佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

<   2015年 08月 ( 4 )   > この月の画像一覧

今回の仙台はスペシャルだからさ、これまでとちょっと違う感じを出したいんだよね。と言っていた本人の希望に添って、珍しくジャズナンバー(Vince AndrewsLove oh love)をオープニングSEにした。軽快なスウィングビートにのって主役が片手を軽く上げながらステージへと登場すると、フロアから大きな拍手が起きる。


「ありがとう。きょう弾き語りは何回めかなんですけど、ちょっと今なかなか味わったことのない光景で()。高いのかな、ステージが。みんな立ちたい?大丈夫?(客席から大丈夫!の声)オーライ!OK」僕はタイミングを見計らって1曲目「のらりくらり」のリズムトラックをCut Inさせる。

Whisky Man Againと題した古市コータロー弾き語りライヴin仙台は、こんなオープニングで始まった。

f0210751_09444723.jpg

3曲が終わるとこう切り出す。

「今日は、去年の12月にツアーをやりまして、それのなんていうの?あれ、なんつうんだこういうの。何?(客席からリベンジ!)そう、リベンジだよ()。仙台リベンジということで来ました。なんか台風の情報とかあって、えーまたぁ!?みたいな、やばいかなと思ったんだけど、今日は無事に来れてまずはよかったと思います。去年来てくださった方もいると思うんですけど、札幌の次が仙台ということで、札幌はギンギンに晴れてたんですけど飛行機がないということで全然こっち来れなくて、やっとの思いで来たんだけど、でもそんときも我々の乗った飛行機しか飛ばなかったというね、ほんと危ない。あとでもうゾッとしたけどね。そん時はゾッとする暇もなかったんだけど。まぁそれでライヴは出来て、そういう状況のライヴだからなんていうのかな、皆さん気持ちがひとつになり(静寂の客席)なってないのかよ!()もうほんとに心に残るライヴになったんですけどね。でもやっぱりこうノンストレスで来てさ、やぁどうもどうもって感じでやりたいなって思ったのが、今日のライヴなんですね。こういうトリッキーなタイミングで仙台来ましたが、まぁひとつヨロシクということで、今日は最後までお付き合いください。」

f0210751_09452087.jpg

多くの方から中止や延期ではないのになんて律儀なという言葉もいただいたが、帰りの都合で途中退席した方もいたし、何より皆さんを長時間待たせたということ、そしてきちんとリハ(気持ちも含めた)など準備が出来ないままライヴを見せてしまったという不本意さが僕らに残っていたのである。

アクシデントによる電話中継や公開サウンドチェックというレアな状況、ライヴ自体や音も通常とさほど変わらないクオリティーではあったのだろうが、そこはやはりリベンジしたいとあの時から考えていたのだ。この企画を持ちかけたとき二つ返事で「うん、やろうよ!」と快諾してくれたコータローだが、レコーディングなど厳しいスケジュールの合間を縫って仙台に来てくれて、その優しさと男気がこの日の会場には充満していたように思う。

f0210751_09461414.jpg

セットリストは上記写真(私用PAセトリ資料)の通りだが、昨年のツアーと今年5月のBDライヴのものを混ぜ合わせ、さらに新しいものを盛り込むという美味しいとこ取りのメニューだ。1曲目にリズム同期を持ってくるのも実験とはいえ斬新だったのではないか。

オリジナル曲の弾き語りクオリティーは5月よりさらに饒舌なニュアンスが増し、表現の幅が広がっている。ギターに関しての腕前は説明不要だろうが、単なるギタープレイではない部分の弾き語り特有のダイナミクスというか、自分の歌に対してのアコギの位置関係がより明確になっていたと思う。これは弾き語りというスタイルを完全に手の内に入れ進化させたものだろう。歌は完全にボーカリストとしての声と化している。回数が少ない上に半年ほどでここまでなるだろうかと、コータローの鍛錬とミュージシャンとしての勘の良さ(感覚の鋭さ)に恐れ入る。

f0210751_09453485.jpg

MCでは、早朝ラジオ体操に通い昼はアイスを食べるという、子供のような夏を満喫している様子を話してくれる。また、シャンプーを付けずに髪を洗っていたり、紅生姜が食べたくて牛丼屋に行ったのに紅生姜を乗せるのを忘れたりと、最近のボケっぷりっも告白。暑いからかなと言っていたが、歳のせいもあると思うよ、コータロー。だって俺も最近そんなのが多いもの()

暑い繋がりで急に思い出したのは中華屋の外国人。片言の日本語で「アヅイから〜」とラーメンを運んでくるとう思い出話も聞かせてくれた。

恒例のカヴァーコーナーではボツになった曲と共に若大将の「海・その愛」をワンコーラス。珍しく本牧ブルースの歌詞をど忘れしやり直す場面もあったが、あれはあれでお茶目な感じが出ていて悪くなかった。


まぁそんなリラックスムードで、2時間のライヴはあっという間に終了してしまった。

本人も言っていたが、本当にこのライヴをやってよかったと僕もそう感じている。音のほうでリベンジできたこともそうだが、地元である仙台・東北に何か新風や面白いことを提示することで、まわりの人が楽しんでくれてそれが故郷と音楽への恩返しになるとといいなぁと、ここ4年やってきているのだ。


仙台ではなかなか集客が厳しく、もちろんそれは自分の力不足なのだが、集客がないと経費の問題で希望の会場が借りられなかったり東京や大阪から演者を呼べなかったりという制約が付きまとい、最近は仙台でのイベントをうまく仕掛けられないでいた自分なのでなおさらである。

きっと地方に住む音楽好きの共通な感情として、東京はいいなぁ〜という思いがあるのではないだろうか。音楽カルチャーならほぼ何でも揃っていることは、とても羨ましいことだ。それでもコンプレックスをバネに地元(地方)を盛り上げようと頑張っている人が沢山いるし、僕もその中の一人として何か貢献出来ないだろうかという思いは強い。

話が脱線してしまったが、だからこそ「マジな話なんだけどDNAなのかなんなのか、東北にくるとホッとします。」というコータローのMCには、僕も含め勇気付けられた東北人がたくさんいたのではないかと察するのだ。

f0210751_09455057.jpg

そして開演直前にステージに上がりギターのチューニングをしてくれたのは、Going

Under Groundの松本素生くん。だいぶ前からコータローさんの弾き語り見たいから本人には内緒で仙台に行こうかなぁ〜と言ってくれていたのだが、前日イベント出演した会津から高速バスで本当に来てくれた。昼過ぎに仙台に着くというので迎えに行き一番町のカフェモーツアルトで珈琲を飲みながら談笑したのだが、これもまた素敵な時間だった。彼の熱い音楽愛や温かい人間性に触れることができた。


素生くんが頃突如会場に現れたときのコータローは本当に驚いた様子だったが、とても嬉しそうでもあった。セッションでもという会話になるが、急にやるには音合わせの時間がないということで、スーパーローディーとしてチューニングに出ることになった。せっかく来たのだから声も聞きたいと思う反面、なんとも贅沢でマニアックなサプライズだなとも思いニヤリとしてしまう。

f0210751_09451080.jpg
f0210751_09443951.jpg

この日はお手伝いに友人らも数人来てくれた。関西からデザイナーのC子、フリーパーソナリティーの富岡浩美ちゃん、チェリストのMMさん、盛岡のMOD345号くん、いつもありがとう。現場の雰囲気を体験させたいと教え子のK平も連れて行ったのだが、リハ中にそれを知ったコータローが「ステージに上がっておれのギター弾いてみろよ!」というナイスな一場面もあった。緊張しながらアコギを引くK平は「プロのギターと音響ってこんなにいい音するんですね」と感激している。いい経験になっただろう。それと好意的に会場を提供してくれいろいろ協力してくれたClub Junk Box店長の板橋くん、そしてスタッフのみんなもいつもありがとう。

f0210751_09443158.jpg

打ち上げは行きつけの店で。別会場でライヴだったクハラカズユキ、うつみようこも乱入し店の半分を占拠し盛り上がる。途中どうしても食べたいという素生くんのために僕とコータローと3人で中抜けしていつものラーメン屋へ。どう?美味いだろ!と自分の店のように言うコータロー。素生くんんも、これは間違いないっすね、とスープまで飲み干す。このラーメン屋の親方は職人気質で愛想が良いほうではないのだが、よく連れていくコータロー(コレクターズ)を応援してくれている。先日コータローから、オヤジにプレゼントしてくれと頼まれTシャツとソロCDを渡したのだが、この前はなんか豪華な頂き物しちゃってスンマセン!と満面の笑み、そんな親方もレアだった。

打ち上げの店に戻り店内に流れるアラバキ2015の映像を見ながら、ワイワイと焼酎やワインのボトルを次々と空にしたのだった。


f0210751_09455841.jpg


昨年の初弾き語りツアー2本目でのアクシデント、「あれで本当に強くなったし、おれの人生に用意されていたことなんだね。」と語ったコータローだが、マイナスをお釣りが来る程プラスに転換していくエネルギーとパッションは、やはり凄いと思うし見習わなければと心に念じる。


そういえばあの日はチョーキーも見に来てくれてライヴ後この店で飲んだなぁ。楽しかったが、精神的肉体的疲労と安堵感で僕らは放心状態だったことを思い出す。豪快に飲みまくる今宵は、そういった意味でもまさしくリベンジ遂行となったのであった。

来てくださった皆さんも素敵な余韻を楽しんでくれていればいいなぁ〜と思いながら、夜風に吹かれて帰路につく。

f0210751_09445740.jpg


*****

次回はこちらでお会いしましょう!

THE COLLECTORS tour 2015 “Super Duper”

10/31 青森:Quarter

11/1 仙台:ClubJunk Box




by higehiro415 | 2015-08-19 09:49 | ライヴ | Comments(0)

ライヴの前々日から台風の進路が心配で何度も天気予報を確認する。当日はなんとか台風も通り過ぎる気配だが、まずは大阪まで無事に移動しなければならない。現在は四国を時速20kmの遅い速度で進んでいるとTVから声がするが、とにかくスピードアップして早く過ぎ去ってくれと願いながら床についた。


717日の朝、仙台はよく晴れていたが、台風はまだ中国地方に暴風雨をもたらし関東まで天気に影響が出ているらしい。予定を1時間半繰り上げて早めに家を出て東京へ向かう。新幹線が遅れたりしたら嫌だなと思ったからなのだが、その思いは杞憂に終わりどんより空の東京へは待ち合わせ時間よりちょうど1時間半早く到着した。

f0210751_23272323.jpg

待ち合わせ場所は常宿にしているホテルの近くなので、ここら辺の地理にはだいぶ詳しくなった。よく行く喫茶店に入り資料や段取りなど忘れていることがないかチェックしながらカプチーノをすする。

スマホで最新の天気を確認しながら「この天気は運がいいんだか悪いんだか、どっちなんだろう?」とか考えながら時間をやり過ごし外に出ると、雨は上がり蒸し蒸しとした生暖かい空気が肌にまとわりつく。本来なら不快であるはずの天候だが、嵐が去った安堵感のためかそれほど嫌な感じではなかった。


約束の時間通りに2人と合流し、1台の車に乗り込み僕らは大阪へと出発する。高速道路は順調に流れているようだ。ランチは静岡あたりまで走ってから食べようと、車は西へとスピードを上げた。

車中は心地いいBGMと気心が知れているリラックス感の中、ときおり浜松訛りの混じる標準語と完全なる大阪弁と隠しきれない仙台弁が飛び交う。

浜松サービスエリアで鰻でも食べようと画策するがその店がなく、地元のソウルフードだというおでんを食べた。子どもの頃よく食べたなぁ〜と感慨深い人が約1名。そしてまたひたすら西へと走る。

f0210751_23274150.jpg

滋賀に差し掛かったころ、空は鉛色の雲に覆われ大粒の雨が落ちてきた。京都を越え大阪へ入ると時間的なものもあるのか交通渋滞に巻き込まれるが、ほぼ想定内のうちに現地に到着する。実家に泊まるという1人をなんばで下ろし、僕らはホテルへチェックインしてからアメ村のタコタコキングまで大雨のなかびしょ濡れで歩き夕飯をとった。

スマホで最新の天気予報をチェックする。明日は台風の影響もなく曇りから晴れになるとのこと。記念すべきこのライヴなのにとヒヤヒヤさせられたが、どうやら運はいい方向に転びそうだった。


*****


浅田信一のデビュー20周年サマーライヴサーキット第1弾は、SMILEナンバーばかりをセルフカヴァーするという企画。今年はじめのソロアコースティックツアー中の名古屋での打ち上げで、この構想は飲みながらの雑談から生まれた。その翌日に東京へ戻ってからもリクエストを募ったらどうかとかいろいろアイディアが出て(これも飲み屋だったなぁ。笑)、少しずつ煮詰めた結果のSMILEトリビュート。編成は弾き語りではなく平畑徹也(はっちゃん)のピアノとのデュオという特別なものになった。

f0210751_23312423.jpg

以前のツアーレポで細く書いたので割愛するが、20周年というこの時期に新しいステージへと駆け上がろうとする信ちゃんにとって、分岐点ともいえる重要な位置を占めるこのライヴ。結果的には7/18大阪knave7/20渋谷Last Waltzも、本当に素晴らしいものになったし、本人もファンの皆さんも楽しめた企画になったのではないだろうか。これでスッキリと次へ向かえる気がしたのは僕だけではないだろう。


そしてNEW浅田信一を印象付ける出来事がもうひとつ。缶バッジにもなった彼のキャラクター「シンディ」だ。これは7/3大阪での森山公一レコ発ライヴのときに、信ちゃんから提案があった。「コータローさんのドクロみたいな、なんかおれにもキャラクターあるといいなぁ。好きな猫をモチーフにしたようなやつ。」これまでにない嬉しい発言だった。

20周年記念バッジの製作を進めていた僕とデザイナーのCKは、慌てて路線変更し何度も信ちゃんとやり取りして彼のイメージ通りのキャラクターが完成した。名前は古市コータローが命名した。

f0210751_23270253.jpg

****


「虹橋」「大切な人」の曲順が大阪はMCの流れで入れ替わったこと、東京ではダブルアンコールで新曲をもう一回演奏したことを除けば、大阪・東京ともにセットリストは同じで下記の通り。

多くのファンの方々から寄せられたリクエストをカウントダウンで歌っていくというのは新鮮だった。MCでもネタになっていたが、ザ・ベスト10方式。10位から4位、惜しくもトップ10に入らなかった5曲を挟んで3位から1位が本編。アンコールが新曲というのもとても象徴的で良かった。


Set List

01. 昨日の少年(10位)

02. LOSER10位)

03. INEVERY PLACE9位)

04. FORYOUR SMILE9位)

05. 風と雨の強い日(8位)

06. 夢見たものは(7位)

07. 夏の日の夕立、秋の日の果実(6位)

08. 流れ星と月の石(5位)

09. ラブレター(4位)

10. 謝りたいことがあるから(13位)

11. 午後の空 浮かぶ月のように(12位)

12. クラゲ(12位)

13. 茨の道を突き進め(12位)

14. ALONEAGAIN11位)

15. 虹橋(3位)

16. 大切な人(3位)

17. 明日の行方(2位)

18. 月曜日の雨(1位)

En

Over and Over(新曲)


はっちゃんの生ピアノとのデュオというのは、昨年末のクリスマスライヴ以来だろうか。その時僕は駆けつけられなかったので、このライヴで初めてそのアンサンブルを聴くことになった。どれも心にスーッと沁みてくる優しいアレンジで、当時のキラキラした眩しさにフォーキーな繊細さが加わり、過去の曲たちが見事に再生されていく。それはまるで絹の織物のように、しなやかで美しい光沢のなかに強さも忍ばせた極上品だ。音作りもその特性をきちんと聴いてもらえるように工夫したつもりである。


アコースティックギターとグランドピアノという編成の問題だけではなく、信ちゃんの力みのないストロークに、一音一音に個性を持ったはっちゃんのタッチが重なる。曲によって信ちゃんはアコギを置きピアノだけで歌う。シンプルながら深みのある演奏は、声の魅力と曲の良さを十二分に感じさせてくれたのではないだろうか。

声というのは最大の武器である。もちろん演奏や曲作りというのも才能と努力がなければかっこいいっものにはならないと思うでそれだけでも十分に凄いのだが、歌声には理屈抜きで圧倒される力がある。ただ声がいいというだけでなく、それを磨きコントロールしてはじめて人の心を射抜く武器となるのではないか。要するに声を最大限に生かす歌い方やメロディーを心得ているのだろうし、それこそが浅田信一のシンガーとしての最も大きなセンスといえる。すぐれた音楽家でもあるが、やはり日本屈指のボーカリストなのだ。

それにしてもなんて名曲ばかりなのかとため息が漏れる。演奏と同じく絶妙な掛け合いの二人のMCもアットホームで心温まった。

f0210751_23303129.jpg
f0210751_23322737.jpg

そしてアンコールで初お披露目となった新曲Over and Over

「僕らは旅に出る明日になっても 何度も旅に出る答えはなくても overand over 君とすれ違いながら 立ち上がって次のまちへ」と歌われるこの曲は、まさに決意表明というか今の心境をストレートに描いた切なさと力強さが同居した名ロックナンバーだ。


過去と決別するのでも葬り去るのでもなく、いま(だからこそ出来ること)を受け入れて前に進んでいくという、誰にでも当てはまる人生の応援歌にも聞こえる。この曲でライヴが終わるということがとてもリアルで感度的だったし、ミュージシャン浅田信一が久しぶりに立ち上がり未来へとまた歩き出したのだと確信させられる瞬間でもあった。

f0210751_23305973.jpg

次のまちの風景はいったいどんな感じだろう。

それは8/27BDライヴ〜new landscape〜で見ることができるはずだ。

f0210751_23301352.jpg

P.S.

大阪・東京とお手伝いやご協力いただいたすべての皆さんに大感謝!

そして東京公演、ステージが見えづらくてすみませんでした。今後の課題とさせていただきます。



Info.

8/27 浅田信一 BDSpecial Live new landscape

Gtr/古市コータロー、Bass/高間有一、Dr/古沢cozi岳之

Zther the ZOO YOYOGI19:00/19:30

前売り分はSold Outですが追加チケット20枚のみ販売決定!

ご予約は groovecouncil@gmail.com 8.27_BD係まで




by higehiro415 | 2015-08-05 23:37 | ライヴ | Comments(2)

アラバキロックフェスの全体打ち上げのとき、真城めぐみと飲んでいるテーブルにきた畠山美由紀とマネージャーAさん。「今日も素敵な音をありがとうございました。ところで7/12って空いてませんか?福島のイベントにアン・サリーちゃんと出るのでぜひPAやって欲しいんですよ。」「おれでいいならもちろん!まだ何も入ってないので予定入れとくね」


そんなオファーで音作りに参加させてもらったのが、福島市民家園で開催されたイベント・ForRest 2015での「ふたりのルーツショー(アン・サリー×畠山美由紀)」だ。

リハが午前中ということで10時に福島市内のホテルを出て会場の民家園に向かう。ライヴが行われるのは廣瀬座という明治時代に建てられたという芝居小屋。めちゃめちゃ雰囲気がある。

サポートはいつもの3人。クラリネット黒川さん、ベース織原さん、ギター笹子さん。この3人の繊細でなめらかなアンサンブルに乗り、アンちゃんと美由紀ちゃんの歌声がここに響くのかと想像するだけでうっとりする。

f0210751_16550523.jpg

構造上客席にPA卓を配置できずステージ袖にPA席があったので、リハはかなり細かく客席と袖とステージを行き来しながら音をチェックしていく。PA席で出音(客席の音)をちゃんと聴けないというこの状況は正直ストレスがたまるものだが、それでも経験と想像力をフルに働かせてベストを尽くさねばならない。ただメンバーに近いのでモニターのやり取りがスムーズという利点もある。

こういう場合よくヘッドフォンでモニターしながらPAをやる人が多いのだが、それだと最低限のバランスしかわからず、生音の感じやスピーカーの音質や客席での響きはやはりその場で聴かないとダメだと僕は考えている。参考までに。

f0210751_16545727.jpg

さて本番前になり客席はあっという間に満員になってしまった。500人くらいはいるだろうか。古い建物なのでエアコンはないのだが、自然とそよ風が入ってくるので暑いには暑いがどこか心地よさもある。

ふたりのルーツショーはその名の通り、アン・サリーと畠山美由紀のルーツとなった曲をジャンル問わずカヴァーする企画だ。音楽好きには二人の歌姫がどんな曲を選ぶのかという面白さもある。


この日歌われたのはジョニ・ミッチェル「All I Want」、しばたはつみ「シンガーレイディー」から演歌「矢切の渡し」「おんな港町」、シャーデー「Kiss Of Life」、矢野顕子&忌野清志郎「ひとつだけ」、シュガー「ウエディングベル」、アイルランド民謡「Danny Boy」、ボサノバの名曲「SABIA」、二人の曲を1曲づつやったあとラストはキャロル・キング「You’ve Got A Friend」というセットリスト。


この曲名を見ただけでもワクワクする名曲だらけ。それらがJazzyでボッサなアレンジで演奏され、二人の飛び抜けた表現力で歌われるのだから、それはもう至福としか言いようがない空間であった。名曲が名演されるのだから、老若男女誰もが理屈抜きに楽しめるというのも素敵だ。本当に惚れ惚れするステージだった。

普段は東京で年に数回ライヴをやっているこの企画、ぜひ一度聴いてみてほしい。

f0210751_16551522.jpg

音のほうは客席で見ていた大友良英さん(あまちゃんの音楽作った方ね)に「めちゃくちゃ音がよかったよ!気持ちよかった。」と言われひと安心。気持ちいい音という褒められ方は個人的にとても気分が上がる()。まぁ一番は演者の生音と演奏がよかったということなのだが、その良さを殺すことなく出せたという満足感があった。


それにしてもこのイベント、イベンターや企画制作業者の手を借りず有志の実行委員とボランティアの皆さんで運営していると聞いた。要するに素人の方の手作りなのだが、二日間で8000人もの来場があったらしい。メインのライヴのほかワークショップや出店などもあるし、自然の中に点在する古民家園を散歩するだけでもどこか癒される。

面倒な要求をする飼いならされたアーティスト(事務所)には不向きだろうが、その趣旨と方法論を理解した出演者なら、とても快適なイベントであると感じた。ということは無論お客さんにもその波動は伝わるはずで、民家園全体にほのぼのとした福島らしさと共に実行委員の方々の熱い想いが充満していた。この場所を提供している自治体の理解も大きいのだろうと推測する。とにかく地方でのイベント成功のヒントが多くあったというのも付け加えておきたい。


時間が早いのでメンバーはこのまま東京へ、僕は仙台へと戻る。車を運転していると携帯にメールが入った。美由紀ちゃんからだった。

「すごくやりやすかったです。またまた絶対近いうちに♥」

なんか最近は素敵な人たちと仕事が出来て幸せだなぁ〜としみじみ感じながらアクセルを踏み込んだ。




by higehiro415 | 2015-08-04 16:56 | 音楽 | Comments(0)

森山公一(オセロケッツ/The Ma’am)がキャリア18年目にして初のソロアルバムを6/24にリリースした。その名も「Record !」と題されたそのアルバムは、光るポップセンスとマニアがニヤリとしてしまうマニアックなサウンドプロダクションが秀逸で、音楽の奥深さと軽薄さ()を知る彼にしか作れない名盤だ。


そんな森山のレコ発ライヴにPAとこの日出演のアナログモンキーズの世話役で呼ばれ、大阪まで行ってきた。

イベントなのでステージ転換などあるが、何度も行っているJANUSが会場ということで、そのスタッフの皆さんに手伝ってもらえたので問題なく終えることができた。感謝。


シークレットのオープニングアクトは地元の専門学生女子3人からなるTYFOO-Nが客席から登場し、若さあふれる演奏と寸劇チックなライヴで魅せてくれた。森山が教えに行っている専門学校の生徒らしいが、オリジナル曲のアレンジには至る所に大人向けのアイディアも効いていて、まだまだ荒削りながらキャラもいいし強烈なオリジナリティーを感じる。


続いてはラクライ(from東京)。今回の森山ソロアルバムのプロデュースを担い、素晴らしい仕事ぶりを発揮した毛利泰士くん(槇原敬之などのサポート)率いる3ピースバンド。赤間慎(Dr & Vo)、毛利くん(Ba & Vo)、太陽(Vo & Piano)という編成でねじれたポップソングを連発。さすがの練られたアレンジと演奏力は抜群の安定感があり、グイグイとステージに引き込まれる。全員が歌えるというのもいいし、これだけのポップロック感を出せるバンドもそうそういないだろう。3人のキャラも素敵でまた観たい聴きたいバンドだ。


そして森山がリスペクトする先輩2人組、ANALOG MONKEYS(古市コータロー×浅田信一)がアコギ2本でユル〜く場を和ませる。この日は森山のレコ発イベントということで、コータローと信ちゃんお互いのオリジナル曲をセットリストに入れてあった。もちろんいつもの歌謡曲カヴァーも相変わらず良かったが、このオリジナルをやり合うパターンは今後のアナモンでも是非続けて欲しいスタイルだ。森山のCDリリースを祝うためだけに駆けつけた2人は、貫禄のステージでトリの主役へつなぐ。ラストナンバーはコータローのソロアルバムに森山が書き下ろした名バラードBaby Moonだったのも憎い。


トリはもちろん森山公一。この日は地元大阪でのレコ発にも関わらず東京からのメンバーをサポートに迎えていた。Gt:山本タカシ、Pedal Steel:尾崎博志、Piano:横山裕章、Ba:毛利泰士、Dr:赤間慎という強力布陣。

この日のステージがお世辞抜きで本当に素晴らしかった。こういうライヴは何年かに1度お目にかかるかどうかだ。

緻密さも含んだアルバム曲をどんな風にライヴで再現するのか興味津々だったが、さすがの演奏と表現力で、ガチなのに適度な緩さもある自由度の高いグルーヴを展開。熟成されてはいるがほんのり青臭さも残るなんとも言えない味わいがある。


そして森山の声とメロディーがあらためて超一級品だということも証明してみせた。アメリカのエンターテイメントショーをも彷彿とさせる、良質で心から楽しめるライヴであった。

僕はこの日のためにジェームス・テイラーやザ・バンドなどのライヴサウンドを1ヶ月前から再研究して臨んだ。生音を最大限に生かしながら繊細な部分もきちんと聴かせるヒューマンで大人のサウンドを出してあげたいと思ったのだ。それが僕から彼へのレコ発のプレゼントだ。うまくいってホットした。

f0210751_22383808.jpg

森山がこんな日を迎えることを、きっと多くのファンのみならず各関係者や仲間も切望していたことだろう。才能や実力のある人間は、それをまっとうする義務があると思う。

あれはもう3年くらい前になるだろうか。大阪へ戻った森山と飲んだときに「なんか自分の歌に迷いが生じている」みたいな話題になり「それは今ちゃんと歌ってないからだ!」「あ〜っ、ホンマですわ〜」とタコ焼きをつまみながら話し込んだ夜が懐かしい。


キャリア18年目にして、森山はいま2度目のスタートラインに立った。ここから彼の音楽家としての本当の旅が始まるでのはないだろうか。これからも呑んだくれながら、のらりくらり活動をしていくのかもしれないが、それが彼に合ったスピードならば無理することはない。願わくは初ソロアルバムが一人でも多くの人に聴かれ、今の日本にもこんな音楽があるのだと知ってもらいたい。それが音楽の良心となるだろうし、それを埋もれてしまわないように支えるのが僕ら業界人の使命ともいえる。逆に言えばそう思わざるを得ない音楽の本質とエナジーとセンスが、いまの森山公一の音楽にはあるってことなのだ。

早く東北のほうでもライヴを観せたいなぁ。



by higehiro415 | 2015-08-03 22:41 | 音楽 | Comments(0)