサポートで忙しく、兄貴分としての役割も含めとてもいい仕事をしてるなぁ〜と思っている。

それでもやはり、信ちゃんにはフロントに立って歌をうたって欲しい!と願わずにいられないライヴだった。
あの魅力的なメロディーと声は日本の音楽シーンに必要だし、もっともっと多くの人に聞かれる(聞かせる)べきだ、というのが僕の正直な意見である。

サポートしたコータロー氏は相変わらずの飄々とした存在感でまわりを優しく包み込み(もちろんギターもコーラスもすごい良かった)、はっちゃんは嬉しそうな顔で真心の鍵盤プレイを聞かせてくれた。
2人とも本当にGood Job ! だった。


まぁ、そんな感じでザッと思い返してみたが、本当に濃密な時間を過ごせた。
書ききれなかった他の仕事も、ひとつひとつ意味あるものとして刻まれた。

だけどこのまま終わる訳にはいかない。
もっともっとハートを込めて音に接していきたいし、このカタチになりつつあるイイ感じを、来年へつなげて花を咲かせないと。

音楽が紡いだものではあるが、やはり最終的にはHeart to Heartの信頼関係の上に成り立った、プロ同士のプライドと技の交流でありたい。

ただ懐かしむ間柄になるには、僕らはまだまだ早すぎるのだ!


love & ambition.
by higehiro415 | 2010-12-31 12:15 | 日記

手書き。

あと2日で今年も終わるんだなぁ〜。

いつも年末を実感するのは、年賀状を慌てて用意し半泣きで書き終わった頃である。
たいがいは30日だったりするので、今年は実は早いのだ。(1日だけw)

形式だけの年賀状のやりとりはやめて久しいが、たまにしか会えない遠くの知人やお世話になった人には、やはり気持ちを込めて出したいと思う。

いちおう裏面はPCで自分なりのデザインを考えて作っているのだが、表面の住所と宛名は手書きなので、けっこう時間がかかる。

ここ数年は自分がもらう年賀状のほとんどが、宛名と住所も印刷されたもので、パッと見で誰からのものか見分けがつかなくなってしまった。
ならば自分は乱筆ではあるが、それも個性だろうと勝手に思い込み、宛名の手書きを続けている。

それでもやっぱり字は綺麗なほうがいい。
どうにか字が上手く、いや上手くまでいかなくとも、読みやすく味のある字を書けるようになりたい!と思って数年が経ってしまった。

最近では仕事でもプライベートでもPCでばかり文字を打っているので、文字を書くという行為自体が少なくなってきた。

そんなことも考え、日々のスケジュールや思ったことなどを書き込むという、字を書く習慣をつけるようにと手帳を持ち歩いているのだが、これまた億劫になりつい携帯に用件をメモしてしまう。

来年こそは!と思い、手帳はちょっとだけ高級で気に入ったものを探し出した。
書く以前にまずは手帳を出すという行為を促すために、来年用は使い勝手よりルックスで勝負することにしたのである(笑)。
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カバンから出せば…書くだろう(たぶん)。

こうやって自分を追い込まないとダメな性質なのよ。
ほんと情けない年男(来年ね)なのである。
とほほ。。。


love & year-end
by higehiro415 | 2010-12-30 02:24 | 日記

12/25 BGM使用曲

12/25 Club Queにて開場時/終演時にBGMとして流した曲です。(順不同)

Merry Christmas Darling / THE CARPENTERS
Leave Me(Like you found me) / WILCO
You Didn't Have To Be So Nice / ASTRUD GILBERTO
Driving Home For Christmas / CHRIS REA
I Hope You'll Be Very Unhappy Without Me / BILL LaBOUNTY
Don't Let Me Be Lonely Tonight / KENIA
Little Saint Nick / THE BEACH BOYS
In Love For The First Time / THE STYLE COUNCIL
Bigger, Brighter, Better / RODDY FRAME
Love, Oh Love / VINCE ANDREWS
Moon River / BOB DOROUGH
Midnight At The Oasis / MARIA MULDAUR
Happy Xmas(War Is Over) / JOHN LENNON
Sunday Morning Love / KENNY RANKIN
You Light Up My Life / CAROLE KING
Country Time Rhymes / THE FIFTH AVENUE BAND

これらをフロアの雰囲気をみながらセレクトして流してみました。

途中で Hall&OatesのKiss On My List や Joni MitchellのAll I Want なども用意していけばよかったなぁ〜と思ってますが、まぁいいでしょう。

では、穏やかな年末を!
by higehiro415 | 2010-12-27 11:13 | 音楽

小説・Start Me Up

◆Mrs. Nazroo

Kinya Otoha(音羽金也)と名乗る青年が、つたない英語で私の家にステイさせて欲しいと電話をくれたのは、確か1992年の2月下旬、お昼を少し回った頃だったかしら。
その日は朝から鉛色の空で、無くなりかけていた愛用のハンドクリームを買いにマークス&スペンサーへと出掛けようと髪を梳かしていたら、電話のベルが鳴ったの。

その年のはじめに外国人のための英会話スクールに貼り出していた、私のホームステイ募集の紙を見たらしいのよね。
貼り出してもらったことさえ、すっかり忘れていたわ。

故郷のスイスからロンドンへ移り住んで38年、夫が天に昇った8年ほど前から私は外国人留学生をホストファミリーとして受け入れてきた。
そうは言っても他のホストファミリーのように、生活のため(つまりお小遣い稼ぎのため)常に誰かを住まわせてきたわけではないのよ。

ここに来た時にまわりから受けた恩によって私が助けられたように、今度は志を持つ外国の若い子に何か約に立てればいいと思うだけ。
だから忙しい時や自分の心に余裕がない時は、きちんと向き合ってあげられないのでお断りしているの。

でも今回はタイミングが良かったので、会って話を聞いてみることにしたのよ。
礼儀知らずの生意気な外国人だったら、さっさと追い返せば済むことだし。

あら、私ったら。どこの国から来たのか訊ねるの忘れちゃったわ。


◆Kinya

雰囲気はいいが冷たくて水圧の弱いB&Bをチェックアウトした金也は、ヴィクトリア駅近くの外国人向け英会話学校に来ていた。

何の予定もないがせめて会話ぐらいは習得したいと考えていたからだ。
とは言え英語の勉強が目的ではないのでとりあえず午前中コースの申込みを済ませ、掲示板に貼り出されていたホームステイ募集の紙切れを見る。

B&Bに長期滞在することも考えたが、イギリスの生活を知るにはやはりステイしたほうが何かといいのではないか?と思った。
それに現状に嫌気がさしノコノコと日本を逃げ出してきた金也にとって、昨夜のような一人きりの夜は自分と向き合わねばならないような気がして、到底耐える自信もない。

貼り紙には住所と料金、そして条件(というか約束事)が、おそらくそれぞれのホストファーザー(またはマザー)直筆の素っ気ない文字で綴られている。
どこにしようかと迷ったが「朝食・夕食はダイニングで私と一緒に食べること。あとは自由に楽しみなさい」と書かれた貼り紙の電話番号を手帳にメモして、金也は学校を後にした。

決め手はコメントの感じが気に入ったこともあるが、ほぼ直感だ。
頭でどうこう考えても最終的には直感に頼って決断してきた習慣は、そうそう変わるものではない。

公衆電話を見つけるとコインを入れボタンを押す。

呼び出し音が聞こえてから「あれ?こういう時、英語でなんて言えばいいのだろう?」と脳みそを回転させようとしたら「Hello. This is Nazroo」と声がする。
慌ててしどろもどろになりながら、金也はステイしたいのだがと何とか伝えた。

電話の向こうの、話し方から想像するに温厚そうなおばさんは「面接したいから今から来られる?」と言うので「もちろん。すぐ向かいます」と金也は受話器を置いた。

国籍とか訊かれなかったけど、いいのかな?まぁ、いいか。


◆Edward

俺の名前はエド。

London Underground・Northern LineのClapham South駅前のコーナーショップの店長やってるのさ。
Undergroundつっても、イギリスじゃ地下鉄のことだぜ。

クイーンズイングリッシュが本当の英語なんだよ。わかるか?

ホテルの1階はグランドフロア、2階がファーストフロア。
Oftenはtも発音するのが英国流さ。

おっと、前置きが長くなっちまった。

あいつが初めてここに来た時のこと、はっきり覚えてるぜ。
まだ肌寒い午後、俺が遅めのランチのKebab(あ、米国ではKabobな)をつまみ終えたとこだった。
でっかい荷物とギターを抱えた髭面の野郎がWinstonを買いに来たんだ。

はじめはブラジル人かと思ったぜ。
なんせこの界隈で日本人はあまり見かけないからな。

Winstonを2箱手渡すと、今にも泣き出しそうな目で俺にメモを見せ言った。
この住所に行きたいんだが、家がどれも同じで表札も出てないから分からないと。
ドアや庭門の特徴を聞いておけってんだよなぁ〜、まったく。

俺は笑いながら教えてやったさ。
近くまで行って片っ端からドアをノックすりゃわかる!ってな。

後で聞いたんだが、そしたらあいつ本当にそうやって辿り着いたらしいぜ。
きっとKnockin’ on heaven’s doorでも口ずさんでたんじゃねぇのかな?

金也、あっ、俺はGold Boyって呼んでたけどな、懐かしいぜ、まったくよぉ。


◆Mrs. Nazroo

ドアをノックする音が聞こえて玄関に出ると、国籍不明の青年が立っていたの。
大きなスーツケースとギターケースを持って。

まぁ訊き忘れた私がいけないんだけど、よくよく見れば日本人だとわかるわ。
でも無精髭にサングラスでミリタリーのパーカーを羽織り、腕にはターゲットマークのワッペン。
どう見てもアジア系には見えなかったし、ましてや日本人とは驚いたわよ。

とにかくリヴィングのソファに座ってもらい、DRURYのダージリンティーとWalkersのショートブレッドをテーブルに置き、Kinyaとの面接をスタートさせたの。

「初めまして。私はナズロー。電話で聞き忘れたのだけれど、どちらから?」
「日本からです。東京から車で北に約5時間の仙台という緑の綺麗な地方都市です」

「英会話スクールでここを知ったということは、語学留学ね?」
「いや、違うんです。学校には通うつもりですが」
「あら。じゃ、お仕事かしら?それとも単なる観光?」
「いや、目的は特になくて、う〜ん、自分探しの旅と言うか…何かを見つけに」

「日本でのお仕事は何を?」
「音楽関係の仕事でしたが、いろいろあって別の道を探そうと思ってます」
「明日からどうするの?」
「とりあえず大英博物館や美術館に行って、そしてあちこち散歩してみます」

「何かあなたのほうから質問はある?」
「他のことは自由なのに、朝食と夕食だけは一緒に食べるというのはどうして?」

「ホストファミリーだからといってずっと一緒に時間を過ごす気はないの。あなた大人だし。かといってずっと別々じゃコミュニケーションも取れないし、1日に2時間でも食事しながらお互いの国のこととか文化とか話せたら面白いじゃない?それに生きている限りちょっとしたルールは必要なものよ。自分1人じゃないんだから」

「納得です。ナズローさんの生活や考え方に触れることで、何か人生のヒントが見つかるかもしれないし、何せ小さい頃からの親との関係不具合のせいで人とベタベタ一緒にいるのは苦手なので丁度いいです」

そんなやりとりの後世間話を30分くらいして、私たちの契約はすんなりまとまったの。
穏やかな中にもクールではっきりしている部分もあり、この街にきっと合うかもしれないと直感したわ。

悪いこと出来そうにない顔だったし、食事以外は合鍵を持たせて勝手にやってもらうことに決めたの。


◆Kinya

ここ使いなさいと案内された3階(2nd Floor)北側の8畳くらいの部屋に荷物を置いたら、猛烈な眠気が襲ってきた。
手作りらしき毛糸の可愛らしいリースが飾られたベッドに、金也は横たわる。

しばらくしてハッと目が覚めて時計を見るとおよそ2時間が経過し、淡い黄色でペイントされた窓枠の外は薄く夕暮れが忍び寄っていた。
夕飯の時間は18時半と言われていたので、あと1時間半はある。

愛用のRickenbacker330は、ケースに入れたまま部屋の隅に立て掛けた。
しばらく弾くことはないだろうと思ってはいたが、何となく可哀想で持ってきた。

ウォークマンは日本に置いてきたし、物心がついてから初めての音楽のない生活だが不安や寂しさはなかった。
音楽から逃れようとロンドンに来たのだから、それはむしろ清々とした気分だ。
それより明日からの有り余る時間をどう使うかが大切なのだ。

パンパンに詰めてきたスーツケースを開けクローゼットに片付けながら、明日からの計画を頭の中で練り始める。

ほんのりと海老らしき匂いが漂ってきて部屋のドアを開けると、階段の下のほうからはキッチンで何か炒めているジュジューとした音が聞こえる。
ナズローさんの軽やかな鼻歌は洋風の童謡らしきメロディーで、当たり前だが英語だ。

金也はようやく、あ〜ロンドンにいるんだなぁ〜と実感する。


◆Rickenbacker330

僕の名前は330。前にどこかで会ったよね?

さてさて、ここに来て1週間。
そろそろ僕も外の空気を吸いたいけれど、まだケースからは一度も出してもらえないよ。

彼のここでの生活は、まさに健康そのものさ。
朝6時過ぎにはベッドを出て、まだ息の白い外に出て近所を散歩。

戻ってきて30分くらいは地図とにらめっこする。
たぶん今日行ってみるところの下調べだろうね。

8時にはゆっくり朝食とって、その後学校へ。

午前中の授業が終わってからは、あちこちブラブラして夕飯時に帰宅。
食後の紅茶を飲んだらどこかのパブへ繰り出し、夜中に帰ってきてシャワー浴びて寝るというパターンさ。

ナズローさんは料理上手だから結構食べてるはずなんだけど、まぁある意味規則正しいし、だいぶ歩いてるみたいだから、いい感じで身体が締まってきたんだよなぁ。

それにしても部屋にいても何の音楽もなく地図見てるか本読んでるかだし、いったい毎日どこブラブラしてんだろう?

このまま僕はレスタースクエアにある、ジョー・ストラマーが通う楽器屋に売り飛ばされちゃうのかもしれないなぁ。


◆Edward

あのGold Boyとは、あれからほぼ毎日顔を合わせることになったぞ。
しかも朝夕、1日2回だぜ。
そりゃ親しくもなるってもんだ。

まぁ俺の店は駅への階段のとこにあるからよ、ここら辺に住んでいてチューブを使ってる奴はほとんどが顔見知りなんだがな。
おっと、ロンドナーは地下鉄をTubeって呼ぶんだ、テレビはTerryだ。
また脱線しちまった。

Gold Boyとは朝は手を挙げて挨拶する程度なんだが、夕方はいつもWinstonだのTunnocksのティーケーキだの買いにくるから自然と話もするわな、そりゃ。
今日はどこへ行って来たんだ?とか、まぁそんな話さ。

最初のうちは大英博物館だのテート・モダンだの美術館巡りや、あと、何だっけなぁ。
そうそうウィンザー城も行ったみてぇだな。

あとはテムズ川沿いをただ歩いたりハイドパークやグリーンパークでボーッとしたり、あちこちのカフェで紅茶飲みまくって、夜は場末のパブでスタウト飲んで。
まったく呑気なもんだぜ。

こっちのビールは旨いが冷えてないとかほざいてたが、スタウトは常温で飲むものだっつうの。
ありすぎて忘れちまったがよぉ、他にもあいつにはいろんなこと教えてやったぜ。

パブでカクテル頼む時はwith ice ! と言わなきゃ氷が入ってこないことや、カバンなど持たずに英字新聞をケツのポケットに入れて歩くとよそ者に見られないこと、あとTaxiの乗り方とか、もちろんレディーの口説き方もな。えへへへ。

最初Gold Boyを見たときギターケース抱えてたから音楽好きなんだと思ってよ、ライヴ情報ならTime Out見りゃ一発だぞ!って教えたんだが、音楽はNo thank youって言われちまった。

その一言で俺はピンときたぜ。
あのケースの中身だがな、ギターじゃなくライフルかなんかだぜ、きっと。


◆Mrs. Nazroo

Kinyaがうちに転がり込んできてから10日ほど経ったかしら。
最初から気になっていたこと、思い切って彼に聞いてみることにしたの。

「ロンドンはどう?」
「歩いてるだけで楽しいよ。文化というか歴史の匂いがプンプンするね」

「ところで他人の人生に口出しするつもりはないけれど、今の仕事ほんとにやめるの?」
「はい。もうこりごりって感じです」
「何が理由で音楽が嫌いになったのかしら?」
「いや音楽がというより、音楽の仕事とそれに関わる自分が嫌になったのかなぁ」

「好きなことを仕事にするなんて幸せじゃない」
「仕事だと好きな音楽だけやるわけにいかないし、次々こなす感じがなんか愛情を注いでない気がして。それに浮かれて勘違いした業界人に愛想が尽きたのもある」

「自分がそれに染まらなければいい話じゃないの?」
「でもやっぱり妥協も必要だし、なんだかすべてが歪んできて腐っていきそうだし」
「それって音楽やまわりのせいなの?自分の心掛けや信念や弱さのせいじゃないの?」
「そうですね、きっと。だから自分が音楽の世界に向いてないのかなぁ〜?って」

「私はね、Kinya。人にはそれぞれ役割があると思うのよ。役目、使命とも言えるわね。あなたはきっと音楽の神様に選ばれたの。そうでなきゃ最初っからそんな仕事に就けやしないし、ましてや続けられやしないわ。だから他の何かを探すのではなく、音楽の中で自分の役割が何なのかを探すことが先決よ!」

Kinyaは俯いたまま、ぬるくなったアールグレイをちびちびとすすっていたわ。
ちょっとキツイかしら?と思ったけれど、この子はきっと大丈夫。
目を見ればわかるわ。


◆Rickenbacker330

ロンドンに連れてこられて2週間。

僕はようやくケースの外の空気を、思いっきり吸い込んだんだ。
もう窓の外は暗くて風景は見えないけど、凛としてほのかにローズの匂いが漂うこの部屋の感じ、紛れもなく日本じゃないってことはわかったよ。

彼にどんな心境の変化があったのかは知らないし、もしかしたらただの気紛れな時間潰しかもしれないけれど、ケースの中じゃ僕の役目は台無しだもんな。

何を弾いてくれるのかでだいたい彼の気分は察しがつくけど、イギリス盤アルバムヴァージョンのMy Ever Changing Moodsってのは、ちと意外だなぁ。

久しぶりなんだからさぁ、もっとこうYou Really Got Me(あっ、キンクスのヴァージョンね)をガツッと弾くとかさぁ。

まぁでも、何だか優しい気持ちにはなるかもなぁ。
それに、弾かれることに意義がある!なんちゃってね〜。

これで僕はライフルなんかじゃなく、歴としたエレキギターだって証明できるぞ!


続く・・・
by higehiro415 | 2010-12-27 02:26 | 物語

やはり師走!

夏の猛烈な暑さの反動で凍えそうな冬が来るかもとビクビクしていたのだが、それほどでもなく12月も半ばになった。

しかしついに今日、仙台市内で初雪が降った。
気温も急降下し冬将軍が一気にやってきた。

それにしても12月ってどうして忙しく慌ただしいのだろうか?
これが1年を通して平均的になってくれるといいのだが。

もともとイベントで忙しい時期ではあるが、それ以上にやはり年内中に片付けなくちゃいけない駆け込みの仕事、そして何といっても忘年会がいくつか入ってくるから余計に慌ただしく感じるのだろう。

今年もあと半月。
クリスマスまでの仕事もみっちり詰まっている。

12/17 幹・インストアライヴ(泉パークタウン・タピオ)

12/18 幹・インストアライヴ(イオン仙台泉SC)

 〃   MAIA HIRASAWA vs The 黄昏カラアズ(仙台・Forsta)
    ※スウェーデンでゴールドディスクを獲得、日本ではCMソングも人気の歌姫。

12/19 幹・インストアライヴ(三井アウトレットパーク仙台港)

12/21 NHK-FM 夕べのひとときスペシャル公開生放送
     ゲスト:坂本サトルwithアコースティックBand

12/22 びすた〜り(仙台市太白区長町)キャンドルナイトプレミアムライヴ
     出演:坂本サトル

12/25 浅田信一&メランコリーズ (下北沢CLUB Que)


まぁ、この合間にラジオの仕事と、幹のアルバム制作のプリプロなど。

忘年会も少なくともあと3本は予定があるので、体調管理に気をつけなきゃ!
インフルエンザは予防接種したので、ちょっと安心してるけど。

そして気付いたら年越し!なんて感じなのだろうなと思う。
頑張るぞ〜!!
    
by higehiro415 | 2010-12-15 22:27 | 日記

a mission.

敢えて宣言するまでもなく、僕の仕事は完全なる裏方である。
裏方であると同時に質の高い職人であろうとも心掛けている。

サウンドエンジニア、プロデューサー、ラジオディレクター、選曲、DJ。
自分の職業について何をやっているか?と聞かれ一言で説明できないのがもどかしく、つい何年か前まではそれに惑わされ悩み続けてきた。
職人という点において1つのことだけで完結していないからである。

それでも自分が何をやりたいのかを突き詰めたとき、それは逆に全部が必要なことなのだと気が付いた。
やりたいことは昔からただひとつ。

音楽に救われ支えられてきた恩返しとして、余計なお世話とは思いつつ自分がイイと思う音楽を伝え発信し手助けしていきたいという想いがすべてなのだ。

だから1つのことよりも、いくつかの方法があったほうがいいのでは?と思い至った。
いずれにしても主役は音楽(音楽家)で、僕は裏方には変わりない。

裏方や職人は表に出ずに黙々と仕事をこなす。
だからこそ恰好いい。
だから僕のような人間がblogなどで外に向かって何らかの発信をしたりするのは、本来は恰好悪いことだという自覚もある。

それでも最近になって積極的に音や音楽のことを文章にして公表するようになったのは、そういう美学が通用しない世の中になってきたと感じているからである。

これだけ情報があふれると、表面だけが目立って本質がとても見えにくい。
もともといい音楽は黙っていても売れる!というお国柄ではないし、いい音楽が埋もれていき、同時にいい裏方や職人も減り、それによってまた音楽の質が下がっていくという悪循環になれば、想像しただけでもつまらない。

自分の発言など取るに足らないのは承知の上だが、それが少しでも音楽(音楽家)への興味のプラスαになるならやってみる価値はある!と何かが心の中で号令をかけた。

また僕らのような裏方を知ってもらうことで、頑張っている同業者(同業でなくとも裏で支えてる人々)へのエールになれば嬉しいし、それが全体のプロ意識の向上につながって欲しいとの願いもある。

それに生まれ育った仙台を盛り上げたい!という気持ちも人一倍強い。

どこまでやれるか分からないし出る杭は打たれることも多々あるが、とにかくやれることはやってみようと単純に心が突き動かされるのだから仕方ないんだよなぁ〜。
何もせず不平不満を愚痴っているよりは、遥かにロックっぽいしね。w


love & smart.
by higehiro415 | 2010-12-14 03:24 | 日記
早いもので今年も残すところあと25日。
毎年思うことですが、どうして12月って慌ただしいのでしょうね?

もうすぐ1年が終わるということは、また1年が始まるということでもあって、
何かまた新しいドラマが始まっていくような、そんな気分になったりもします。

今年の自分なりのドラマを振り返ったり、
これから生まれる何らかのドラマに想いを馳せるのもいいものです。

そんな訳で今宵CDRの新作・Vol.6が完成しました。

One Song for Tonight〜Vol.6 Nov. 2010〜
Beginning of a Drama(全14曲・60分)
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1.Feel That You’re Feelin’ / MAZE feat.Frankie Beverly
2.For You / DIONNE WARWICK
3.Twelve Day Lover / PETER GALLWAY
4.Lola / THE KINKS
5.Feelin' Alrigtht / TRAFFIC
6.On The Stage / LINDA LEWIS
7.Golden Lady / JOSÉ FELICIANO
8.Street Life / RANDY CRAWFORD
9.Dreams / FLEETWOOD MAC
10.Mr. Cab Driver / LENNY KRAVITZ
11.Hate It Here / WILCO
12.Come Get To This / MARVIN GAYE
13.Your Love Is King / SADE
14.Eazy / THE COMMORORES

今回はこれまで敢えて避けてきた、有名(ヒット)曲も収録してみました。
そして前回に続きアナログリマスターを施しています。
更に全体を通してのドラマ性はもちろんですが、リピートしても流れが続くように、ラストの曲〜1曲目への連続性も考えてみました。

そして作っている最中、何度かウルっときたことも付け加えておきます。
そんな1枚に仕上がりました。

ご希望の方は下記までご連絡下さい。
higemodern@gmail.com
(またはTwiiterやメールなどなどでもOK)

材料費¥500(郵送の方は¥850)


ではでは、皆さん風邪などひかないように!
(自分が一番あぶない:笑)

Mr.Cappuccino
by higehiro415 | 2010-12-05 20:44 | 音楽

The Collectors 初の仙台2days

ザ・コレクターズとの付き合いは20年以上になる。

途中、僕の仕事の関係でしばらく会わない時期はあったが、イベンターとしてディレクターとして、そしてPA(音響)エンジニアとして、ずっと何らかの関わりが続いている。
同じMODとしてとか年齢が近いとか仕事仲間とか言うよりも、とにかく僕は彼らの大ファンで居続けてきたし、何か気が置けない友人のような感じもある。

これまでのいろいろな思い出は近々ここに書いてみようと思っているが、きょうは先日の初の仙台2daysライヴについてである。

昨年のライヴに顔を出したときに、今になって更に進化している演奏に釘付けになった。
ただ同時に、音(といってもバンドじゃなくPAね)だけがいまひとつで、何とももったいない印象を抱いた。

最近は仕事ではあまり絡んでなかったので出しゃばるのは悩んだが、思い切って「次はおれにPAやらせてくんない?」と直訴した。
別に自分に自信があるということではなく、単にコレクターズの魅力や曲を知っている自分のほうがいい音出せるのでは?と感じたからだ。

もっと言えば、コレクターズの歌と演奏をもっといい音で聴かせたい!と思ったのである。
その結果「佐藤クンがやってくれるなら心強いから、是非やってよ!」という話になり、今年春のみちのくツアーにつながったのだった。

そしてその春の打ち上げで(コータローのblogでブランデーをネタにされた時ねw)、次は秋に仙台2daysやってみようか?となり、次もヨロシクとなったのである。
その時から待ち遠しくて仕方がなかったのは、言うまでもないだろう。


11/27・初日

加藤クンは新幹線、他のメンバーと楽器スタッフは車移動で15時半入りの予定。
enn 2ndは半年前に出来たハコで、広さは1stと同じくらいだがステージと天井がやや高い。

そして僕の仕事道具であるここのミキシングコンソール(音響調整卓)は、最近流行りの最新オールデジタル卓で、東北ではまだあまり導入されていない機種。
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アナログ卓ならどんなものがこようともビクともしないが、デジタル卓となるとそうはいかない。
いわゆるコンピューターなので、音を調整する以前にその画面を呼び出す操作方法が機種によって違うからである。

少し前にトレーニングもかねて他のバンドのPAをやりにいき基本操作は覚えたが、やはり面倒な部分が多く音作りに時間がかかるので、僕だけは早めに入ってバンドがいなくても出来るところをやってしまおうと14時過ぎに会場入りした。

この2日間のPAプランは26ch(26個、別々のマイクなどの音をMixしひとつのバンドサウンドにまとめる)。
おまけに簡単なライヴ録音もしたいと、何日か前に加藤クンから電話をもらっていた。

それらを考えると15時半入りの18時開場というのは、けっこうタイトである。
時間通りに到着したとしても、楽器を車から降ろして搬入・セッティングして16時半。
そこからサウンドチェック(リハの前に1つ1つの音を個別にチェックする。この日は26個)で17時。
そしてリハではモニターのチェックもあるから1時間は欲しい。

予測だけでギリギリである。何かトラブルがあったら遅れてしまう。
そんな事を逆算しながら15時前には前段階の準備を終えた。

外へ出て一息ついていると、山品カントク登場。
彼は以前コレクターズの現場(舞台監督)も担当していたことがあるベテランModsおやじだ。
今は仙台に住んでいて、僕からの情報を入手し手伝いがてら顔を出しに来てくれた。

そしたら加藤クンから「もしもし~。あ、佐藤クン?なんか高速が止まっててさぁ、メンバー入り遅れるみたいなんで、ヨロシク」と電話が入る。

むむ、道路事情ではやむを得ないが、ヨロシクと言われてもちょっと焦る。
まぁでも山品カントクもいるしセッティングは早いだろうと思い直し、ひたすら待つ。

15時半前に加藤クンだけ会場入り。
楽屋で楽器車の状況を訊くと、一度通行止めで下道に下ろされ、今また福島あたりで高速に乗ったらしいとのこと。

現在地を確認するためコータローに電話。
「いや~参ったよ。いまね、シライシ過ぎたとこ」
「あ、白石(シロイシ)ね。じゃあと40分くらいだね」

加藤クン、山品カントク、僕の3人で近況報告などして待つ。
結局メンバーが乗った楽器車が着いたのは16時半前であった。

ライブハウスのスタッフも総動員で楽器搬入。いつの間にか加藤クンも運んでてビックリした。
ローディーは昔からのスーさん。これは助かった。

そうしてステージに楽器とマイクがセット出来たのは17時半くらい。
そこからが早かった!
サウンドチェック~リハ、20分強。

僕もそうだがバンドこそ初めての会場だし、もっとやりたかったはずだ。
しかしステージ上からの「あとはさ、本番で何とかしてよ。ヨロシク」で終了。
加藤クンの「ヨロシク」は昔から無責任だ(笑)

開場5分前だった。
何とかするしかないが、知ってるバンドで良かった~。

ステージ上や空ケースなど整理して物販も並べ終えないまま、5分押しくらいで開場となった。
どんどんお客さんが入ってくる。

満員のなか10分押しで「愛してると言うより~」からライヴが始まった。
本編18曲+アンコール1回。
このツアーはまだ先があるので割愛するが、この日は新しめの曲中心のセットリスト。

サウンドチェック不足を微塵も感じさせない、いつも通りのコレクターズであった。
百戦錬磨とはなんて頼もしくて素晴らしいことなのだろう。
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タイトでグルーヴィーな演奏だった!

僕の目標は加藤クンのヴォーカルをきっちり出すことと、曲ごとにバランスよく楽器の音を出すこと。
「青春ミラー」「たよれる男」ではイメージしていた音に近づけた気がする。

ライヴ後はメンバー1人1人に今日のステージ中音について事情聴取。
明日は時間もあるし修正課題がはっきりみえた。

腹減ったぁ、なんて言いながら皆で楽屋を片付けてる時にコータローが僕に言う。
「もう出るよね?楽器とかそろそろ積む?」
「ん?明日もあるんですけど…」
「あ!そうだ、2daysだった!ボケてんなぁ~俺」
メンバー全員が失笑したのは言うまでもない。

ホテルに荷物を置き、予約していた飲み屋(よく行く洋風居酒屋)へ。
鍋をつつきながら音楽の話、昔話などなど脈略の無い話題で盛り上がる。

2軒目は元コロムビアでコレクターズも担当していた英樹が最近オープンさせた昭和酒場へ。
帰った人もカウンターで寝てる人もいたが、店内に流れるCharやGSではしゃぐ大人げないオッサン達なのであった。(特にコータローとカントクね)


11/28・2日目

この日は日曜日なので開場が16時半と早い。
15時~16時にサウンドチェックとリハをやることにしていた。

僕は前日の課題点を修正すべく一足先に14時会場入り。
この日の僕なりのテーマはクリアなロックサウンド!

意外に早く修正が終わり一服しに行こうかと思っていたら、予定より早くコータローが現れた。
Twitterを見て暇そうだなぁ?と予想していたら、その通りだったようだ。

会場上のヒステリックグラマーにベルトを見に行こうよと誘われ店内へ。
なかなか恰好イイのがあり試着したものの、やっぱりやめたようだ。
「ありゃ惜しいね。買わなくて良かったよね?」と念押ししてくるのが可愛いではないか。w

予定通りメンバーが揃いゆっくり(昨日に比べりゃね。それでも他のバンドよりはだいぶ少ない)サウンドチェックとリハ。
今日はのんびり開場を迎えられそうだ。
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開演前のフロアは前日より20人くらい少ないだろうか?
それでも熱気に満ちた感じがムンムンと伝わってくる。

5分押しでスタート。この日は「ツイスター」からだ。
昨日とはけっこう違うセットリストで「太陽はひとりぼっち」など古めの曲もある。

演奏者として歌詞やアレンジの問題はあるのかもしれないが、コレクターズの曲は昔のものと最近のものが混じっても違和感はまったく無い。
どれもがキラキラした現在進行形の輝きを放つ。

MCタイムで急遽「卒業写真」も飛び出した。かなりマジに歌ってたなぁ、リーダー。

本編18曲+アンコール2回。
何ともダイナミックでロックなライヴだった!
リーダー着替え中のインストも最高だった。
終わったあとのお客さんの満足した表情が、いいライヴだったことの証明だ。

ステージ中音は残響で聞き取りづらい部分もあったようだが、客席の音はほぼ目標通りで「エコロジー」「ライ麦畑~」「thank U」あたりは上手く音を出せた。
ただPA席とフロア中央あたりはだいぶ音の聞こえ方が違うハコなので不安もあったが、終演後に何人かからお褒めの言葉をいただいたのでヨシとしよう。

カントクは私用で来れなかったが、英樹と荒吐Pの菅ちゃんが来てくれた。
機材・楽器を片付け宴へ。

今日は洒落たレストランバーだ。
ビールのあとに何を飲もうか迷っていたら、横から「あれ、ブランデーでしょ?」「そうそう!」などと声がしたので、ちと早いかなとは思いつつブランデーにした(笑)

ちょっと高級なやつを頼んだら旨かった。
ほんとに旨い?と言うQちゃんとコータローも味見する。
「意外といいね!」ほらね?

ここでもBGM(今日は70~89年代洋楽)で盛り上がる。

ほどよく酔ってからは来年の話になる。
25周年だもんなぁ~、すごいよね。
とてもワクワクするようなアイディアも話せたし、本当にいい2日間のシメとなった。

そう言えば今までの長い付き合いで全員一緒に写真撮ったことないなと気付き、急遽シャッターを押してもらった。
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ありがとう、Mod Guys !

コータローとは別仕事で会う予定だが、バンドとはまた来年だ。
Twitterで知り合った皆さんと会えたのも、とても嬉しかった。

今が最高!と胸を張れるように、明日からも頑張らなきゃな。
by higehiro415 | 2010-12-02 23:13 | 音楽
慌ただしく12月に入ってしまったが、書きそびれていたライヴツアー「坂本サトル~みちのく越後弾き語りツアー2010秋~」レポの続きを。

11/13 新潟・長岡市

昨年、衝撃の光景を味わった(笑)お寺でのライヴ。
会場(宝国寺・本堂)の中にはなんとグランドピアノが増えていて、またびっくり。
仏壇とピアノが並ぶ本堂は更にいい雰囲気、さすが音楽好きの若夫婦である。

ファンの方のほかに檀家の方も多数聞きにきてくれた。
サトルの歌を知らない人たちも徐々にペースに巻き込まれ、最初緊張気味だった空気も最後には和みの笑顔に変わっていた。
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仏壇に背(尻)を向けての演奏なのでちょっと気が引けるのだが、
住職から「始まる前に仏壇に手を合わせてもらえばいいから」と今年も言われた。

しかし、何故か合掌せずに歌い出したのだがライブ途中で思い出したみたいで、
念入りに手を合わせるサトルが微笑ましかった。


打ち上げは会場近くのビートルズがBGMの洒落た居酒屋。
どの料理も桁違いに量が多く驚いたが、主催の方々と和気あいあいと飲めた。


11/20 岩手・室根町

東北自動車道一関インターから東へ約40分。
山と田んぼに囲まれた公民館を立派にしたような小規模のホール。
昨年同様「こんな山奥に人が集まるのだろうか?」と失礼ながら不安になる。
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主催者は地元のJA関係の方中心に10人くらいいて、
地元を盛り上げようと様々な活動を行っているらしい。

村興し的な感じなのだろうが、それを音楽でやろう!
というのが何とも頼もしいし、応援したくなる。

会場に着くとサトルの等身大看板
(もちろん手作り)が出迎えてくれた。

ライヴには、主催者の方々が一生懸命チケットを売ってくれたのだろう、
たくさんの人たちが集まってくれた。



ライヴ後は「去年も来て、今年も楽しみにして来た。また来年も来て下さい!」というお客さんが何人もいて、なんだか心が温まる。
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外に出ると、いつの間にやら30個あまりの洋風灯籠みたいなものが並べられてあり幻想的。

こういうアイディア、イベントとして集まった人たちを喜ばせたいというグッドなサービスだ。
打ち上げは焼肉バーベキューで旨い日本酒をいただき、流れでカラオケスナックへ(笑)

余談だが、昨年から始まったちょっとしたドラマがある。

昨年行った際に、僕がPA機材をセッティングしていくところを見つめている女子高生がいた。
「どうしたの?」と訊くと「春に卒業したら仙台の専門学校に行って、音響の勉強がしたい」と言う。
僕は半信半疑で「じゃ、春になって仙台に来たら連絡よこしな」と答えた。

そうして今年の春に、本当に連絡が来た。
興味はあってもPAの仕事は素人には難解だし、習うより慣れろ!だ。

近々の仕事でライヴハウスに行くから、現場がどういうものか見に来いと連れて行った。
もちろんほとんど使い物にならず、荷物運びだけだったのだが。

しかし、それがきっかけでそのライヴハウスでバイトするようになり、たまには僕の仕事を手伝い、今回はなんと僕のアシスタントとして故郷に錦を飾ったのである。

半年前は右も左も分からなかった若者が、言葉で支持しただけで配線やら何やらやっていく。
地元の両親や先輩たちも、嬉しそうにそんな彼女の仕事姿を見ていた。

なんだか、こういうのって素敵じゃない?


11/23 宮城・白石市

早いものでミニツアー最終日。
会場となるカフェ・ミルトンは、今やホームグラウンドと言っても過言じゃないだろう。

サトルはマスター&ママに気に入られてるし、僕は僕でいつも別の仕事や遊びでお世話になっている。
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こちらは3年連続、
仙台の方が中心となり主催してくれた。


可愛い手作りの飾り物や、
ツアーファイナルを祝う大きな花で
僕らを迎えてくれた。


ライヴはファイナルというのと、ミルトンに宿る音楽の神様が交錯した奇跡的な夜になった。

ここに集まるお客さんは熱い人が多いのか、ほんと歌声と拍手の大きさがハンパ無い。
サトルが「ここは俺に歌わせろ!」と制止するくらいだ(笑)。
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アーティストが客を夢中にさせ、それに対する歓声がアーティストを更に盛り上げる良い循環。
純粋なコール&レスポンスは音楽にとても重要だ!と再認識させてもらった。

打ち上げは、そのままミルトンで。
熱くてお茶目なマスターとママも乱入し、楽しいファイナルの夜になった。


前半のレポにも書いたが、今回はサトルと別移動だったし本数も少なかったので、ツアー感は確かにあまり無かった。

それでも地元主催者の方達の熱い想いと温かい交流、そしてサトルと培ってきたコンビネーションで、番外編とは言えとても濃密な時間を共有できたし、生歌を増やしたライヴもすごく良かったと思う。

ここに書き切れないドラマや思い出も増えたし、改めて気付いたことも多くあった。

やはりツアー(音楽の旅)は、かけがえの無い経験なのである。

次のツアーはまた来年!
by higehiro415 | 2010-12-02 04:37 | 音楽