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佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
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2016年個人的総括

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旅が多かったなぁというのが今年1年の個人的な印象である。仕事量は例年と変わらずとも、移動も仕事のうちという意味では時間的にとても忙しく感じた。

同時にラーメンやソフトクリームを筆頭に各地の美味しいものをあれこれと食べ、アルコール摂取量も多かったという結果にもなるのだろう。腹回りが大きくなる訳だ(苦笑)


あちこちで仕事をするということは環境の変化(会場だったり音響機材だったりスタッフも)が目紛しいということであり、場所によっては厳しい環境に置かれることもあったので、そこも含めて上手く乗り越えてきたことを思えば、技術的にも精神的にもかなり鍛えられた1年ということも言えるかもしれない。声を掛けて連れ出してくれたミュージシャン及び関係者に感謝である。


さて各地に行くと、SNSの威力だろうが有難いことに僕の存在を知っている会場のスタッフやお客さんがいてくれて、よく言われることがある。

「難しそうな癖者ミュージシャンとの仕事が多いですよねぇ〜」と。

これは褒め言葉と受け取っているが、ここ数年懇意にさせてもらっている人をざっと振り返ってみる。


浅田信一、The Collectors&古市コータロー、仲井戸”CABO”麗市、土屋公平、山口洋(HEATWAVE)、矢井田瞳、中川敬(Soul Flower Union)、種ともこ、リクオ、森山公一、坂本サトル、畠山美由紀、加藤いづみ、岸田繁(くるり)、下地イサム、新良幸人、大島花子、高田蓮、堀下さゆり、KUDANZ、蔡忠浩(bonobos)、奇妙礼太郎などなど。(順不同・敬称略)

確かに外からみればそう見えなくもないか()


難しいという意味ではみんな音などに細かくハイレベルなのでそう簡単にいかないのも事実だが、それはプロフェッショナルな意識が高いということなので、むしろ僕の感覚と合うしやり甲斐もあり勉強にもなっている。癖者というのはそれは超個性的だという愛すべき点であり、皆素敵な人間性と音楽愛を持っているので、尊敬できるしむしろ気持ちよく楽しく仕事できる人ばかりなのだ。


それぞれ誰かにつないでもらった縁で感謝しかないのだが、本当に恵まれているとあらためて思う。

だからこそ自分の仕事としてのプライドみたいなものもあるが、それ以上に、素晴らしいミュージシャンの音楽を少しでもイイ音で多くの人に聴いてもらえるよう精一杯サポートしたいと頑張れるのである。


話が脱線してしまったが、2016年はその中でも自分にとって何人かのキーパーソンがいた。まぁそれは厳密に言えば今年に限ったことではなく2011年以降僕の進むべき道を照らしてくれた人たちなのだけれど、今年は特にいい関係性でいい仕事ができたような気がしている。


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信ちゃん(浅田信一氏)とは間違いなく一番仕事をしたな。年4回のツアー(ギターデュオ、弾き語り、バンド)、そして堀下さゆり嬢のレコーディングでは東京でのスタジオワークに留まらず、数日間仙台で作業してもらったりして本当にお世話になったしいい時間を過ごさせてもらった。美味しいものもいっぱい食べたし()


新作を作ったこと、そしてここ数年では考えられない本数のライヴをやってくれたことは、仕事抜きで嬉しかった。震災後にPA現場復帰の機会を与えてくれ僕を勇気付けてくれた恩は一生忘れないし、日本屈指の歌声とメロディーを眠らせておいてはダメだよと説得し一緒に弾き語りツアーに出た4年前がずいぶん昔に感じる。

彼との仕事は今や僕のライフワークのひとつでもある。来年はまた様々な形で協力しあえそうなので楽しみだ。


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ザ・コレクターズとコータロー(古市コータロー氏)にも今年もかなり世話になった。バンドに関していえば30周年の武道館を控え本来はすべて東京チームでツアーを回ったほうがいいのだろうが、東北プラスαを任せてもらったばかりか仙台での大きなイベント(vsスピッツやvsピロウズ)でもメインPAをやらせてもらい感慨深い。


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ひとつだけ悔しいというか悪かったと思うのがARABAKIだ。時間的にぶつからないようにするとのことでPAを引き受けたコレクターズと麗蘭が、二転三転の末結果的に時間がかぶってしまい、主催側と双方事務所の話し合いのうえ麗蘭のステージしか担当できなくなったこと。


でもこの日の楽屋での1コマはなかなか興味深かった。僕は仙台駅からコータローをピックアップして会場入り、麗蘭チームが到着しコータローを連れ楽屋に挨拶をしに行ったときのチャボさんの第一声。

チ「おう、コータロー、元気か?今日はなんか佐藤ちゃんを取っちゃう形になったみたいで悪かったな。恨むなら佐藤を恨んでくれ()。うそうそ、本当にごめんな」

コ「いやいや、ものには優先順位ってものがありますから()。気にしないで下さい。それよりチャボさんのステージを見れないのが残念です」

気遣いと男気とユーモアと不良同士の師弟関係というか()、二人の人間的な魅力が垣間見られた瞬間であった。


コータローのソロライヴは相変わらず全編任せてくれて、彼は決して言葉には出さないけれど「がんばれ!」という僕へのエールとして受け取っている。友人として仲間として応えるしかないではないか。夏の盛岡でのDJイベントも楽しかったな。


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チャボさんとも今年はかなり一緒に仕事をさせてもらった。ソロツアーに麗蘭25周年のメモリアルツアーなど、高校時代から憧れたギターヒーローとこんな風に仕事ができるなんて夢のようでもある。それにしてもあの懐の深さと徹底的に音楽に臨むプロ意識は尊敬でしかない。

音楽に携わって30年、僕もベテランといわれるようになったが、気を引き締め全力で挑んでも足元にも及ばないチャボさんとの仕事は、まだまだ自分を磨かなければと本気で思える人生の指標でもあるのだ。


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以前そのチャボさんに僕を推薦してくれたのが同い年の山ちゃん(山口洋氏)だ。今年も仙台でのソロの他オハラ☆ブレイクやら東京でのイベントMy Life Is My Message(仲井戸麗市、山口洋、矢井田瞳、古市コータロー、Toshi-Low)など思い出深い仕事が多かった。

変則チューニングによる魂のギタープレイと哲学的な歌詞世界は、曲の硬派さと相反するお茶目なキャラと共にもっともっと一般に認知されるべきだと思っている。


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阪神淡路大震災のあと生まれた稀代の名曲「満月の夕」を先の山ちゃんと共作した中川くん(中川敬)、今年は2回ほどしか会えなかったがキャラ同様()強烈な印象が残る。仙台の弾き語りでは、お互い何かこれまでにない音作りの境地に行けた気がした。

昨年からソロ弾き語りにチャレンジし、今年はなんと54本のライヴをこなしたらしい。数日前に彼と会ったという知人から伝え聞いたのだが、その中でも仙台ライヴの音の響きがずっと彼の中に残っていたそうで、そんなライヴを自分の地元で提供するお手伝いができたことはとても嬉しい。


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そして地元仙台で今年も有意義な関係でいられた堀下さゆり、KUDANZ、次松大助。彼らの存在はこうして自分が仙台にいる価値を大いに考えさせてくれる。こういうローカルに止まらない才能は引き続き目一杯応援していきたい。

奇しくも堀下ちゃんもKUDANZ(Prod.次松くん)も今年は最高傑作のアルバムを発表し、その作品作りに関われたことは僕のキャリアの中でも大きな意味を持つ。


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あとは今年の新たな動きとして仙台での音楽講座(shot barCHELSEA)と音響ワークショップ(VORZ BAR)があった。どちらも音楽と仙台を愛する飲み屋さんとのコラボ企画だ。

純粋に面白いことをやって仙台での音楽の裾野を広げ楽しさを発信しようと始めたのだが、予想以上に好評で早くも来年の計画がいろいろと持ち上がっている。


この活動がどれだけ意味を持つのかわからないが、少なくとも冷めた業界人には不可能な熱いメッセージと音楽愛を届けられるのではないだろうか。


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まだまだ書ききれてないことも多いし、各関係者やここ仙台ではもちろん各地で支えてくれる協力者と会場スタッフの存在も僕にとっては宝物である。いつもありがとう。

夏の5周年イベントでは本当に多くのミュージシャンや仲間やお客さんに支えてもらい有り難かった。少しずつだがその恩返しもしていきたいと思っている。

10月頃から体調と耳の調子がいまひとつで精神的にも苦しい状況が続いたのだが、先述の皆さんのお陰で何とか今年ラストまで走る抜けることが出来た。


元々僕のやっている仕事は音楽とそれを奏でる人、聴く人ありきで、自分一人では何の意味も持たない仕事である。だからこそスキルを磨くことを怠ってはいけないし、最大限の努力と愛情と謙虚さを持ってその場に臨むことがマナーだと思うのだ。スタッフとの連携も然り。そこら辺の仕事に関する諸々についてはまた改めて書いてみたい。


なんだか今年の総括が人生のまとめの様になってしまいあれだが()、音響も人生もインプットとアウトプットは対なのだから、飽和しないよう後進に伝えられるよう、こうして2016年を吐き出してみた次第である。


今年1年、本当にお世話になりました。すべての皆さんに最上級の感謝を込めて。

よいお年を!


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by higehiro415 | 2016-12-30 12:12 | 日記