佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
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「いやぁ〜・・・ねぇ、ほんと。こんにゃろ〜!」
このMCが浅田信一という男の本質を端的に表していたのではないかと思う。

ライヴ中盤弾き語りコーナーのラスト、達ちゃんと2人での♩Please God が終わりバンドメンバーを呼び込む。
先にステージに出てきたはっちゃんがピアノでHappy Birthday To You〜♩と歌い始める。コジとcoziがバースデーケーキを持って登場し信ちゃんに差し出す。

客席がドッと沸き拍手と大合唱の中、突然のことに照れながらもロウソクの灯を吹き消したあとの一言だ。
そして「ありがと〜。SMILE時代の曲やります」と♩明日の行方 のイントロへ。

サプライズにしてはあまりにも呆気ない一コマだった。
しかし自分だけが派手に前に出過ぎたり持ち上げられたりすることを好まず、そういうことを極端に照れ臭がる信ちゃんの素が出た瞬間でもあった。
これは翌日のアナモンでのMC(多くを語らなくてもわかってるだろ?という話題)につながっていく、古市コータローとの共通点でもある。

このBDサプライズは確かにバンドメンバーと相談したものであるが、信ちゃんのバースデーを一緒に祝う瞬間があればいいなぁ〜、とファンの人たちが思っていると知った上でのことでもある。
きっとそんな大勢の人からの愛情を感じ、照れ臭くて仕方なかったに違いない。
それでも一瞬顔が紅潮し目が潤んだのを僕は見逃さなかった。
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この日は朝から僕もそわそわしていた。いや前日の夜からと言ったほうが正確かもしれない。
4月以来の浅田信一&リトルメランコリーズ・ワンマンライヴ、しかも信ちゃんのバースデー2daysということで、やはり何となくいつもと違う感覚である。

まぁ僕が演奏するわけでは無いのでそわそわするのもおかしいかもしれないが、それでも音作りという面で少しでも協力できればいいなと腕が鳴っていたし、いちファンとしてのライヴへの期待感で胸が膨らんでいたからだ。

朝7時前に信ちゃんからメールが来た。「本日14時入りです。あと客入れBGMよろしく!」
当日の朝に言うことじゃないよなぁと1人ツッコミを入れつつ、了解!と返信した。

前日の仕事のことを伝えていなかったので、きっとこれから仙台を発つのだと思っていたのだろうし、わかってると思うけど念のため…みたいな感じだったのかもしれない。
その後Twitterを見ているといろいろツイートしている。きっと彼も緊張というかプレッシャーというか、胸が高鳴っていたのだろう。

BGMはそうなることを予測し東京に来る前夜に、ああでもないこうでもないと夜なべして作ってきていた。
前にも書いたが客入れ時のBGMには個人的に思い入れがある。

ライヴ前の逸る気持ちをBGMに乗せ音楽に身を委ねる。スタートラインに立つ前の準備運動と同じで、その方が気持ちも身体も思い切ってダッシュをきれる。僕の場合はそうなのだ。
もちろん本人が登場すれば盛り上がるのは間違いない。それでも加速度を高めるためにも開場時のBGMは大切で、それが本編につながっていく役割になればいいと思う。
あくまで個人的な意見ではあるが。


メンバーより一足早く会場に入った。
PA担当のAさんが僕の送ったPA回線表を元に、いい具合にデジタル卓のパッチをしてくれていた。
2回目ということもあるが、前回の僕の使い方を覚えていてやりやすいようにと工夫してくれたその気配りが素晴らしい。
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マイクや回線の打合せを済ませスピーカーのチューニングをする。
前回の反省は場所によって低音がたまったことと、客席横のカウンターのほうに溢れたお客さんにクリアな音が提供できなかったことだ。(カウンター方向にはスピーカーが付いてないので仕方なかったのだ)

そのことを踏まえてチューニングする。
Aさんと相談し、カウンター方向へは専用スピーカーを別に仕込んだ。
ステージが見づらい上に音が悪いじゃ可哀想だ。これでだいぶ解消されるはずだ。

メンバーも会場入りして楽器セッティング、マイクセッティング、回線チェックをいつものように行う。
平行して照明の会長(本名:岡野さん)もライトを仕込んでいく。

サウンドチェックとリハは、モニターの具合を細かく確認しながらだ。
使い慣れないタイプのミキシングコンソール(音響調整卓)なので、素早く反応するのにちょっとだけ手間取ってしまった。メンバーのみんな、ごめんよぉ〜。

それでも順調にリハは進む。
4月より明らかにまとまりもありパワーアップしているバンドサウンドだ。
Gt:鈴木達也、Key:平畑”はっちゃん”徹也、Ba:小島剛広、Dr:古沢”cozi”岳之という前回と同じメンバーに、ローディー:川崎圭太、照明:会長(なんでそう呼ばれてんだろう?)、そして会場までも、今や浅田ファミリーとも言える面々ががっちりサポートする。
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プロの仕事は段取り八分と言うが、そういった意味でもリハの時点でいいライヴになることは、ある程度予想できた。
僕も練ってきた秘策を試しながら、精一杯音をまとめていく。
あとの2割は出たとこ勝負だ。それがライヴの醍醐味なので、それでいいのである。


ドアオープンの時間になり例のBGMを流す。
10分押してもいいように12曲40分を用意してきた。

前回は確かアナログ音源のJazzyな選曲だったが、この日選んで行ったのは今の浅田信一サウンドと同じ匂いがすると僕が勝手に想像した曲たちだ。
いちおう曲順も考えてCDに焼いてきたが、お客さんが入り出すと雰囲気も微妙に変わるので、ところどころ曲順をいじりながら流した。

8分押し。
この日の登場はSE無しだ。会長とアイコンタクトを取りBGMと客電を同時に落としていく。

白いシャツに身を包んだ5人のミュージシャンがステージに現れると、拍手と歓声が上がる。
信ちゃんがギターを鳴らす。鳴らしては止める。客席をあおる。歓声が上がる。そしてまた鳴らす。手拍子が鳴る。
何を〜、見つ〜め〜て〜るの〜♩ANSWER がオープニングナンバーだ。
しかしこの曲の展開はドキドキするほどカッコいい。
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PA席の隣に陣取ったコータローがすかさず話しかけてきた。
「佐藤クン、いいねぇ〜。特に信ちゃんの声。なんのエフェクター使ってんの?」
鋭い男である。

企業秘密なので(笑)細かくは書かないが、信ちゃんの最大の魅力は何と言っても歌声にあると思っている。どうにかあの生の声の感じをライヴで出せないかと、今回はいろいろ試行錯誤した。
バンドの音に負けないボーカルの音圧と繊細さを出すために、エフェクター(音響効果機器)やイコライザー(音声信号の周波数特性を調整する機器)だけではない別の手法も加味する作戦に行き着いた。

マイクを通って卓を通ってアンプを通ってスピーカーから音が出るというPAシステムの基本時点で、シビアにみれば本来の音とはだいぶ違ってきてしまう。
それをどうにか補正しようと工夫したことが、うまくいったようだ。

全体としてはJ-POPのようなボーカルが大きくバックが低いバランスではなく、ロックっぽさも保ったそれぞれの楽器の音がきちんと聞こえるけれど、決してうるさくはなく歌詞も聞き取れるバランスを心掛けたつもりである。


「こんばんは、浅田信一で〜す」続けざまに♩パラソル〜♩五等星。
メンバー紹介ではおどけたネタのようなMCで笑わせる。

そしてこの日発売されたEPにも収録された♩春のうた。メロディアスで爽やかなポップチューンだ。
やはり後方に低音がたまっている感じがあったので、ベースの音を調整したら何とか収まった。

続いてEPの表題曲でもある洋楽のような♩無常の世界。
レコーディングもしたせいか前回聞いたときより音の隙間がより整理され、クールなグルーヴ感が増していた。やはり名曲である。好きだなぁ、この曲。
隣の男も声を掛けてくる。「佐藤クン、この新曲いいよねぇ」

そしてMC「年々やりたいことがシンプルになっていくよね。いまは自分のやりたいことをやるだけだなと思う。気付くの遅い?」
いやいや歳を重ねたからこその重みのある言葉ではないか。

さらにはメンバー全員で着用した白いシャツの話題に移る。
要はシャツの中にタンクトップを着るかどうか?という話で、客席にどちらがいいかアンケートを取り決着を着けようとしたが、だいたい半々で引き分けに終わった。
ちなみに僕は着ない派だ。

信ちゃんの無茶ブリに応えて達っちゃんが即興でワンフレーズ歌った「タンクトップの歌」(笑)だが、なかなかいいメロディーだったなぁ。

夏の夕暮れにぴったりの♩宵待ち が終わったところでバンドメンバーがハケて、信ちゃんの弾き語りコーナーへ。

ハーモニカをフィーチャーした♩夏のうた、先日DJをやった時にお客さんにリクエストされたという♩月曜日の雨。

「別に寂しい話ではなくて、あと何回ライヴできるんだろう?とか考えると1回1回がラストライヴだと思ってやるべきだと思うんだよね。だからひとつひとつ大事にしなくちゃというか。新曲はこれからもやるだろうけど昔の歌も同じ軸で歌って行くべきだと思うし、自分の曲をあと何回歌えるかと思うと、自分の作った曲は歌い継いでいきたいな」

ここで小3から友達だという達ちゃんが登場し、爆笑ネタへと続く。
小5のころ遊んでいると「信ちゃんさぁ、SEXって知ってる?」と性関係の本を持ち出して説明してきたという話だが、これはエロいというより男の子なら誰でも思い当たる微笑ましいエピソードだろう。
達っちゃんが♩せっ〜くす〜と歌い始めた時はさすがに吹き出したが、悪ふざけが過ぎたと気付いたのか、すぐやめた(笑)。

ここで2人での♩Please God が演奏され、冒頭のサプライズケーキの場面へと続くのである。

バンドメンバーが揃いSMILE時代の曲を3曲。
♩明日の行方〜♩STEREO TYPE。このバンドのアンサンブルのせいか、また違ったニュアンスにも聞こえて新鮮だ。
♩ジグソーパズル、もちろん紙飛行機が会場中を舞う。

ライヴも終盤、加速度を増す。
♩UNKNOWN WORLD ではメンバーと客席の大合唱。会場内のボルテージが一気に上がる。バンドの演奏もどんどんグルーヴしていき、僕の隣のコータローはノリノリでエアドラムをかましている。
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疾走感あふれる最高の流れ♩DRIVE〜♩深夜バス でエンディングへと突っ走る。
会長のライティングも劇的にそれを演出する。

そして反則技とも思える強力なメロディーを持つあの曲へ。
こわれそうな〜、望みさえも〜♩本編ラストは♩CHERRY BLOSSOMS。
フロア全体が音の渦に包まれいっそう大きくうねる。隣の長身のお方は立ち上がってハンドクラップの嵐だ。

演奏が終わっても当然のように拍手は鳴り止まず、アンコールへと突入。
メンバー再登場で黄色い声援が飛ぶ。

「アンコールありがとう〜!明日またここでやります。あと来月仙台でイベントに出ます。今日フライヤーも入ってるけどライヴしにいきますんで。仙台もね、みんな頑張って平常通り動いてるみたいだけど、でもまだ大変なこともあって。震災後まだ向こうに足を踏み入れていない方は、興味本位ではなくてね、ライヴのついでに被災地を訪れるというのも人生の経験のひとつでもあるかなと思うんで、お誘い合わせの上いらして下さい」

とても胸に刺さる言葉だった。
僕が主催しているとはいっても地方都市の1イベントに過ぎず、震災のことも含めてこんな風に真意も汲んでくれMCで告知してくれたことへの感謝の気持ちでいっぱいになる。
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アンコールは夏の終わりの郷愁を誘うメロウなナンバー♩ひまわり。
達っちゃんの粘りのあるギターフレーズも沁みる。

メンバーがハケて客電が明るくなり僕はBGMをかける。
それでも誰も帰らず更なるアンコールの拍手が続く。

再び全員が登場しダブルアンコールとなった。
♩マボロシ
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「いや〜、いいライヴだった」コータローがひとり言のように言った。
確かにセットリストも最高だったし、存在感が増したバンドの演奏もよかった。

coziの独特のタイム感を持つ歌うようなドラム、小島クンのメリハリのある安定したベース、はっちゃんのツボを押さえたセンスのいい鍵盤、堂々とバンドメンバーに溶け込み光るギタープレイを聞かせてくれた達っちゃん。
サポートバンドの枠を越え、パーマネントなバンドの音になっていた。

そして恐るべきはあの男だ。声はもちろん、独特の言葉を紡ぐ歌詞と抜群のメロディーを併せ持つ楽曲群の素晴らしさ。
うまく表現できないが、高級シルクの肌触りというか、マッカラン17年のとろける口当たりというか、一度体現したら忘れられない魔力が潜んでいる。

それこそがファンに「信ちゃんはステージに立って歌ってくれれば、それでいい」と言わしめるのかもしれない。


打上げは移動せずZher the ZOOで。
心地よい疲労感に包まれながら楽しく飲んだ。

コータローが本番後に僕に言ったのと同じセリフを信ちゃんに言っていた。
「いや〜久々にライヴ見たけどよかったよ。定期的にライヴやったほうがいいよ!」
まわりのみんなも大きくうなずく。

9.28の仙台でのイベントについても、少し打ち合わせ出来た。
本人がTwitterでツイートしたが、バンドで来てくれることになった。
はっちゃんはスケジュールの都合で来れないが、cozi、小島クン、達っちゃんがバックで参加してくれる。必見です。

明日もあるからと、深酒しない頃合いを見計らって宴はお開きになった。
締めの挨拶はコータローが指名された。

「え〜皆さん、今日は素晴らしいライヴでした。信ちゃんのバースデー2daysということですが、本当の誕生日は明日ですので、本番始まる直前まで構わないので遠慮せずにどしどし楽屋に祝いに来て下さい。それでは、お疲れさまでした〜!」
バンドメンバーが「行きま〜す!」と手を挙げている。

愛されてるね、浅田信一。


【本日の客入れBGM】
Imagine / Tania Maria
How Sweet It Is (To Be Loved By You) / James Taylor
Something / The Beatles
Back To The One/ Roddy Frame
Waiting On The World To Change / John Mayer
Gimme The Sunshine (Original) / Curiosity
Sunday Morning / Maroon 5
Sky Blue Sky / Wilco
Kinda Wasted Without You / Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
God Only Knows / The Beach Boys
You Are So Beautiful / Joe Cocker
Lisa Says / The Velvet Underground
by higehiro415 | 2012-08-31 08:38 | 音楽 | Comments(7)
中目黒駅から目黒川沿いを歩く。こじんまりとしたお洒落な店が並んでいる。
思い返してみてもここら辺を歩くのは初めてだ。
暑い日射しが照りつけるが、川に沿って生えている桜の木が日よけになり、気分的にはだいぶ暑さも和らいで感じる。

ほどなくしてdorôle中目黒店の小さな看板を10m先に見つけたところで、仙台から別ルートで東京入りした幹ちゃん一行に出くわした。
この日は幹mikiのカフェライヴのため、ここ中目黒のdorôle(ドロール)に来た。

昨年の震災以降、幹ちゃんが何度か歌いに行った宮城県石巻市の仮設病院にボランティアにいらしていたMさんと、そのお友達のAさんが主催してくれたのである。
会場を押さえ打合せし、知り合いに声をかけチケットを売るという大変な作業を、幹ちゃんの歌を東京で聴かせたい!(そして自分たちも聴きたい!)という想いだけで実現させてくれた。

これはMさんとAさんに感謝するほかないのだけれど、そこまで人を動かす幹ちゃんの歌の力というのも凄いと思わざるを得ない。

ドアを開け中に入ると、明るく清潔感のある店内が心地いい。
広くはないけれど女性らしい優しいセンスが詰まった内装と装飾、かわいいという表現がぴったりの店だ。スタッフの方たちの笑顔も自然でやわらかい。
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まだ営業時間だったため、お茶を飲みながら少し待つことにした。
アイスコーヒーを飲もうとしたが、冷蔵ケースに入れられていたバナナケーキが残り1個で、とても美味しそうに僕のほうを見つめているものだから(笑)ついつい頼んでしまった。見た目同様、とても美味しかった。

店は早めのクローズとなり、持ち込んだPA機材をセッティングする。
ゆっくりしてていいよ、と言うのに飛び入りでベースを弾きにきてくれた毛利くん(毛利泰士:メジャー第一線で活躍中のマニュピレーター&ミュージシャン。幹ちゃんの新作に収録の「ブルーバード」でアレンジと演奏を担当してくれた)が「セッティングは得意なんですよ〜!」とビールを飲みながら(笑)手伝ってくれた。

リハーサルはまず主要メンバーにて。
この日は幹ちゃんがエレピを弾きながら歌い、パーカッションにMiujiくん、ゲストギタリストに越田太郎丸さん(こちらも新作の「PAIN」に参加してくれた売れっ子ミュージシャン)という3人の布陣。

太郎丸(たろま)さんとは昨年の東京、先月の仙台ホールワンマンに続き3回目のセッションだ。
彼が紡ぐやわらかなガットギターの音色は、この会場にとても合っている。

そして毛利くんも加わり「ブルーバード」のリハ。
幹ちゃんが感嘆の声を上げる。「わぁ〜、CDと同じベースの音だぁ〜。本物だぁ」
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実は幹ちゃんと毛利くんは初対面であった。

レコーディングの時はオケを東京で作り歌は仙台で録ったので会う機会はなく、6月に絢香のツアーメンバーで彼が仙台に来た時はタイミングが合わず、僕が差し入れを持って楽屋を訪れただけ。
最初ブルーバードのラフを幹ちゃんに聞かせたとき「このベース大好きです。弾いてるのは誰ですか?」と言っていて、その時から会うのを楽しみにしていたのだ。

少し前に幹ちゃんのホールワンマンの打上げの時、たまたま毛利くんとメールしていて「8.25に東京行くよ」と打ったら「時間ありそうなんで顔出しに行きます」と返事がきた。
見に来てくれるだけで光栄だが、僕の頭の中には密かな悪巧みが浮かんできて、すぐに電話してしまった。

「どうせ来るなら1曲演奏する気ない?」
「えっ、マジっすか?」
「うんマジ。ブルーバード弾いてよ。飛び入りでさ」
「いいんすか?んじゃ泣きながら練習していきま〜す」

こんな軽〜い感じで話は決まっていたのである。
来た人だけへのサプライズもいいなと思い黙っていたのだが、本人がリハ後にツイートしてバレていたのはご愛嬌。

外を見るといつの間にか日はずいぶん落ちて、夕闇が迫っている。
開場時間の19時にはドアの向こう側にお客さんが集まっていて、川沿いの電灯に照らされた陰影がとても綺麗だ。
この日は幹プレートという宮城県の野菜などを使ったオリジナル料理プレートがチケットに付いていて、ここら辺の演出というか手間にも愛情を感じる。

お店のキャパの関係上30名ですでにソールドアウトしていたのだが、売り切れ後何人も当日券の問合せがあったらしい。嬉しい悲鳴である。
僕の顔見知りもいつどのように予約していたか定かではないが、東京はもちろん仙台や北海道からも数人駆け付けてくれていた。

本編は幹ちゃん1人のピアノ弾き語りから始まる。
続いてMiujiくんのパーカッションが入り、その後ギターのたろまさんも加わる。
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会場の広さもあり生音に少しPAを足した微妙な音調整なのだが、それが逆に聴く人の耳を集中させるのかもしれない。
声が生っぽいからリアルに響き染み渡っていく。

アコースティック編成なのでバラード調の曲が多かったが、後半に入り「まだ鳥かごの中」(新曲)〜「表現者」では自然と手拍子がわき起こる。
Miuji君は何度も幹ちゃんと演奏しているので阿吽の呼吸があるし、たろまさんも歌を理解したギターを弾いてくれるのでアンサンブルが絶妙だ。

そして幹ちゃんは声がよく出ていて表現力も高かった。
ワンマンでサポートピアニストを入れないのは久しぶりで、アレンジが変わってから弾いていない曲もあり、幹ちゃんは相当苦労したであろう。
それでもやっぱり歌に寄り添った音の隙間や流れは、自分で弾いているからこその独特の間があり、上手いとか下手とかという次元ではない素晴らしさがあると思う。
そして先月のホールワンマンを経てMCにも余裕が出てきているようだ。

最後に「光」を歌い終わると大きな拍手に続きアンコールの声。
メンバーの2人とスペシャルゲスト毛利くんを呼び込んで「ブルーバード」へ。
何かが降りてきた。音が混じり合って空間の色を剥がし、その色が紙吹雪のようにキラキラと会場に舞っているように感じた。
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終演してもなかなか席を立たないお客さんが多かった。素敵なライヴの後に余韻に浸っていたい気持ちは痛いほどわかる。
主催してくれた方2人も、とても満足そうに微笑んでいる。

幹ちゃんはサイン&握手攻めにあっていた。
毛利くんがお客さんに声をかけられる。「ベース、感動しました!」
「アレンジした本人なので、そりゃあね」と気持ち良さそうに答えていた。
確かにリハよりも数倍いかした演奏だった。それに呼応した全員のうねりがあった。
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片付けのあと幹ちゃんと毛利くんとたろまさんと僕そして知人数名と、駅までの帰り道にあった居酒屋の外スペースで、ぬるい風を浴びながら軽く打上げをした。

まじめな音楽話やくだらない話をあれこれと喋り、笑い、飲んだ。
幹ちゃんはいつものようにジュースを飲みながら天然ボケをかまし、たろまさんは飄々と冗談とも本気ともつかない表情で話し、毛利くんは単なる酔っぱらっいと化した。

たろまさんも毛利くんも幹ちゃんの歌はいい!と言ってくれた。
いい歌だと感じてなければ僕だってサウンドプロデュースなど引き受けないのだから、当たり前だよ!という気持ちもあるが、やはり一流のミュージシャンからそう言われると相当嬉しいし自信にもなる。

もちろん今後さらに羽ばたいていくためには試行錯誤やチャレンジなど必要だろうが、僕は僕のやれる精一杯のことを惜しみなく協力していければいいなと思う。
まぁ彼女がそう望めばの話であるが(笑)。

まわりを本気にさせる幹ちゃんの歌に感心しながら、酒に心地よく酔った夜であった。
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by higehiro415 | 2012-08-29 19:01 | 音楽 | Comments(2)

ask me why

気付いたら会社を辞め独立してから1年が過ぎていた。
昨年の夏に思い描いた1年後の自分と、今の自分を重ね合わせてみる。

大幅に軌道がズレてはいないが、当然思惑とは少し違っている。もうちょっと道筋が出来るというかペースが安定することを予測していたが、そんなに甘いものではないってことだ。フリーでやってきた人たちはすごい。

守られていることと何の保証もないってことの差、先を見据えての展望、時間の大切さ、雑務の苦労など頭では理解していても実際の経験にはやはり敵わない。

簡単に言ってしまえば思っていた以上に大変だということなのだが、それでも自分の腕を磨いたり目標を定めたり何かを仕掛けたりする時に、すべての責任と結果が自分にはね返ってくる潔さは爽快でもある。

つまりはすべてを受け止める覚悟さえあれば、思考や行動が自由だってことで、これは僕自身にとって非常に有意義だし感覚にフィットするのだ。

仕事の量や収入という意味では正直まだまだだしいろいろ失敗もあるのだが、質と出会いと仲間いう意味ではこれまでに味わえなかった充実感がある。

ということは進んでいる方向は間違っていないのだと自分に言い聞かせる。
いや、自分が選んで歩んでいる道なのだから正解も間違いもない。
つまずいたり突っ走ったりしながら少しずつ修正したり確認したりしつつ、ただただ前に向かっていけばいいのではないか。

驚くべきは前の仕事の感覚を1年ですっかり忘れてしまったことなのだが、これは転がっている証しだということにしておこう。

1年で軌道に乗せるというのは無理だったが、はっきり見えてきた自分の役割というのもあるので、もう少し時間をかけて取捨選択と整備をしていきたいと考える今日この頃なのである。
by higehiro415 | 2012-08-16 10:07 | 日記 | Comments(3)
どうもっす〜。The黄昏カラアズのボーカリスト、Theシミーがワインとつまみ(アスパラガスビスケット)を抱えてうちにやってきたのは、3月中旬だった。
とりあえず乾杯するか、とワインのコルクを開ける。まだ日光がさんさんと窓から差し込む午後2時頃だった。

この日は夏に出すミニアルバムに収録する曲の絞り込みとアレンジのミーティングである。
飲みながらというのは不謹慎に見えるかもしれないが、運よく僕らはそんなにアルコールに弱いわけではないので問題ない。それに自分の部屋だし、と言い訳しておこう。

候補曲6曲のうち2曲は収録しようと決めていたので、残り4曲の練習音源とシミーの生歌を聴きながら意見を交わす。
ミニアルバムとはいえトータル感も出したいと思っていたので、曲順を想定し残りの2曲をセレクトし、今作には全4曲を収録することにした。

そして曲ごとにアレンジの方向性を定めるためのプリプロ、レコーダーを回しデモを録っていく。
まずはシミーのアコギと歌を録り、それに基本のリズムパターンをあれこれ考えて打ち込み、ベースとギターを重ねていく作業だ。

楽器を弾くのはすっかりご無沙汰だが、デモ作りの時は口で言うより弾いてしまったほうが早いので、徐々に指先が痛くなるのを我慢しながらベースやギターを重ねていく。

シミーの作る曲はその日本語やメロディーは和風なのに、雰囲気は彼が好きな(もちろん僕も好きな)60~70年代の洋楽の匂いがする。
かつてRCやBo Gumbosそうだったように、そこが僕は気に入っているのだが、アレンジしきれていないというかアイディアがまとめきれてないというか、これまでそんな印象があったので、今作はアレンジから一緒にやることにしていた。

僕なりの考えだがサウンドは洋楽的なアプローチにしたいと思っていた。そのほうが曲の良さも活きるし、バンドのカラーもより個性的になると感じていたからである。
シミーも同感だというので、これまでの彼らには無かった感じのアレンジとグルーヴを取り入れながら原型を作っていった。

割とすんなり出来た曲もあれば、悩みに悩んで冒険した曲もある。
とはいえ演奏はバンドメンバー自身がやるのだし、あくまで原型作りだけして(もしくはヒントを出して)後はリハで自分たちのアイディアでまとめてもらうことにする。

そしてもう1つ今回のレコーディングで決めていたことがある。ゲストは入れない方向で、自分たちだけの演奏で曲をまとめるということだ。

前作「yes,スバラシき世界」では3曲で高木克(ソウルフラワーユニオン)にギターを弾いてもらい、西山小雨(雨先案内人)には数曲オルガンを弾いてもらった。
おかげで素晴らしい彩りを添えることが出来たが、反面ライヴでうまいこと表現出来ないという問題も少なからずあったのだ。

ロックバンドである以上ライヴでいい演奏してナンボという思いが僕にはあり、だからこそ今作は自分たちでやりきって欲しいと願っていた。
まずは4人だけである程度完成されていて、その上で他の音を考えるのが彼らのためにもなるだろう。

音に関しても、録音前から僕なりの明確な方向性があった。
Big Beat!こそが今作のThe黄昏カラアズにピッタリだと感じていた。
アナログレコードのような温かさとダイナミックなグルーヴを感じさせる音作り。クリアーだけれどもモコモコ感も同居したような、そんな音に仕上げたいと思っていた。

まぁそんな感じでデモを元にリハを重ね、レコーディングに挑んだのである。
そしてアートワークは写真を使ったハッピーで恰好イイものにしようと決め、シミーのアイディアとSatokaのセンスいいデザインで素敵なものに仕上がった。

レコーディングは4月末に3日間。リズム録り2日とギター&ボーカルを1日。
メンバーのスケジュールもあったが、前回の経験から彼らの場合は時間をかければいいというものでもないとわかっていたからだ。
もちろん経費を抑えるという意図もあるが、集中して演奏したものをギュッと凝縮したかった。
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結局録り直しやコーラス入れや他の楽器を重ねるのにあと数日かかったが、延べ一週間弱でRECは終わった。
短い時間でみんな頑張ってくれ、いいテイクが録れた。
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あとは延々と孤独なミックス作業を行い、マスタリングをして音源は完成。曲順もドラマ性があっていい感じだ。
こうしてめでたく昨日、このCDが全国リリースになったのである。

このミニアルバムはバンドと二人三脚で作ったものだし、彼らの成長もすごく感じる思い入れの強いものだ。
まだまだ荒削りではあるが、彼ららしいキンキーさとハッピーさで満ちあふれた、ピースフルなメッセージを持った1枚。
彼らの情熱が詰まった自信作だけに、1人でも多くの人の耳に届けばいいなぁと願っている。


The黄昏カラアズ
3rd Mini Album『JESTER GOGO HORIZON』
2012.8.8 全国リリース(GROOVE COUNCIL/DDCZ-18814)
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M1「ピエロは地平線へ」
ストレートでポップなアルバムのタイトルナンバー。歌詞のメロへの乗せ方もいい。
4拍のスネアと跳ねたベースラインはMOTOWNビートを下敷きにしたもので、ギターの絡みとメロディアスなBメロのリフはUKロックのエッセンスを詰めた。
シンプルなバンドのみの楽器編成でも良かったが、音の隙間にどうしてもキラキラした感じを入れたくて、急遽ピアノとオルガンを追加。弾いてくれたのは盟友の佐藤達哉氏(リンドバーグ、aiko、ハウンドドッグ、坂本サトル等のキーボーディスト)。ストーンズっぽいアドリブでのピアノプレイは抜群のグルーヴを演出してくれた。
後半のコーラスにはメンバーの飲み仲間(笑)も参加してくれ、よりハッピーに仕上がった。
先行PV: http://www.youtube.com/watch?v=p_bIlMZw-tw&feature=youtu.be

M2「ジェムソン・ラヴ」
こちらもポップなロックチューンだがイントロと間奏に変化を付け、4ビートと8ビートを混合させたアレンジ。
タイトなスネアと絡みつくようなスライドギターが印象的で、音はウエストコーストの乾いた感じと抜けの良さを目指した。
BOBが叩き出すビート感が何とも言えない味を醸し出す。

M3「Unsubstantial Wind」
もともとフォーク調の感じだったものを、シミーの「なんか混沌とした感じにしたい」という要望のもと、オルタナなニュアンスにアレンジしたアシッドロック。
イメージはベルベッツmeets友部正人。ボーカルのレベルも低くしてある。
シンディーがギターを何テイクも弾きまくり、それをMixでフレーズごとに切ったり重ねたりしながらギターサウンドを構築。およそ24種類のギター音を使用しまとめた。
エンディングのボーカルエフェクトと、フェードアウト〜インからカットアウトという処理も気に入っている。
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M4「Goodmorning Goodnight」
某TV−CMのため以前作ったサビ部分をモチーフにした、黄昏らしいユルいポップなラヴソング。
レゲエ調のアレンジなのでベタだがところどころDUBっぽい音処理をしたり、音の隙間をMix時に作ったり、タムの音を深くしたりといろいろ工夫してみた。
シンディーのカリビアンなギターソロが秀逸。

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The黄昏カラアズはこのCDをリリースし、新たなステージへと向かう。
皆さん、温かい目で応援よろしくお願いします!


先行PV「ピエロは地平線へ」
http://www.youtube.com/watch?v=p_bIlMZw-tw&feature=youtu.be

The黄昏カラアズ HP
http://the-tasogare-colors.com/
by higehiro415 | 2012-08-10 00:58 | 音楽 | Comments(2)
先日(7.18)リリースされた幹mikiの2ndアルバム『青の軌跡』の制作にまつわる話を書いてみる。
前作「声」に引き続きサウンドプロデュースを担当させてもらうことになり、今年に入って間もなくアルバムコンセプトと収録曲の選定に取りかかった。

これまで幹ちゃんがライヴで歌ってきた曲の中で人気の高いものと思い入れのあるものを音源化すること、そして以前自主制作で出した何曲か(すでにどれも完売)をニューアレンジで出し直すこと。この2点がポイントだったので、コンセプトはいわゆるセルフカヴァーという形で彼女の現在進行形を聞いてもらおうと決めた。

当初は5〜6曲くらいをバンドアレンジものとピアノ弾き語り的なものに分け、マキシシングルで2枚同時発売にしようと目論んでいた。
しかし選曲をするにつれ収録したい曲が増え、新曲も入れたほうがいいよねとなった時点でシングル2枚の意味が無くなり、アルバムに方向転換したのである。

収録曲は8曲、セルフカヴァー6曲+新曲2曲の構成に落ち着き、何人かのアレンジャーにアレンジをお願いする方向でいくことにした。もっと正確に言えば職業アレンジャーというよりは、ミュージシャンに演奏を含むアレンジをしてもらおうということだ。

幹ちゃん、MIKI MUSIC曽根さん交えそれぞれの曲をどんな感じ(雰囲気や楽器構成など)にするか相談し、大枠が出来た。
あとはどの曲を誰にアレンジしてもらうか最終的に判断し、各アレンジャーと録音方法やミュージシャンや音の感じを詰めながら進めていくこととなる。

結果6組のアレンジャーを起用し、REC方法も曲に合わせバラバラに進行していったので時間も労力も掛かったが、それぞれがクオリティも高くとても個性的な雰囲気を持つものに仕上がった。

アルバムの質感という意味では、何人かのアレンジャーに発注した時点で統一感が少し失われるかもしれないなぁと思ってはいたが、それよりも各楽曲を生まれ変わらせることに主点を置いていたし、前作に収録した「劣性」や「サクラカラー」での音的な実験も難なくクリアした幹ちゃんのボーカルの存在感があれば、何とかなるという自信もあったのは事実だ。

それにアレンジャーそれぞれの個性や音的なことも理解しているつもりだったので、どう転んでも変な方向には行かないこともわかっていたし、イマジネーションを働かせればアルバムの流れや雰囲気もほぼ予測はできた。

各アレンジャーと連絡を取りながら、まずはデモを作り、それに仮歌をあて修正し、本歌を入れミックスへと大まかだがそんな流れで進んでいく。
仙台と東京でパートごとに録音した音声データをやり取りして、音源を作り上げていった。
だから僕の今回の役割はサウンドプロデューサーというよりディレクター的なもので、仙台でのRECとMIXとマスタリング以外は、それぞれのアレンジャーの範疇にお任せした部分も多い。

曲順は当初考えていたものから、音源の感じで少し入れ替えていった。
バラエティーに富んでいようと幹ちゃんの歌声が芯になってようと、やはりアルバムの曲順はトータルイメージとして非常に大切なので相当悩んだが、最終的にはパズルのようにピッタリと組合わさったのでホッとした。

全部の音源が出揃ったころ幹ちゃんから、もう1曲追加したいと連絡がきた。アルバムタイトルと同名曲でシンプルなものだと言う。
プレスを考えるとギリギリだったがタイトル曲ということと内容で、急遽追加し全9曲になったのである。

ちなみにアルバムタイトルも相当議論した。いろいろな意見がある中「軌跡」と決まりかけたが、字面的に新鮮さが無かったのでひとひねりして『青の軌跡』になった。
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幹ちゃんの好きな色で曲の中にも登場する青、その青を幹ちゃん本人に重ねたもので、何ともいえない味のあるジャケットイラスト(前作同様ヒロコちゃんが書いてくれた。素晴らしい!)と相まって、独特の世界観を感じさせてくれるパッケージだ。

今作の聴きどころだが、もちろん名曲揃いなのは言うまでもないが、やはりレンジの広い個性的な(しかも懐かしさと新しさが同居した)アレンジの数々と、それに真っ向勝負を挑む幹ちゃんの圧倒的な歌声と表現力だろう。
それぞれが交錯し共鳴し、過去と未来を行ったり来たりするような感覚に僕は陥る。

自分のGROOVE COUNCILレーベルのリリース第1弾だからというわけじゃなく、1人の音楽好きとしてとても価値のある1枚だと思っている。
そして次作もまた一緒に作れるなら、もっとこうしようというアイディアもすでに浮かんできているところである。


以下は曲ごとのワンポイント解説。

M1.空から降ってきたのはミサイルじゃなかったの
榊原大(元G-CLEF。数々のサポートやTV番組のテーマ曲など手がけるピアニスト&作曲家)氏アレンジのピアノとストリングスによるライヴでも人気のバラード。以前の自主制作盤より更に広がりが出てドラマチックに仕上がった。
東京REC・仙台MIXで室内交響楽をイメージしたサウンドプロダクション。

M2.フィアレス
ライヴではバラード調で歌われていたが佐藤達哉(元リンドバーグ。現aikoツアーバンドのキーボーディスト。宮城県出身)氏の大胆なアレンジでイメチェン。
中盤からのハネたピアノは調律前のスタジオのピアノをホンキートンクで面白いかもと試し録りしたテイクをそのまま採用。
後奏のいろんな音が出たり入ったりする僕のアイディアも含めて、ビートルズを意識したサウンドメイクを施した。
仙台REC。
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M3.電波塔
ビョークのツアーに参加するなどワールドワイドな活動を続けるアコーディオニストcobaによるアレンジ。
イメージとして伝えたアイルランドのストリート感と和風の交錯、異国情緒たっぷりのさすがのアレンジをしてくれた。
歌とピアノは仙台REC、その他をcobaのスタジオで仕上げてもらった。

M4.WHY
最近では杏やタニザワトモフミ、チュール等のプロデュース、自身のバンドcafelonも率いるRickenbackerギタリスト石崎光氏によるアレンジ。
尖った感性の中にも歌ものにこだわる彼らしいエッセンスが詰まった高品質フォークトロニカに仕上げてくれた。歌以外は東京にてREC&MIX。
ヘッドフォンで聴くとよくわかる細かい音の散りばめ方も面白い。
元々は1stシングルとして2007年にリリースした楽曲だが、本人の思い入れもあり新しいアプローチで再録。

M5.盾になる日
前作の「ジェントルライオン」に続き佐藤達哉氏とのピアノ1本による一発録り。
幹ちゃんのおばあちゃんが亡くなったことで曲が生まれ、ライヴで丁寧に歌われてきたバラード。
時には寄り添うように時にはぶつかり合うようにピアノと歌が見事なコントラストを描来出す。
仙台REC&MIX。

M6.ブルーバード
森山公一(オセロケッツ、The Ma’am)氏と毛利泰士(藤井フミヤ、槇原敬之、絢香などを手がけるマニュピレーター&ミュージシャン)氏のコンビによるアレンジ。
現代版コヨーテを合言葉にポップなミニマルミュージックに仕上げてくれた。
僕の細かい意見や要望も取り入れてくれ完成させてくれた、印象的なテーマと高揚感のある展開の新曲。このアルバムのハイライト曲。
歌以外は東京REC&MIX。

M7.ナミダノツルギ
佐藤達哉氏と、ノラ・ジョーンズ的な1曲が欲しいよねと語り合いながらアレンジされた温かい肌触りのミディアムナンバー。
ブラシを使った気持ちいい間のあるドラム、ウッドベースの柔らかな音色、AORちっくな抑制の効いたギターフレーズ、そして優しく美しいピアノ。まさに狙った通りのバンドサウンドに仕上がった。
仙台REC&MIX。

M8.PAIN
越田太郎丸(元Prismatica、葉加瀬太郎他多くのサポートも行うギタリスト)氏のセンシティブなガットギターとのデュエット。
仙台のスタジオに来てもらい歌との一発録りを行い3時間でOKテイクを録った。
以前自主制作盤でリリースした9.11N.Y.同時多発テロの際に作られた曲。
歌に寄り添ったギターが抜群のアプローチを見せる。
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M9.青の軌跡
急遽追加収録(そのため印刷が間に合わずブックレットに歌詞を同梱)されたアルバムタイトル曲。
僕の部屋で歌とキーボードを録ったが、アルバムラストの余韻ということなど考慮し、キーボードトラックをミュートしアカペラで収録。


以上駆け足でアルバムをご紹介したが、とにかく幹ちゃんの歌を円の中心にし、アレンジャー、演奏者、スタジオ、スタッフなどこのアルバムの制作に関わったすべての人々のハーモニーが綺麗に集約されて完成した1枚なのである。

そんな皆さんに感謝をしつつ、1人でも多くの方にこのアルバムを聴いて欲しいと切に願わずにはいられないのだ。
この仙台でこういうアルバムを作れたこと、携わってくれたミュージシャンや関係各位との出会い、影で支え応援してくれた方々、そしてこういうアーティストに巡り会ったことを誇りに思う。


幹オフィシャルHP http://mikimusic.com/
2ndアルバム 青の軌跡(DDCZ-2808)は全国CDショップにて発売中!
by higehiro415 | 2012-08-04 16:01 | 音楽 | Comments(0)