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佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
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浅田信一 with a song in my heart ~Tribute to SMILE~ レポ

ライヴの前々日から台風の進路が心配で何度も天気予報を確認する。当日はなんとか台風も通り過ぎる気配だが、まずは大阪まで無事に移動しなければならない。現在は四国を時速20kmの遅い速度で進んでいるとTVから声がするが、とにかくスピードアップして早く過ぎ去ってくれと願いながら床についた。


717日の朝、仙台はよく晴れていたが、台風はまだ中国地方に暴風雨をもたらし関東まで天気に影響が出ているらしい。予定を1時間半繰り上げて早めに家を出て東京へ向かう。新幹線が遅れたりしたら嫌だなと思ったからなのだが、その思いは杞憂に終わりどんより空の東京へは待ち合わせ時間よりちょうど1時間半早く到着した。

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待ち合わせ場所は常宿にしているホテルの近くなので、ここら辺の地理にはだいぶ詳しくなった。よく行く喫茶店に入り資料や段取りなど忘れていることがないかチェックしながらカプチーノをすする。

スマホで最新の天気を確認しながら「この天気は運がいいんだか悪いんだか、どっちなんだろう?」とか考えながら時間をやり過ごし外に出ると、雨は上がり蒸し蒸しとした生暖かい空気が肌にまとわりつく。本来なら不快であるはずの天候だが、嵐が去った安堵感のためかそれほど嫌な感じではなかった。


約束の時間通りに2人と合流し、1台の車に乗り込み僕らは大阪へと出発する。高速道路は順調に流れているようだ。ランチは静岡あたりまで走ってから食べようと、車は西へとスピードを上げた。

車中は心地いいBGMと気心が知れているリラックス感の中、ときおり浜松訛りの混じる標準語と完全なる大阪弁と隠しきれない仙台弁が飛び交う。

浜松サービスエリアで鰻でも食べようと画策するがその店がなく、地元のソウルフードだというおでんを食べた。子どもの頃よく食べたなぁ〜と感慨深い人が約1名。そしてまたひたすら西へと走る。

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滋賀に差し掛かったころ、空は鉛色の雲に覆われ大粒の雨が落ちてきた。京都を越え大阪へ入ると時間的なものもあるのか交通渋滞に巻き込まれるが、ほぼ想定内のうちに現地に到着する。実家に泊まるという1人をなんばで下ろし、僕らはホテルへチェックインしてからアメ村のタコタコキングまで大雨のなかびしょ濡れで歩き夕飯をとった。

スマホで最新の天気予報をチェックする。明日は台風の影響もなく曇りから晴れになるとのこと。記念すべきこのライヴなのにとヒヤヒヤさせられたが、どうやら運はいい方向に転びそうだった。


*****


浅田信一のデビュー20周年サマーライヴサーキット第1弾は、SMILEナンバーばかりをセルフカヴァーするという企画。今年はじめのソロアコースティックツアー中の名古屋での打ち上げで、この構想は飲みながらの雑談から生まれた。その翌日に東京へ戻ってからもリクエストを募ったらどうかとかいろいろアイディアが出て(これも飲み屋だったなぁ。笑)、少しずつ煮詰めた結果のSMILEトリビュート。編成は弾き語りではなく平畑徹也(はっちゃん)のピアノとのデュオという特別なものになった。

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以前のツアーレポで細く書いたので割愛するが、20周年というこの時期に新しいステージへと駆け上がろうとする信ちゃんにとって、分岐点ともいえる重要な位置を占めるこのライヴ。結果的には7/18大阪knave7/20渋谷Last Waltzも、本当に素晴らしいものになったし、本人もファンの皆さんも楽しめた企画になったのではないだろうか。これでスッキリと次へ向かえる気がしたのは僕だけではないだろう。


そしてNEW浅田信一を印象付ける出来事がもうひとつ。缶バッジにもなった彼のキャラクター「シンディ」だ。これは7/3大阪での森山公一レコ発ライヴのときに、信ちゃんから提案があった。「コータローさんのドクロみたいな、なんかおれにもキャラクターあるといいなぁ。好きな猫をモチーフにしたようなやつ。」これまでにない嬉しい発言だった。

20周年記念バッジの製作を進めていた僕とデザイナーのCKは、慌てて路線変更し何度も信ちゃんとやり取りして彼のイメージ通りのキャラクターが完成した。名前は古市コータローが命名した。

浅田信一 with a song in my heart ~Tribute to SMILE~ レポ_f0210751_23270253.jpg

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「虹橋」「大切な人」の曲順が大阪はMCの流れで入れ替わったこと、東京ではダブルアンコールで新曲をもう一回演奏したことを除けば、大阪・東京ともにセットリストは同じで下記の通り。

多くのファンの方々から寄せられたリクエストをカウントダウンで歌っていくというのは新鮮だった。MCでもネタになっていたが、ザ・ベスト10方式。10位から4位、惜しくもトップ10に入らなかった5曲を挟んで3位から1位が本編。アンコールが新曲というのもとても象徴的で良かった。


Set List

01. 昨日の少年(10位)

02. LOSER10位)

03. INEVERY PLACE9位)

04. FORYOUR SMILE9位)

05. 風と雨の強い日(8位)

06. 夢見たものは(7位)

07. 夏の日の夕立、秋の日の果実(6位)

08. 流れ星と月の石(5位)

09. ラブレター(4位)

10. 謝りたいことがあるから(13位)

11. 午後の空 浮かぶ月のように(12位)

12. クラゲ(12位)

13. 茨の道を突き進め(12位)

14. ALONEAGAIN11位)

15. 虹橋(3位)

16. 大切な人(3位)

17. 明日の行方(2位)

18. 月曜日の雨(1位)

En

Over and Over(新曲)


はっちゃんの生ピアノとのデュオというのは、昨年末のクリスマスライヴ以来だろうか。その時僕は駆けつけられなかったので、このライヴで初めてそのアンサンブルを聴くことになった。どれも心にスーッと沁みてくる優しいアレンジで、当時のキラキラした眩しさにフォーキーな繊細さが加わり、過去の曲たちが見事に再生されていく。それはまるで絹の織物のように、しなやかで美しい光沢のなかに強さも忍ばせた極上品だ。音作りもその特性をきちんと聴いてもらえるように工夫したつもりである。


アコースティックギターとグランドピアノという編成の問題だけではなく、信ちゃんの力みのないストロークに、一音一音に個性を持ったはっちゃんのタッチが重なる。曲によって信ちゃんはアコギを置きピアノだけで歌う。シンプルながら深みのある演奏は、声の魅力と曲の良さを十二分に感じさせてくれたのではないだろうか。

声というのは最大の武器である。もちろん演奏や曲作りというのも才能と努力がなければかっこいいっものにはならないと思うでそれだけでも十分に凄いのだが、歌声には理屈抜きで圧倒される力がある。ただ声がいいというだけでなく、それを磨きコントロールしてはじめて人の心を射抜く武器となるのではないか。要するに声を最大限に生かす歌い方やメロディーを心得ているのだろうし、それこそが浅田信一のシンガーとしての最も大きなセンスといえる。すぐれた音楽家でもあるが、やはり日本屈指のボーカリストなのだ。

それにしてもなんて名曲ばかりなのかとため息が漏れる。演奏と同じく絶妙な掛け合いの二人のMCもアットホームで心温まった。

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そしてアンコールで初お披露目となった新曲Over and Over

「僕らは旅に出る明日になっても 何度も旅に出る答えはなくても overand over 君とすれ違いながら 立ち上がって次のまちへ」と歌われるこの曲は、まさに決意表明というか今の心境をストレートに描いた切なさと力強さが同居した名ロックナンバーだ。


過去と決別するのでも葬り去るのでもなく、いま(だからこそ出来ること)を受け入れて前に進んでいくという、誰にでも当てはまる人生の応援歌にも聞こえる。この曲でライヴが終わるということがとてもリアルで感度的だったし、ミュージシャン浅田信一が久しぶりに立ち上がり未来へとまた歩き出したのだと確信させられる瞬間でもあった。

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次のまちの風景はいったいどんな感じだろう。

それは8/27BDライヴ〜new landscape〜で見ることができるはずだ。

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P.S.

大阪・東京とお手伝いやご協力いただいたすべての皆さんに大感謝!

そして東京公演、ステージが見えづらくてすみませんでした。今後の課題とさせていただきます。



Info.

8/27 浅田信一 BDSpecial Live new landscape

Gtr/古市コータロー、Bass/高間有一、Dr/古沢cozi岳之

Zther the ZOO YOYOGI19:00/19:30

前売り分はSold Outですが追加チケット20枚のみ販売決定!

ご予約は groovecouncil@gmail.com 8.27_BD係まで




by higehiro415 | 2015-08-05 23:37 | ライヴ