佐藤ヒロユキ。仙台在住のMOD音楽職人(サウンドエンジニア&プロデュース/レーベルなどやってます)アナログレコード好き1963年生まれ。GROOVE COUNCIL代表。http://groovecouncil.jimdo.com/


by higemodern
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

タグ:古市コータロー ( 8 ) タグの人気記事

お陰さまで予約ソールドアウトとなりました!

相変わらず慌ただしい日々を送る古市コータローだが、年内にもう1本ソロをやりたいなという本人の希望により、下記ソロ公演が決定したのでお知らせします。

7月の仙台イベント、8月の盛岡、そして先日の東京キネマ倶楽部へのゲスト出演とこの夏3本のソロライヴを見届けたが、ボーカルが著しくパワーアップしさらなる進化を遂げていた。
比類なきロッキンシンガーソングライターによる、年内ラストとなるブルースを是非!

f0210751_08395437.jpg

古市コータロー acoustic solo live
12月の野良猫のブルース

2016年12月18日(日)
Zher the ZOO YOYOGI
open 17:00 / start 17:30
¥4,500 + 1D(当日¥5,000+1D)
*完売の場合は当日券の販売はありません。

チケット予約
9.10(土)am 10:00〜 下記メールにて受付開始
groovecouncil@gmail.com
KTR12係まで

お名前・ご希望枚数(お一人様2枚まで)・郵便番号・住所・
電話番号を必ず明記の上、メールにてお申し込み下さい。

定員になり次第、受付を終了させていただきます。
お申し込み多数の場合は抽選となります。

チケットご購入の詳細は、受付後3日以内にメールにてお知らせしますので、
groovecouncil@gmail.com からのメールを受信できますようご確認下さい。



[PR]
by higehiro415 | 2016-09-03 09:03 | 告知
f0210751_20405881.jpg
Thank you. Sold Out !

先日の受付開始5分で予想をはるかに上回る申し込み数となった古市コータローBDライヴは、なんと当選倍率2倍という争奪戦となりました。
会場キャパの問題で、全員参加となるとオールスタンディングしかもギュウギュウ詰めとなり、アコースティックライヴを観る環境としては相当に厳しいものになってしまいます。それではせっかく来ていただいても楽しんでいただけないのではないかと判断し、本当に申し訳ないと思いながら抽選にさせていただいたことを、まずお詫びします。
多くの皆様の気をもませてしまい、本当にすみませんでした。

ちょうど予約開始日はコータローソロバンドツアー仙台公演の日。打ち上げの席でコータローと策を練りました。
彼も僕も気持ちは同じ。できることなら一人残らず皆さんに来ていただきたいという思いがあります。
会場の予定も店長マティーくんが心意気で融通を利かせてくれました。
そんな訳で、急遽ではありますが追加公演が決定しましたのでお知らせします。

ただ、まずは抽選で外れた方を優先にご案内しているので、一般発売の枚数は30枚のみです。
こちらも抽選となってしまいますが、何卒ご了承ください。

**********
古市コータロー 52nd Birthday Acoustic Live
シケモクに火をつけた瞬間のバラッド〜追加公演

2016年5月31日(火)
Zher the ZOO YOYOGI
19:00 open / 19:30 start
前売¥4,000+1D
限定30枚(スタンディング)
お申し込み多数の場合は抽選となります。

チケットご予約方法は下記をよくお読みになりメールにてお申し込み下さい。
3/27(日) AM 10:00〜(定員に達し次第、受付は終了させていただきます)
件名:古市BD追加係
枚数:お一人さま1枚のみ
・氏名
・郵便番号
・住所
・電話番号
・メールアドレス(お申し込みと違う場合のみ)

メール受信確認後3日以内にご連絡差し上げます。


[PR]
by higehiro415 | 2016-03-24 21:46 | 告知

おかげさまでSOLD OUTとなりました!
f0210751_06445250.jpg


「もしもし。佐藤クン?あのさ、今年もバースデーライヴやりたいなと思ってるんだけどさ。」

 本人からの不意の電話により、今年も古市コータローのバースデーライヴの開催が緊急決定した。


 ザ・コレクターズの30周年イヤーでもある今年度、ソロ活動の機会は昨年より少なくなると予測されるので、

 ライヴの内容も含めてファンの方々には見逃せない一夜になるだろう。


 数曲でキーボードの山本健太(The King All Starsにも参加)がゲスト出演するという最新情報もあり。

 平日開催ではあるが、誕生日当日っていうのも嬉しいではないか。

 みんなで彼の52歳を祝おう!



古市コータロー 52nd Birthday Acoustic Live

『シケモクに火をつけた瞬間のバラッド』

2016年5月30日(月)

Zher the ZOO YOYOGI

19:00 open / 19:30 start

前売¥4,000+1D(当日¥4,500+1D・売切れの場合当日券の販売はございません)

【企画制作】グルーヴ・カウンシル


■チケット予約方法

下記をよくお読みになりメールにてお申し込み下さい。

3/20() am10:00〜(定員に達し次第 、受付は終了いたします)

groovecouncil@gmail.com (件名:古市BD2016 係)

・枚数(お一人様3枚まで)

・氏名

・郵便番号

・住所

・電話番号

・メールアドレス(お申し込み時と違う場合のみで結構です)

を必ずご記入下さい。


メール受信確認後3日以内に上記アドレスよりご購入詳細を返信いたしますので、迷惑メールフィルターなど設定の方は、groovecouncil@gmail.comからのメールを確実に受信できますようご確認下さい。

受付後振込期間内にチケット代金をお支払い頂けない場合、予約は取消といたしますのでご了承下さい。

※PG等での一般販売はございません。




[PR]
by higehiro415 | 2016-03-13 20:55 | 告知

今回の仙台はスペシャルだからさ、これまでとちょっと違う感じを出したいんだよね。と言っていた本人の希望に添って、珍しくジャズナンバー(Vince AndrewsLove oh love)をオープニングSEにした。軽快なスウィングビートにのって主役が片手を軽く上げながらステージへと登場すると、フロアから大きな拍手が起きる。


「ありがとう。きょう弾き語りは何回めかなんですけど、ちょっと今なかなか味わったことのない光景で()。高いのかな、ステージが。みんな立ちたい?大丈夫?(客席から大丈夫!の声)オーライ!OK」僕はタイミングを見計らって1曲目「のらりくらり」のリズムトラックをCut Inさせる。

Whisky Man Againと題した古市コータロー弾き語りライヴin仙台は、こんなオープニングで始まった。

f0210751_09444723.jpg

3曲が終わるとこう切り出す。

「今日は、去年の12月にツアーをやりまして、それのなんていうの?あれ、なんつうんだこういうの。何?(客席からリベンジ!)そう、リベンジだよ()。仙台リベンジということで来ました。なんか台風の情報とかあって、えーまたぁ!?みたいな、やばいかなと思ったんだけど、今日は無事に来れてまずはよかったと思います。去年来てくださった方もいると思うんですけど、札幌の次が仙台ということで、札幌はギンギンに晴れてたんですけど飛行機がないということで全然こっち来れなくて、やっとの思いで来たんだけど、でもそんときも我々の乗った飛行機しか飛ばなかったというね、ほんと危ない。あとでもうゾッとしたけどね。そん時はゾッとする暇もなかったんだけど。まぁそれでライヴは出来て、そういう状況のライヴだからなんていうのかな、皆さん気持ちがひとつになり(静寂の客席)なってないのかよ!()もうほんとに心に残るライヴになったんですけどね。でもやっぱりこうノンストレスで来てさ、やぁどうもどうもって感じでやりたいなって思ったのが、今日のライヴなんですね。こういうトリッキーなタイミングで仙台来ましたが、まぁひとつヨロシクということで、今日は最後までお付き合いください。」

f0210751_09452087.jpg

多くの方から中止や延期ではないのになんて律儀なという言葉もいただいたが、帰りの都合で途中退席した方もいたし、何より皆さんを長時間待たせたということ、そしてきちんとリハ(気持ちも含めた)など準備が出来ないままライヴを見せてしまったという不本意さが僕らに残っていたのである。

アクシデントによる電話中継や公開サウンドチェックというレアな状況、ライヴ自体や音も通常とさほど変わらないクオリティーではあったのだろうが、そこはやはりリベンジしたいとあの時から考えていたのだ。この企画を持ちかけたとき二つ返事で「うん、やろうよ!」と快諾してくれたコータローだが、レコーディングなど厳しいスケジュールの合間を縫って仙台に来てくれて、その優しさと男気がこの日の会場には充満していたように思う。

f0210751_09461414.jpg

セットリストは上記写真(私用PAセトリ資料)の通りだが、昨年のツアーと今年5月のBDライヴのものを混ぜ合わせ、さらに新しいものを盛り込むという美味しいとこ取りのメニューだ。1曲目にリズム同期を持ってくるのも実験とはいえ斬新だったのではないか。

オリジナル曲の弾き語りクオリティーは5月よりさらに饒舌なニュアンスが増し、表現の幅が広がっている。ギターに関しての腕前は説明不要だろうが、単なるギタープレイではない部分の弾き語り特有のダイナミクスというか、自分の歌に対してのアコギの位置関係がより明確になっていたと思う。これは弾き語りというスタイルを完全に手の内に入れ進化させたものだろう。歌は完全にボーカリストとしての声と化している。回数が少ない上に半年ほどでここまでなるだろうかと、コータローの鍛錬とミュージシャンとしての勘の良さ(感覚の鋭さ)に恐れ入る。

f0210751_09453485.jpg

MCでは、早朝ラジオ体操に通い昼はアイスを食べるという、子供のような夏を満喫している様子を話してくれる。また、シャンプーを付けずに髪を洗っていたり、紅生姜が食べたくて牛丼屋に行ったのに紅生姜を乗せるのを忘れたりと、最近のボケっぷりっも告白。暑いからかなと言っていたが、歳のせいもあると思うよ、コータロー。だって俺も最近そんなのが多いもの()

暑い繋がりで急に思い出したのは中華屋の外国人。片言の日本語で「アヅイから〜」とラーメンを運んでくるとう思い出話も聞かせてくれた。

恒例のカヴァーコーナーではボツになった曲と共に若大将の「海・その愛」をワンコーラス。珍しく本牧ブルースの歌詞をど忘れしやり直す場面もあったが、あれはあれでお茶目な感じが出ていて悪くなかった。


まぁそんなリラックスムードで、2時間のライヴはあっという間に終了してしまった。

本人も言っていたが、本当にこのライヴをやってよかったと僕もそう感じている。音のほうでリベンジできたこともそうだが、地元である仙台・東北に何か新風や面白いことを提示することで、まわりの人が楽しんでくれてそれが故郷と音楽への恩返しになるとといいなぁと、ここ4年やってきているのだ。


仙台ではなかなか集客が厳しく、もちろんそれは自分の力不足なのだが、集客がないと経費の問題で希望の会場が借りられなかったり東京や大阪から演者を呼べなかったりという制約が付きまとい、最近は仙台でのイベントをうまく仕掛けられないでいた自分なのでなおさらである。

きっと地方に住む音楽好きの共通な感情として、東京はいいなぁ〜という思いがあるのではないだろうか。音楽カルチャーならほぼ何でも揃っていることは、とても羨ましいことだ。それでもコンプレックスをバネに地元(地方)を盛り上げようと頑張っている人が沢山いるし、僕もその中の一人として何か貢献出来ないだろうかという思いは強い。

話が脱線してしまったが、だからこそ「マジな話なんだけどDNAなのかなんなのか、東北にくるとホッとします。」というコータローのMCには、僕も含め勇気付けられた東北人がたくさんいたのではないかと察するのだ。

f0210751_09455057.jpg

そして開演直前にステージに上がりギターのチューニングをしてくれたのは、Going

Under Groundの松本素生くん。だいぶ前からコータローさんの弾き語り見たいから本人には内緒で仙台に行こうかなぁ〜と言ってくれていたのだが、前日イベント出演した会津から高速バスで本当に来てくれた。昼過ぎに仙台に着くというので迎えに行き一番町のカフェモーツアルトで珈琲を飲みながら談笑したのだが、これもまた素敵な時間だった。彼の熱い音楽愛や温かい人間性に触れることができた。


素生くんが頃突如会場に現れたときのコータローは本当に驚いた様子だったが、とても嬉しそうでもあった。セッションでもという会話になるが、急にやるには音合わせの時間がないということで、スーパーローディーとしてチューニングに出ることになった。せっかく来たのだから声も聞きたいと思う反面、なんとも贅沢でマニアックなサプライズだなとも思いニヤリとしてしまう。

f0210751_09451080.jpg
f0210751_09443951.jpg

この日はお手伝いに友人らも数人来てくれた。関西からデザイナーのC子、フリーパーソナリティーの富岡浩美ちゃん、チェリストのMMさん、盛岡のMOD345号くん、いつもありがとう。現場の雰囲気を体験させたいと教え子のK平も連れて行ったのだが、リハ中にそれを知ったコータローが「ステージに上がっておれのギター弾いてみろよ!」というナイスな一場面もあった。緊張しながらアコギを引くK平は「プロのギターと音響ってこんなにいい音するんですね」と感激している。いい経験になっただろう。それと好意的に会場を提供してくれいろいろ協力してくれたClub Junk Box店長の板橋くん、そしてスタッフのみんなもいつもありがとう。

f0210751_09443158.jpg

打ち上げは行きつけの店で。別会場でライヴだったクハラカズユキ、うつみようこも乱入し店の半分を占拠し盛り上がる。途中どうしても食べたいという素生くんのために僕とコータローと3人で中抜けしていつものラーメン屋へ。どう?美味いだろ!と自分の店のように言うコータロー。素生くんんも、これは間違いないっすね、とスープまで飲み干す。このラーメン屋の親方は職人気質で愛想が良いほうではないのだが、よく連れていくコータロー(コレクターズ)を応援してくれている。先日コータローから、オヤジにプレゼントしてくれと頼まれTシャツとソロCDを渡したのだが、この前はなんか豪華な頂き物しちゃってスンマセン!と満面の笑み、そんな親方もレアだった。

打ち上げの店に戻り店内に流れるアラバキ2015の映像を見ながら、ワイワイと焼酎やワインのボトルを次々と空にしたのだった。


f0210751_09455841.jpg


昨年の初弾き語りツアー2本目でのアクシデント、「あれで本当に強くなったし、おれの人生に用意されていたことなんだね。」と語ったコータローだが、マイナスをお釣りが来る程プラスに転換していくエネルギーとパッションは、やはり凄いと思うし見習わなければと心に念じる。


そういえばあの日はチョーキーも見に来てくれてライヴ後この店で飲んだなぁ。楽しかったが、精神的肉体的疲労と安堵感で僕らは放心状態だったことを思い出す。豪快に飲みまくる今宵は、そういった意味でもまさしくリベンジ遂行となったのであった。

来てくださった皆さんも素敵な余韻を楽しんでくれていればいいなぁ〜と思いながら、夜風に吹かれて帰路につく。

f0210751_09445740.jpg


*****

次回はこちらでお会いしましょう!

THE COLLECTORS tour 2015 “Super Duper”

10/31 青森:Quarter

11/1 仙台:ClubJunk Box




[PR]
by higehiro415 | 2015-08-19 09:49 | ライヴ

ライヴが終盤に差し掛かったころ、北上時代に啓治くん(声優の藤原啓治)と一緒にRCサクセションのライヴレーザーディスク観たさにスナックへ通いラーメンを食べたという(磯ラーメン事件)エピソードに続き「今日は誕生日ということでチャボさん来てくれてます。紹介します。仲井戸麗市、チャボ!OK、チャボ〜!」と清志郎さん風にコールする。


f0210751_08472681.jpg

f0210751_02413694.jpg

白ワインのボトルを片手に持った仲井戸”CHABO”麗市がステージに登場すると、まさか!?というニュアンスも含めたほんの一瞬の静寂を挟み、まさに耳が割れんばかりの黄色い歓声と拍手が会場内に大きく響き渡った。

古市コータロー51歳記念のMY RULEと題されたバースデーライヴ、このあり得ない共演が東京公演の最大の見せ場となったのは言うまでもなく、コータロー本人が一番興奮してはしゃいでいたのも間違いない。


握手しハグしたあとチャボさんはセットされたマイクに向かい「みんなで歌うぜぇ〜。ハッピィバースデイトゥーユー・・・」とオーディエンスを誘導し歌い始める。ラストは「ハッピィバースデー、ディア、コータロー。ラーメン食いすぎんなよ!ハッピィバースデイトゥーユー♫」

そして白ワインのボトルをコータローに両手で手渡したのだった。

f0210751_02423358.jpg

f0210751_08480974.jpg

チャボさんが登場するところまではお客さんへのサプライズとして仕組んでいたが、この心憎いバースデーソングの演出は僕にとっても完全に不意をつかれた本当のサプライズだった。

そういえばリハの時に事務所の社長Eさんに「ねぇ佐藤クン。コータローくんはお酒何が好きなの?」とリサーチされたのを思い出した。やられたなぁ。


ありそうでなかった2人の共演はコータローの「それだけ」に続きRC時代にチャボさんが歌った「チャンスは今夜」をセッション。

リハの時にチャボさんが「どこをどっちが歌う?」と訊くと、コータローは「この曲はコピーしまくったし全部覚えてるので、その場のノリで振ってもらえればどこでも大丈夫です!」と言っていたにも関わらず、歌詞をど忘れしチャボさんに小突かれながらやり直しとなる。興奮がMaxに達し頭が真っ白になったのだろう。


今や日本のロックシーンのよき兄貴として君臨する古市コータローが、17歳のギター少年に戻った瞬間でもあった。

f0210751_08501170.jpg
f0210751_09023286.jpg

f0210751_09031504.jpg


もちろんこの瞬間をこうして迎えられたのは、5/27の神戸公演がとても素敵な雰囲気で終えられたというのも大きかったと思う。

チケットを買っていただいた方には簡単にお知らせしたが、VARIT店長の南出クンの熱い気持ちと、当日のMCで本人が言っていたが、どこか神戸に呼ばれているフィーリングもあり、今回は大阪ではなく神戸でのライヴを選択した経緯があった。


人生もそうだが奇跡的なライヴというのも、細かい点と点がつながって1本の太い線になっていった時に生まれるのだろう。

そこには本人のブレない美学と努力、それに心から共感する協力者、そして熱い声援を送るファンの皆さんの気持ち、それらが邪心なく噛み合ったときにのみ起こる魔法のような現象なのだ。


そしてその事を誰よりも大切にしているであろうコータローが、こういった奇跡を手繰り寄せたのはしごく当然のことに思えたりする。


※今回、Zher the ZOO YOYOGIでの素敵な写真は、しばえり(柴田恵理)が撮影したものを使用させてもらいました。Thank You !



5/26()

僕は新幹線で東京駅に向かっていた。前日の寝不足がたたりウトウトし始めたころメールがくる。「15時にはレコスタ出れそう。何時に東京に着く?」都内でThe King AllStarsのレコーディングをしていたコータローからだった。

こんなこともあろうかと少し早めに移動していてよかった。「15時過ぎには着いてるよ。」

「じゃ予定より早めの新幹線に乗ろう。銀の鈴ってまだあるのかなぁ?」「あるはず。じゃそこで。」

僕らは東京駅で合流し予定より1時間早い新幹線で神戸へと向かった。

f0210751_09104282.jpg

ホテルにチェックインしてすぐ外出。コータローがウエノコウジから仕入れたというガード下の居酒屋を探す。5分ほどで暖簾に大正7年創業と書いてあり、門構えも含めて妙に味があるその店を発見し入ってみる。

お通しの昭和なマカロニサラダで「これは間違いないね!」とか言いながら乾杯し、明日のBDライヴの構成や昨年末の弾き語りツアーからもう半年かなどと語り合った。


f0210751_09111332.jpg

2軒目はここにくる時に偶然見つけた怪しげな看板のレコードバーへ。カウンターしかなくお世辞にも綺麗ではないが、決して高級ではないだろうオールドスピーカーから流れる角の取れた音が妙に馴染む。

翌日の本番を控えているので軽く一杯だけと思っていたが、あまりに心地よくて何杯か飲んでしまった。コータローは「マスター、あれ聴きたいなぁ。」とジャクソン・ブラウン、トム・ウェイツなどをリクエストし「針のノイズも味があるね。」「このギターソロ最高だな。」などと酔いも程よくなり、この日はノーラーメンでホテルへ戻る。

幸先のいいスタートの予感。

f0210751_09115063.jpg


5/27()

昼はレコード屋をパトロールなどして老舗の欧風料理店でランチ。コータローは名物とんかつ、僕は好物のオムライスを頼む。なかなか上品な味で満足。

ホテルへ戻ると作詞家せき氏が激励のため福岡から来てくれていた。ロビーで雑談し会場入りの準備。

f0210751_09121344.jpg

16時に会場に入ってサウンドチェックからのリハーサル。前回と大きく違うのは立ちでやるというところ。慣れるのに一人リハを重ねてきただけあって、大きな問題はなさそうだ。想定通り客席の後ろからも姿がよく見える。

f0210751_09124845.jpg

何度か一服タイムを挟みながらのんびりと進む。打ち込みオケのカットイン、フェードアウト・カットアウトのタイミングや、何曲かギターにかけるエフェクトの感じ、照明スタッフに簡単な指示を出しながら全体の構成を軽くおさらいしていく。最後にオープニングSEとエンディングSEの部分も試しながら決めてリハ終了。

予定より早かったので「飲んじゃう?」と楽屋へ戻りシャンパンで軽く乾杯する。

f0210751_09130287.jpg

神戸公演は平日ということもあり動員を心配していたが、満員御礼でフロアが埋まった。

オープニングSE(ゴールデンカップスのLSDブルース)を半分聴かせたあと、コータローがステージへ登場し曲に合わせてギターを弾くというオープニング演出。そこから「いつかきっと」「モノクロームガール」へとなだれ込む。

最初のMCタイム第一声は「また歳とっちゃうよ〜」であった。()

f0210751_09135454.jpg

今回のセットリストだが、3分の2は前回の弾き語りと同じ曲ながら、カヴァーを総入れ替えし、曲順もだいぶいじってあったので、ずいぶんと印象が違う場面が多い。

何より立ちで演奏する姿は彼のロックっぽさを際立たせるのに十分な効果があった。

1ヶ月前は、なんかフォークっぽすぎない?と不安がっていたが、一人リハにこもってきただけあって、動きがあってむしろいいのではないかと感じる。

MCでも言っていたが、次回はぜひイルカばりのオーバーオール姿を見たいものだ()

(昔のロックミュージシャンのようにオーバーオールという衣装も考えたが、イルカみたいになると微妙なので辞めたそうだ。)

f0210751_09143217.jpg

カヴァーコーナーではボツ曲(ピロウズのONE LIFE)をAメロだけ3回やるという予定外の行動で、この日の気分がだいぶ良かったことを物語る。

そしてVARITという空間や神戸という土地もよかったのか、オーディエンスも本人もとてもリラックスしている感じが、さらにハッピーな雰囲気を醸し出していた。

いい意味での絶妙なゆるさを保ちながら、本編19曲を演奏。何も考えていなかったというMCも冴えていたように思う。

f0210751_09151976.jpg

アンコールではサプライズのBDケーキをVARIT店長に運んでもらい、全員でコータローのバースデーを祝った。ケーキを提供してくれたナニワカ婦人会()の皆さん、ありがとう。

Tシャツを着替えて出てきたら逆で着替え直すというお茶目さの後、アンコールの2曲が終わりエンディングSE(エルビンビショップのFooled Around and Fell In Love)を流すも席を立つ人がなくダブルアンコールで大団円。

本当に笑顔になれる元気になれるBDライヴであった。

f0210751_09161446.jpg

打ち上げはそのままVARITで。ライヴ同様ご機嫌に呑む。

僕は店長といろいろ話す機会ができてよかった。共通の知人が何人かいたこともあるが、ブッキングの時にいろいろとメールをやり取りさせてもらって、神戸ならではシーンを作りたい!と頑張っている姿に共感していたので、地方のライヴハウスの役目などについて熱く語り合えた。

それが伝わっているのか若いスタッフ達もとても一生懸命で、使っていて気持ちのいいライヴハウスだ。


昨日あきらめたラーメンを食べに10分ほど歩き、神戸で何故か和歌山ラーメンをきめてホテルへ戻った。旨かった!

f0210751_09164863.jpg




5/28()

ホテルをチェックアウトし新神戸駅で早めのランチ。構内のレストランに入ると店員の女性が「昨日はご出演ありがとうございました!」と笑顔で声をかけてきた。僕らがキョトンとしていると「昨日VARITでバイトしてました。」というではないか。よく見ると確かに受付にいた子だった。なんかちょっと嬉しい再会。

カツカレーをきめて新幹線で東京へ戻る。

f0210751_09173376.jpg


5/29()

オフ。僕は東京で打ち合わせもあったので、仙台へ戻らずそのまま池袋に宿泊。

朝、信ちゃん(浅田信一)から連絡がきて、時間があるならランチがてらスタジオに来て下さいというので顔を出すと、レコーディング中のニューアルバムの曲でタンバリンを演奏することに。とても難しくて何度かやり直させてもらったが、彼の優しさで「ポール・ウェラーっぽいノリになりました!」と言ってくれたので落ち込まずに済んだ()

このアルバムにはコータローも参加する予定なので、乞うご期待。


原宿で誕プレなど買ってから池袋へ移動し、コータローと信ちゃんと打ち合わせを兼ねた飲み会が16時過ぎからスタート。それぞれの今後のいろいろな話が飛び交い、なんて夢のある未来への作戦会議かと思う。

もちろん楽しくて予定以上に呑んでしまったのは言うまでもない。

f0210751_09180695.jpg



5/30()

午前中から照りつける太陽光線が肌に突き刺さる陽気である。またまた早く起きてしまったのでブクロをパトロールしながら、喫茶店でアイスコーヒーなど飲んで気持ちを落ち着かせる。

きっとコータローもそうであろう。ライヴへのワクワク感が半端ない。

f0210751_09183197.jpg

同時に僕にとっても節目の日だなと感じていた。北上ライヴから始まって初の弾き語りツアー、アラバキ、そして今夜のスペシャルゲスト。これが終わればコレクターズ30周年へ向けて東京チームにバトンを渡すことになるだろう。みっちりと関われるのは今日までというのは、やはり寂しい気持ちになる。

仙台に住んでいるからこそやれること、やれないことがある。とにかく今は自分がやれることを全力でやり遂げるのみだ。


はやる気持ちもあり会場となるZher the ZOO YOYOGIへは予定より早く到着した。すぐにコータローもだいぶ早く会場入りしてきたので笑ってしまう。

チャボさんが来るまでにリハを終わらせればよかったが、神戸がいい出来だったのですんなりと終わってしまった。

外もそうだが中もけっこう暑くて「今ならすぐ醒めるよね?」と二人で冷えたビールを飲み干した。コータローはどことなくソワソワしている。待ち遠しいのだろう。

f0210751_09212326.jpg

そうこうしているうちに予定より少し早くチャボさんチームが到着。本当に来てくれた()

正式にゲスト出演をお願いしたのは3月だったろうか。

事務所の社長Eさんに電話すると「昨日ちょうど移動の車の中で、ギターマガジンを読んでいたチャボさんが、コータローくんが載ってるよ。頑張ってるなぁ。という話になったばかり。」という。このインタビューでコータローは、チャボさんに憧れて弾き語りもやり始めたみたいなことを語っていた。


さらには日程的に5/29でも5/31でもチャボさんのスケジュールはNGであった。5/30だけ空いていたのだ。BDライヴの日程は昨年末にすでに決めていたので、これもまた偶然というよりは必然だったのではないかという気がしてくる。ましてや空いていてもそうそう来てもらえるものではない。

本人同士の打ち合わせはアラバキの楽屋でやった。



仲井戸”CHABO”麗市と古市コータロー。ギタープレイという意味では違った魅力を持つ2人であるが、その佇まいというか立ち位置とうかフィーリングにコータローが憧れる理由があるのではないだろうか。

とにかくこの共演は誰もが想像していないだろうが、やれば絶対にハマる!と思っていた。何しろコータローがロックを魂に宿した少年の頃からのヒーローなのだから。

もちろん僕にとっても同じである。デビュー45周年(今年)と30周年(来年)の共演というのもすごい。

f0210751_09252614.jpg
f0210751_09243336.jpg
f0210751_09250290.jpg

2人のリハも順調。コータローは嬉しさを隠しきれないでいる。こんな姿を見たのは初めてだ。音合わせのあとコータローがリクエストした「ハイウェイのお月様」を少しだけ2人で演奏したのだが、あのゾクゾク感はなかった。

楽屋では2人で充実した会話を楽しんだようである。(コータローのBlog参照:http://www.pci-jpn.com/kotarofuruichi/

コータローにとって至福のBDプレゼントはこの時間だったのかもしれない。

f0210751_09263608.jpg
f0210751_09262602.jpg

楽屋へ行くとチャボさんが言う。「佐藤ちゃん。ちらっと聞いたけど女性客が圧倒的に多いんだって?おれ出て行っても大丈夫なのか?コータローだけでいいとかアイツ誰?とか言われんじゃないの?()」「まさか!たぶんすごい歓声が起きますよ!」コータローも声をかぶせる。「大丈夫ですよ。おれのファンならチャボさんのことちゃんとわかってますよ!」

少し早めに来てくれた信ちゃんをチャボさんに紹介する。「30年前から聴いてます!」こちらも緊張気味であった。



開場時間になりBGMを流し始める。今回はコータローが「Mr. Telephone Man」を入れてお洒落な感じがいいというので、それをモチーフに選んでいった。

1.You’re So Good To Me/Curtis Mayfield 2.That’s The Way Of The World/Earth Wind & Fire 3.I’ve Never Know Love LikeThis Before/Camelle Hinds 4.That Old Song/Ray Parker Jr. 5.Love Song/RobertLamm 6.Each Time You Play/Ned Doheney 7.Mr. Telephone Man/New Edition 8.PrettyThing/Justin Grennan といった具合だ。



満杯のフロアにオンタイムでオープニングSE、2分ほどして赤黒チェックのポンチョを着たコータローがステージに登場すると大きな拍手と共に「誕生日おめでと〜」の声が飛ぶ。

セットリストは神戸と同じ。違ったのはボツカヴァーのONE LIFEを1回しか歌わなかったこととチャボさんとの部分だけであったが、神戸のリラックスムードとは変わり、高揚した気分が伝わるハイテンションのステージとなった。

f0210751_09283492.jpg
f0210751_09325725.jpg
f0210751_09295390.jpg
f0210751_09305372.jpg


もちろんこの日もダブルアンコール。ステージ上の本人は気づいていなかったようだが、途中でなかなか大きな地震があり、これ以上揺れたら音を下げて中断しなくちゃと一瞬思うが、すぐに収まったので良かった。事故でもあったらここにいる全員の今夜が台無しになる。



それにしてもチャボさんのエンターテイナーぶりは本当に爽快だった。あのパフォーマンスと存在感を目の前にしたら、間違いなくハートを射抜かれてしまう。2人のギターバトルの音を出しながら、どこか意識が遠くに行く感覚になった。

f0210751_09363854.jpg

盟友ともいえるコータローと憧れのギターヒーローであるチャボさん、2人が並んでギターをかき鳴らす風景に心を揺さぶられる。

ようやくこんな機会が巡ってきてよかったなぁという感動と、真っ向勝負で生きていくことはラッキーを手にする最大の手段なのだと教えられたような気がして、目頭が熱くなった。本当に夢のような時間だった。



コータローの神戸・代々木での堂々たるステージングは、もうすでにロックギタリストによる弾き語りという部類ではなく、純然たるシンガーソングライター&ギタリストという佇まいが確立されていて、ツアーから半年、また彼は進化していたのである。さすがだ。

f0210751_09451515.jpg


友人や関係者20人ほどでの打ち上げは、コータローの「ほんとに今夜は幸せです。ありがとう!」という乾杯の音頭ではじまった。誰もがご機嫌な表情で、ビールやワインの瓶が次々と空いてゆく。

途中、ファン有志の方々からいただいたBDケーキを、ミラーボール&BDソングのSEに合わせて浅田信ちゃんがテーブルまで運ぶ。このサプライズに驚いたような照れくさそうな顔でろうそくを吹き消すコータローだった。大成功!盛り上がった。

(本来このBDケーキはライヴのアンコール前にステージに出そうとスタンバイしていたのだが、チャボさんのサプライズバースデーソングがあったため、本番で出すと逆に打ち消しあっちゃうなと判断したのだった。有志の皆さん、ごめんなさい!)

f0210751_09383875.jpg
f0210751_09382939.jpg
f0210751_09384799.jpg

深い時間になり一人また一人と人数が減り、そろそろお開きにしようかとなったのだが、今夜の余韻にまだ浸っていたいのか、なかなか帰ろうとしない。僕も時間が許されるならそうしたかったが、そうもいかない。大量のプレゼントをブクロ方面の人で手分けして持ちタクシーへ乗り込んだ。

こうして古市コータロー51回目のバースデーは終わったのである。




駅でタクシーを降り少し歩いてホテルへと戻る。繁華街を抜けると人通りはまばらだ。

コンビニで酔い醒ましのミネラルウォーターを買い外へ出る。若いカップルが今にもキスしそうなほど顔を近づけ「ねぇ、マジで?夢じゃないよね?」と女のほうが声を発した。


僕は「きっと夢のような本当の話だよ。」と心の中でつぶやき、また歩き出す。



P.S.

物販などお手伝いしてくれたCこ、Rちゃん、Yちゃん、撮影のしばえり、

信ちゃん、せきさん、南出くん他VARITスタッフの皆さん、マティ他ZtZスタッフの方々、

チャボさんと事務所のEさん、Fさん、スーパーローディーまさみさん、ワンダーガール松本社長、

各関係者と友人の皆さん、集まってくれた多くのオーディエンスの皆さん、

参加できなかったけど応援してくれた皆さんにも、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

そして何と言っても、古市コータローに最大級の感謝と賛辞を。


また会える日まで。



古市コータロー 51st Birthday AcousticLive – MY RULE – Set List

01. いつかきっと

02. モノクロームガール

03. SlideAway

04. Don’tCry

05. 青い風のバラード

06. Oh!My Dear

07. あてのない影

08. 涙はいつも遠くに光る

09. ごめんよリサ

10. 本牧ブルース(カヴァー)

11. 時は流れて(カヴァー)

12. 時の過ぎゆくままに(カヴァー)

13. EverydayEverynight

14. のらりくらり

15. それだけ(東京公演 w/仲井戸麗市)

(チャンスは今夜*東京公演のみ w/仲井戸麗市)

16. BabyMoon

17. MountainTop

18. Heartbreaker

19. 奇跡は2人の夜に

【アンコール】

おさらば(カヴァー)

君がいたら

Nothing or Something(ダブルアンコール)




[PR]
by higehiro415 | 2015-06-03 10:15 | レポ

f0210751_22345872.jpg


昨年12月、人生初の弾き語りソロツアーを大成功させたあの男が、

多くのアンコールの声に応え、再びアコースティックギターで歌う!


東京公演はソールドアウトとなりましたが、

神戸公演のみ若干チケットあります!


古市コータロー

51バースデー弾き語りライヴ

my rule


2015527() チケット残りわずか!!

神戸:kobe liveact bar VARIT

19:00/19:30

定員120

1階イス80/2階立見40

全席自由¥5,0001D

groovecouncil@gmail.com

古市51神戸係まで

枚数・氏名・郵便番号・住所・電話番号・メールアドレス

を必ず記入の上お申し込み下さい。


2015530()  SOLD OUT !

東京:Zher the ZOO YOYOGI

18:00/18:30

定員130

(イス50/立見80

全席自由¥5,0001D

企画制作:GROOVE COUNCIL


f0210751_22391152.png



[PR]
by higehiro415 | 2015-03-28 22:42 | 音楽
「ほんとにオレたちでアニキはよかったのかなぁ?」
1月17日、本番前日のスタジオリハーサル後の前打上げ中、主役がトイレに消えるとドラムのクハラカズユキが僕に訊いてきた。
「ほんとだよ。特にAORっぽいのとかね。」ベースの鈴木淳も続く。
「オレなんてレコーディングもやってへんのに…笑」キーボードの奥野真哉も口を開いた。

3人とも不安というよりはどちらかといえば嬉しそうな表情だったが、日本のロックシーンを代表する猛者たちからそんな言葉が飛び出すとは思ってもみなかった。
彼らにそんな台詞を吐かせてしまう古市コータローという男の存在の大きさを、あらためて噛み締めた瞬間である。

実は口には出さなかったけれど僕も同じ思いだった。仲良くさせてもらっているとはいえ、地方のしがないサウンドエンジニアに約20年ぶりのソロバンドライヴ、しかもこの豪華メンバーで1回きりという重要なライヴの音を任せるなんて、とても光栄だし自信もあったが、やはりかなりの冒険ではないか。

僕は3人に言った。もちろん心の中では自分にも。
「ロックっぽくやりたいんじゃないのかな。楽しく気分よく。そのためのメンバーだと思うよ!」

2015年1月18日に渋谷CLUB QUATTROで行われた古市コータロー solo band live “Heartbreaker”、それは目映い閃光のように一瞬で僕らの目の前を駆け抜けた。
ロックが持つ初期衝動のインパクトと熟成されたしなやかさ。魂が通じ合ったバンドにしか出せないであろう説得力抜群のグルーヴ。それらが渾然一体となって会場内に降り注ぐ。
そして何より、艶のある男の色っぽさが詰まったアンティーク家具のような深い味わいがたまらなくカッコよかった。
ボーカリストとしても十二分に存在感のあるステージであった。
f0210751_19303224.jpg


前日の朝、僕はリハのため新幹線で東京へ向かった。11時からだというので早いなぁ〜とは思ったが、終わってそのまま飲むにはちょうどいいタイムスケジュールだなと理解する。
20分ほど遅れてリハスタに到着すると、ちょうど4人がロビーにいてガッチリ握手。
f0210751_19313698.jpg
スタジオ内のホワイトボードにはセットリストが書かれてあり、今日は流れでリハをやっていくという。何回リハをやれたか訊くと、みんな忙しくて昨日と今日の2回という答えが返ってきて驚く。
f0210751_19335693.jpg
細かい部分のリズムやコード、曲のつなぎやテンポなどを確認修正しながら、曲順通りにリハは進む。サマーブリーズとSlide Awayは手こずっている様子だが、さすが気心の知れたメンバーだけに、お互い意見を出し合ったりしながら猛スピードで曲が仕上がっていく。
f0210751_1932026.jpg
僕はメンバー1人1人の出す生音を耳で細かくチェックし、事前に立てていたPAプランのマイク選定や回線の確認と変更、そして自分のセットリストシートに曲ごとの音処理などのイメージをメモっていった。ライヴは生き物なので、当然本番の演奏やオーディエンスの感じで作る音も瞬間的に調整していくのではあるが、その分綿密に段取りだけはしておいたほうがより幅を持たせられるからだ。
f0210751_19323413.jpg
f0210751_19325258.jpg
「これで大丈夫だよね?あとは明日本番前にやろう」というコータローの声に「わーっ。プレッシャーだなぁ。こんなに曲を演らずに本番を迎えるのは初めてだよ〜」とメンバーの声も聞こえるが、「だいじょぶ、だいじょぶ!」と結局は機材を片付け、ブクロの街へと繰り出した。
時刻はまだ15時すぎであった。
f0210751_19331676.jpg
いつものやきとん屋もまだ開いておらず、仕方なくチェーン店の居酒屋へ。
飲み物だけのつもりが1人だけフードを頼む。チャーハンとぶり刺身。この組み合わせはすぐさま奥野定食と名付けられた。
翌日の段取りなど話し合いながらサクッと飲み、16時には開店間際のやきとん屋へ移動。

頼んだ酎ハイがテーブルに運ばれると、ジョッキグラスについている星マーク☆の色がコータローのだけ違う。やっぱり常連は違うねぇと言うと「フェイスだからね」とニヤリ。(これはMods用語で文字通り顔役という意味)
酔いも少しずつ回りはじめ、音楽談義やらくだけた話やらで素敵な時間が過ぎてゆく。

クハラくんが「おれ以外はみんな仕事してるんですよね?」と言うので、ミッシェル時代に仙台で一緒に飲んだことあるよと伝える。アベとはアマチュアバンドの頃からの付き合いで、ベロベロに酔ったアベからよく呼び出された話をすると、とても驚いていた。
なおかつ彼の事務所の社長であるN氏とも昔から仕事していたことにも、縁ですねぇ〜と言ってN社長に、明日のPAは社長が昔から知ってる人〜みたいなメールをニヤニヤしながら打っている。
奥野くんとはニューエスト時代から何度も仕事をしていたし、淳くんは昨年コレクターズのサポートという以前に同じ仙台出身ということもある。

先述したメンバー選定の件だが、偶然かもしれないけれどコータローを軸としたパズルのピースがぴたりとはまる感覚があった。和気あいあいとしたみんなの表情を見ながら、メンタルという意味でも明日のライヴはいいものになると確信する。
信頼とリスペクトが感じられるこの関係性は、バンドチームというよりは仲間とかファミリーといったほうがしっくりくるメンツだ。全員がいい仕事をする匂いが充満していた。

それぞれがここまで来るのに紆余曲折あったはずだ。それでも出会うべく人とはこうやって一緒にいい時間を過ごせるときがやってくる。それもすべては必死に続けてきたことと、人との付き合いを大切にしてきたからだろう。歳をとるのも悪くない。

「ところでコータロー、明日なんだけど全体としてはどんな音がいい?」
「佐藤クン、そりゃウェラーでしょ。」
僕らが大好きなポール・ウェラーの音か。これ以上明確な答えはない。
「コーラスマイクは全員でいいよね?」
「奥ちゃんは要らないんじゃないの?コーラスないし。」
「え〜!?おれだけマイクなし?ま、喋る余裕ないと思うからええけど。」
「しょうがない。じゃ一応置いておこうか、佐藤クン(笑)」

「けっこう飲んだね。明日もあるしそろそろ出る?」
「いま何時?」
「え〜っと…まだ7時過ぎじゃん!」
「普通ならこれからリハだよね。もう1回スタジオに入る?」
笑いながらシメとなったが、飲みはじめてからすでに4時間が過ぎていることは誰も気に掛ける様子はない。
会計を済ませ外へ出る。当たり前のように、次の店を探しブクロをうろつく僕らであった。
f0210751_19354243.jpg


当日の朝、目が覚めてホテルのカーテンを開けるとすっきりと晴れていた。幸先がいい。
バンドの機材もあるしリハも長めにやりたいので、僕は10時半に会場入り。この日は贅沢にも3人のローディーがいるので、搬入〜セッティングがスムーズである。

事前にコータローから聞いていた立ち位置に、それぞれの楽器をバランスを見ながら配置していく。主役はセンターではなく上手(客席から見てステージ右手)だ。これはボーカル+バックという形ではなく、ひとつのバンドとして見せたいという意思の表れだろう。

スピーカーから音を出し、約束通りのP.ウェラー・サウンドを目指してグラフィックイコライザーでチューニングする。そして会場内を歩き回りながら、どの位置でどんな特性の音になるのかをくまなくチェック。ステージ上ではローディーの3人が着々と準備を進めている。

コータローは入り時間よりも早く会場にやってきた。すぐにステージに上がり立ち位置の確認。フロアから見て一番カッコよく見える位置へと、微調整していく。この日は舞台監督がいないので、彼がその役目をする。
10cmくらいずつ移動しながら「佐藤クン、ここだとどう?」と入念に位置を決めていく。照明さんにもキメの箇所はこうしたいと指示を出す。
あとはサウンドチェックまで待機してもらう。楽屋に戻ったメンバーは、チョイスにこだわった(コータロー談)という卵焼き弁当を仲良く食べていた。
f0210751_19364580.jpg
その間にステージ上で僕はマイクを立ていく。ドラムのタムには迫力重視のため低音に特性のあるマイクを使い、多用するライドシンバルにも別個にマイクを準備。ベースは太い音を逃さない工夫をし、ハモンドオルガンは持ち込みのレスリースピーカーの広がり感を出せるように注意。ギターはステージ上で本人が聞こえているアンプの鳴りを再現するよう3本のマイクを使用。ボーカルマイクはバンドに埋もれないよう例の木目のやつだ。
f0210751_19375427.jpg
マイクのチョイスと同時に大切なのはマイクアレンジ。マイクをどの距離でどんな角度で当てるかで大きく音質は異なる。この会場のミキシングコンソールは僕が好きなMAIDAS社のアナログ卓だが、まずは音の入口であるマイクをきちんとセットすることが重要なのである。
f0210751_1938124.jpg
奥野くんのMCマイクは、コーラスはないし普通にセットすると邪魔だよねと、ローディーの1人であるQ太郎と相談し、喋るときは手に取ってもらったら面白いかもと脇のほうに置いた。
サウンドチェックは敏腕ローディーが3人もいるので、メンバーが音出しする前の回線チェックでおおまかには済ませておいた。弁当を食べ終えたメンバーがステージにやってきて腕慣らしを始め、そのままリハに突入する。

1曲ごと感触を確かめながら、そして不安箇所を修正しながらリハは進む。この場で変えたコードや曲のエンディングもあったようだ。
みっちり2時間、本番を1本やったような充実感と疲労感だ。一流ミュージシャンの最低条件はタフなこととよく言うが、確かにそうだし僕ら裏方スタッフにもそれは当てはまると思う。
f0210751_19383755.jpg
音は8割ほど完璧に2割は想定で作っておく。お客さんが入れば変わってしまうので、あとは本番の状況に応じて微調整していくのだ。それにしてもここは相変わらず難しい。変形のためか柱があるためか、位置によってだいぶ音が違うので、どこにいても気持ちよく聴こえるポイントを探るのに苦労する。
PA席の後ろに記録用のICレコーダーをセットしていた池24のディレクター土田氏が声をかけてくる。「やっぱりここは大変そうですねぇ〜」「ほんとにね。でも本番はバッチリきめますよ!」

そんなことをしているうちに開場時間になった。iPadに入れてきたBGMを流す。
3日前にコータローと話し「しゃれおつで大人な感じ!」という指示のもと、80曲の候補から18曲に絞った。昨日のリハでコータローにチェックしてもらったとき、聴いていたメンバー全員が「かっこいい曲ばっかりだ。この音源欲しい!」と言ってくれたが、いい感じで客席のウォーミングアップになってくれたなら嬉しい。
f0210751_1939058.jpg
フロアはどんどん人の熱気で温度が上がっていく。楽屋にはいろいろなミュージシャン仲間が顔を出しにきていて賑やかだ。
予定通りKendra MorrisのカヴァーWalk on the Wild Sideが流れたあたりで開演時間になる。ステージ袖から準備OKの合図がきて、BGMをボリュームアップしていく。

客席の照明が落ちメンバーが登場。オープニングナンバーはジェフ・ベック75年の名盤Blow By Blowに収録されているFreeway Jam。フュージョンロックのこのインスト曲から始まって意表をつかれた人も多いと思うが、とてもコータローらしい選曲だ。
f0210751_19391931.jpg
そしてニューアルバムの1曲目に収録された「それだけ」へと続いてゆく。
音は、演奏の力強さや客席の響きもやはりリハとは変わったので、少しずつ調整していった。
中盤、弾き語りでやれなかったNastyの台詞部分では、照明もバッチリ決まり黄色い歓声がわく。それにしても流れるようなセットリストは見事だ。
f0210751_1940138.jpg
あまりMCは入れない予定と言っていたが、やはり気分が高揚していたのか口数は多くなる。「まぁ〜楽しみにしてたよ。待ち遠しくて待ち遠しくてさ…」というMCに、この日の気分が集約されていた。とにかくいろいろ伝えたかったようだ。
メンバーとの絡みも面白く、「なんでオレだけハンドマイクやねん?」と奥野くんが言ったときには、作戦成功とニンマリしてしまった。彼の飄々としたボケぶりは場をリラックスさせる。

曲が進むにつれ会場はさらに熱気を帯び、演奏もヒートアップしていった。各メンバーのプレイ、そしてコータローのギターと歌も伸びやかに響く。
それにしてもこれが1回きりのライヴというは本当にもったいないと思う反面、1回きりだからこその美しさもあるなぁ〜と感じる。このベテラン達が精魂込めて奏でるサウンドには哀愁と華やかさがあり、ぱっと咲いて散っていく桜の花のようでもあった。
f0210751_19403749.jpg
「今日はほんと感謝してます。せっかく練習したので、機会があったらまたやりたいなと思ってます。じゃ最後に…」
Slide Away どこまで流れてゆくの、Slide Away あなたとすれ違ったまま・・・
f0210751_19405152.jpg
アンコールはゴールデンカップスのカヴァー、愛する君に。ギターをかき鳴らすMountain Top。メンバーがはけセンターで弾き語った、君がいたら。
アコギを置きお辞儀をしたところでエンディングSEを流す。カーティス・メイフィールドのShe Don’t Let Nobodyだ。候補はクラッシュやビリー・プレストンなど幾つかあったが、リハの時に流してみて一番しっくりくるこれにしようと決めた。

アンコール含む全23曲、ぴったり2時間。とても短く感じられまだまだ聴いていたい気分になるが、これで祭りは終わりだ。伝説の北上公演、弾き語りソロ、そして今日と続いた古市コータロー50歳記念の一連のライヴは、最高の形で締めくくられた。
f0210751_19411290.jpg
一旦楽屋へ行くと、信ちゃん(浅田信一)が僕に向かって親指を立て「音バッチリでしたよ!」と声をかけてくれホッとした。ライヴの余韻と任務を果たした充実感で、疲れてはいたが身体が妙に軽かった。


片付けを済ませ打上げ会場へ。30人以上はいるだろうか。大宴会となった。
主役は律儀に各テーブルを回りながら飲んでいる。全員が笑顔だった。いい光景だ。
僕の隣に来たコータローが言う。「佐藤クン、終わっちゃったねぇ。北上も弾き語りも、すべてここにつながったよ。いろいろありがとう!」
「何言ってんの!お礼を言うのはこっちだよ。でもホントやってよかったよね!」

1次会の締めの挨拶。
「今日のライヴが皆さんのお陰でうまくいったのもそうなんですが、いまこうやって一緒にいられることが嬉しいなぁ。本当にありがとうございました!」
彼の本心だろうが、ここにいるみんなも同じように思っていたに違いない。
f0210751_19413521.jpg
ここは解散となったので、僕は慌てて「メンバーで写真撮ろうよ!」と言った。
「おぅ、いいね!」
「あれ?奥野クンは?」
「トイレ。いいんじゃない?今日ライヴでいっぱい喋ったから奥ちゃん抜きで。笑」パチリ。
f0210751_194264.jpg
そして奥野クンがトイレから戻ってきたので、もう1枚パシャリ。
f0210751_1942194.jpg
最高最強のメンバーではないか!
そして親分である古市コータローの素晴らしきダンディズムに乾杯。
またきっと、いつの日か。
keep on rockin'

https://www.youtube.com/watch?v=qKbf1cgNVso



[PR]
by higehiro415 | 2015-01-26 19:45 | 音楽

Whisky Man Blues ツアーレポ

f0210751_226466.jpg
12月8日仙台公演の翌日、朝起きて自宅のベランダに出た。すっきりと晴れた空が広がっていた。タバコに火をつけると昨日の出来事が無意識に浮かんできて、何故か涙があふれて止まらなくなる。なんの涙なのか自分でも戸惑い必死に理由を探してみたものの、よくわからなかった。
開演が大幅に遅れはしたがライヴを開催できたことへの安堵感なのか、なんとしても仙台まで辿り着いてやるという執念が実った達成感なのか、もし飛行機が飛ばなかったらという心労からの開放感なのか、誰一人帰らず待っていてくれたお客様への感謝なのか。おそらくすべてのことが一気に押し寄せてきたのだが、それだけ気を張っていたのだと気付く。
とにかく僕らが会場に到着したときの温かい歓声と拍手と空気感は、一生忘れられないだろう。


わずか1週間5公演の古市コータロー初の弾き語りツアーだったが、とてつもなくドラマチックで最高に楽しい旅になった。
奇しくもWHISKY MAN BLUESと名付けた全国ツアーの日々を、僕の目線で申し訳ないが振り返ってみたい。
f0210751_2271450.jpg

12/5(金)
コータローは羽田から、僕は仙台から、千歳空港で合流し札幌市内のホテルへと向かう。
f0210751_227488.jpg
何年かに一度の大寒波が来ているらしいと聞くが、そんな気配はまったく感じられない晴天で、僕らは「天気も味方してくれるなんて、きっといいツアーになるね」などと話しながらの車中。
もちろんツアー初日である翌日の段取りも打合せするが、一番真剣だったのは今夜の店とシメのラーメンをどこにするか?という話題だった。
f0210751_233338.jpg
ホテルにチェックインしてすぐに、最近お気に入りのススキノの居酒屋へと向かい、ツアーの成功を祈りつつ乾杯する。前日に「ノージンギスカンで」とメールをもらっていたので、カニやアスパラに加え僕は前からここで食べてみたかったジャーマンポテトを頼む。「ジャーマンポテト!?いまどき注文しないよねぇ」と笑っていたコータローだが、いざテーブルに運ばれてくると「佐藤クン、イイ色してるねぇ〜。こりゃ間違いない!」と箸をのばし舌鼓を打つ。「じゃがいもが違うよ。美味い!」
そういえば仙台で僕が一番好きなラーメン屋へ初めて連れて行ったときも、運ばれてきたラーメンを見て「この盛り付けと色は間違いない!いい仕事してるねぇ〜」と言っていたことを思い出した。
このセンスこそ、彼の美的感覚と嗅覚を端的に表しているのではないだろうか。それが音楽やファッションにも通じているのだから、ブレない個性はより鮮明になるのである。
「ツアー、どんな感じになるかねぇ。緊張とかしてないの?」「それがさぁ、全然してないのよ、怖いくらい(笑)。まぁ明日やってみないと何ともね」などと、風邪も治りかけだし明日からはボーカリストということで軽く切り上げようと話していたにも関わらず、白ワインのボトルをご機嫌に数本空けてしまった。
f0210751_2352952.jpg
帰りはもちろんラーメン屋へ。ふと壁を見ると、明日明後日は工事のため休みます、と貼り紙がしてあった。僕らは「あぶなかったぜ〜。今日来ておいてよかった!」と歓喜の声を上げながらラーメンをすする。
f0210751_2362123.jpg
外に出るとさらに気温は下がっている。K「やっぱり北海道は空気の冷たさが違うな。東北の冬を知っているおれでも寒い」とホテルへと帰還。


12/6(土)
朝8時半にホテルのロビーで待ち合わせ。最近の僕らはここで食べる朝食、いや厳密にいえばサラダドレッシングなのだが、そのためにこのホテルを押さえている。午後の入り時間までどうしようかと行動を相談しながら、やっぱり美味いよねと2人ともサラダを3皿ずつ平らげた。

11時、ランチはラーメンと決めていたので、その前にレコード屋さんに向かう。今回はスーツケースに荷物が入らないからレコードは買わないと言っていたコータローだったが、結局は送ればいいかと2枚購入。店内で「おっ!これあったよ」とか「これ持ってる?」とか、まるで学生のように夢中になっている様は自分でも可笑しくなるのだが、至福の時間であるのは確かだ。
買ったレコードを抱えラーメン屋へ。昼時でちょっと混んでいたが、大人しく列に並び無事にラーメンをきめて一旦ホテルへ戻る。
f0210751_2365240.jpg
初日ということで少し早めに会場の円山夜想へ向かった。本間店長がいつもの笑顔で迎えてくれ和む。入口のところに12~3枚の来訪ミュージシャンの生写真が飾ってあるのだが、ちゃんとコータローの写真を一番手前に置いていてくれた。こういうちょっとした気遣いも嬉しいではないか。
一服してまずはセッティング。その間コータローにはグッズコンプリートの方への特典ポストカードにサインを入れてもらう。

今回ステージ上に譜面台は置きたくないと言う。普段は足下に置くモニタースピーカーも出来る限り両脇に避けて、姿すべてが客席から丸見えになるようにしたらどうかと提案されていたので、それがどんな風に客席から見えるのかレイアウトしてみる。
モニターはアコギ1本だし僕がちゃんと音を返してあげれば問題ないと思っていたが、譜面台は歌詞の問題もあるし、本当にいいの?と何度か確認した。
しかしあっさり、15回も1人でリハやってきたし、ウェラー(僕らが大好きなPaul Wellerのこと)もそんなステージでカッコよかったんだよね、と言う。
f0210751_2391073.jpg
このこだわりと潔さ、そしてその理想を実現させるための影の努力こそコータロー真骨頂だ。この美意識の高さが、そう簡単には真似の出来ないワン&オンリーとしての存在に彼を高めていく。
アコギ1本とはいえロック魂に裏打ちされたエピソードだと思うし、音楽はその佇まいやルックスも大事だという意味で、僕もとても共感できるのである。
客席からステージを見たらかなりカッコいいではないか。これでいこうと即決した。

ギターには最近ゲットしたというプリアンプDIを通しサウンドをチェックをする。ボディの鳴りがいい具合に再現されるので、その音を最大限に引き出せるようスピーカーをチューニングした。
ボーカルマイクはAKG/D7とAUDIX/OM5の2種類を持ち込んだ。どちらも試した結果、声に合うということもあるが、よりアコギの音にマッチしていたOM5に決定。
初日ということもあり感触を確かめるようにリハは進む。

お互いの感覚がフィットしたところで、同期もののリハ。今回は2曲ほどリズムに合わせて演りたいというので、テンポやパターンなどをメールや電話でやり取りしながら打ち込みを作らせてもらった。どのタイミングでフェードインしてアウトするかも含めて、コータローのイメージに合わせて操作を確認していく。手作業なので緊張するが、その時の状況に応じて微妙に変化を付けられるので僕も演奏気分になれて面白い。
それから1ヶ月以上前に送られてきたオープニングとエンディングのSEも確認。これも彼の中ではどのタイミングでどうするかというのが決まっていたようだ。実際に試してみて僕が客席からそれをチェックする。音以外の部分もそうやって作り上げていく。もちろん照明の感じもである。
セットリストも含めて、アコギ1本でダラダラやるのではなく、ひとつのショーとして完結させたいのだと理解し、レベルの違いはさておき、自分も音以外も気になる性分なので少しは力になれるだろうと俄然燃えてくる。

「佐藤クン、いま何時?」
「5時過ぎたとこだよ」
「そろそろリハ終わって、乾杯しようか」
僕らは冷やしておいたシャンパンを早々と開けた。初日だし今日はあまり飲まずにやったほうがいいかな、と昼間は言っていたはずだが。
「信ちゃんにも少し飲んだくらいのほうがコータローさんは声出ますよ!と言われたしさぁ」と、ニューアルバムをナイスプロデュースした浅田信一の言葉を引き合いに出すが、ちょっと自分を落ち着かせたかったのかもしれない。

開場し本番を待つ。心なしかお客さんは、どんなライヴになるのか?という期待と緊張が入り交じった表情に見えるが、なんせ人生初の単独弾き語りであるのだから、それは本人にも予想がつかないところだ。物販コーナーも賑わっている。
開演時間が迫ってきたので、僕はステージのテーブルにジャックダニエルのロックを置きチューニングしてから楽屋へ。
「ほぼお客さん入り終わってるけど、時間どうする?」
「それならオンタイム主義でいこうよ」
「了解!」
開演予定時間をほんのちょっと過ぎたころ、僕はオープニングSEのボタンを押した。
ゴールデンカップス「午前3時のハプニング」をバックに、コータローは髪の毛に手をやりながらちょっとだけはにかんだ面持ちで、割れんばかりの拍手のなか客席を通りステージに上がった。

「どうも。あれ、硬いんじゃないの?(笑)リラックスして、ま私もなんですけど。今日はようこそ。なんせやったことないことをやりますんで、時間の経ち方から何からみえないんですけど。まぁ今日は僕と一緒に作る感じでやっていきましょう。今年は札幌3回目かな。3回目だったら、言ってもいいかなぁ・・・ただいま!」(キャー!ひゅーっ!by客席)
19年前の2ndアルバムMountain Topから「あてのない影」のイントロを弾きはじめる。
古市コータローが新たな一歩を踏み出した、記念すべき瞬間だった。
f0210751_2401041.jpg
やはり勝手がつかめないせいかMCは多めで途中何度か客席に話しかける場面もあり、それが逆に会場内の空気を和ませてゆく。
新旧の曲とカヴァーやインストなど織り交ぜて、とてもバラエティーに富むセットリストだ。
「僕のはじめてやることにお付き合いいただきまして、ありがとうございます。皆さん記念すべきオーディエンスということになります。ホントありがとう!」
20曲2時間ぴったりで本編終了。アンコールで再登場の時には、写真を撮ってもいいよ、の一言で会場内は一瞬にして記者会見さながらのシャッター音が鳴り響く。初日ならではのサービスで、ステージ上でいろいろポーズをきめる姿に俳優の片鱗をみる。
アンコールも渋くビシッと決め、上々のツアースタートを切ったのであった。
f0210751_2403796.jpg
打上げはそのままマルノクで。
ライヴの感想を尋ねると、はじめはさすがに指がいつもと違う感覚だったようだが、このツアーへの手応えをつかんだようでとても楽しかったと答えが返ってきてホッとする。まぁステージでの笑顔とアドリブMCを聞けば、心から楽しんでいるのは明白だったのだが。
程よく飲んでから会場を後にし、この旅早くも3食めのラーメンを決める。食べながら「佐藤クン、明日の昼ラーメンどこにする?」と真面目に訊いてくるコータローであった。

札幌・円山夜想の本間店長、今月で辞めてしまうという熊さん、いつも札幌に行くと協力を惜しまずいろいろ助けてくれるKzy、Ri-komo、Ysk、Yu、そしてSgo女史。今回もまたお世話になり本当にありがとうございました!




12/7(日)
朝起きてカーテンを開けると、昨夜までとは違って真っ白な風景に変わっていた。モーニングの約束は8時半。僕は少し早くロビーに下りて外の雪の積もり具合を確認する。札幌にしてはそれほどでもない。
f0210751_2412728.jpg
時間ぴったりに下りてきたコータローと食堂で話す。例のドレッシングをたっぷりかけたサラダを口に放り込みながら、ライヴの改良点や方向性の確認など。Kのサラダ皿を見るとドレッシングがスープのように溜っていて笑ってしまう。かけ過ぎではなかろうか。
どうやら千歳空港発の朝の便が欠航したとの情報が入ったので、スマホでフライト情報をチェックすると確かに欠航や遅れが多いが、僕らが乗る仙台行き便は定刻となっていて安心する。

ホテルをチェックアウトして空港へと向かう道は思ったより雪が積もっていて、ヒョウのような氷の塊が風にあおられ車の窓ガラスを勢いよく叩いていた。予定の便は相変わらず定刻となっていたが、少しは遅れるかもな、でも出だし好調のこのツアーが阻まれることはないだろうと信じ、とにかく早く空港に着いてラーメンを食べようと急ぐ。

ANAの荷物カウンターは長蛇の列だったが、掲示板には搭乗手続き受付中の文字があるのでそのまま並んだ。昨日の札幌公演に東京から来てくれて、今日の仙台にも来る顔見知りのファンの人とばったり遇うと、予定の便が欠航になったらしく次の便に振り替えになったという。列はいっこうに前に進まず、掲示板は搭乗手続き一時中断中と表示が変わっていた。
ちょっとマズいなと思いはじめ係員に状況を確認する。今のところ何とも言えないというが妙に歯切れが悪い。こりゃ危険かもと他航空会社のカウンターへと走る。JAL、Air Doともに発着未定、Skymarkの13:50発が搭乗手続き受付中だというので、それに乗り換えようと決断する。
このまま待って飛ばないよりも、仙台到着が予定より50分遅くなるがリハを短く切り上げれば大丈夫と2人で話し、新しい航空券を買い直し無事に荷物を預けた。
逆にゆっくりラーメン食えるね!などと余裕をかましラーメンをすすったあと、まだ時間はあったがロビーには欠航や遅れで行き場のない人たちが溢れてきたので、僕らは早めに搭乗口に入り待つことにした。

外はもう雪が降っているどころか晴れ間さえのぞいてきた。しかし広い滑走路には機体が全然無くて、必死の様子で除雪車だけが走り回っている。どうやら千歳空港に着陸出来なくて引き返したり、出発地で欠航が決まったりしているようだった。要するに飛べる機体が現場に無いというお手上げの状態だ。
僕らは通路のコンセントの前に座り込み、スマホを充電しながら逆算と対策を練りはじめる。時刻は予定を過ぎて14時になっていた。それでも15時に飛べれば17時には会場に着く(開場17時半・開演18時)からサウンドチェックが30分出来る。問題ないと踏んでいた。
昔のロックバンドは平気で入り時間遅れたり、開演時間に会場入りしたりする連中もいたよねぇ、などと冗談交じりで話していたが、だんだんと僕らは口数が少なくなっていく。

カウンターへ問い合わせる。僕らの乗る飛行機はいまどうなっているか訊くと、まだ茨城空港にいるという。刻々と状況が変わるのでまた他の飛行機に乗り換えたほうがよいかと、預けた荷物をすぐ出せる場所に移動して欲しいと頼み、他会社カウンターへ行き情報収集するが、なんと遅れどころか次々と欠航になっていた。15時になる頃には元々乗る予定だったANA便の欠航が決まった。早めに決断して助かったが、あのまま並んで待っていたらと思うと背筋がゾーッとする。
仙台ではなく羽田や福島などに飛びそこから電車で仙台へ移動するという方法も考えたが、どうシュミレーションしても到着が21時にしかならず、さすがにこれは無理だということで、とにかくこのまま待つのが一番と判断する。
f0210751_2424836.jpg
多少遅れてもなんとか飛んでくれと祈る気持ちと、何としてでも会場に辿り着いてやるという執念が心を支配する。
会場到着リミットを19時半とすると仙台空港着は18時半、そうなると千歳空港17時発じゃないと間に合わないので茨城空港を15時半までに飛び立ってくれれば可能性はある。何度も状況を確認していると、15時20分ついに茨城空港で足止めになっていた飛行機に乗客が乗り込んだとわかった。
すぐにSNSで開場は予定通り17時半、物販販売のみ行いライヴは到着次第すぐ19時半頃予定で開催します!と告知する。

不幸中の幸いだったのはこの日の公演が僕のホーム仙台だったということ。すぐにライヴハウスの店長トムに連絡して事情を説明し、PAスタッフには出来る限りこんな感じで準備しておいてくれと細かく指示を出し頼む。
物販には今回のツアーグッズデザインを担当してくれたCKが関西から応援に駆け付けてくれていて、グッズの内容等はバッチリわかっている。もう1人のヘルプは友人でフリーアナウンサーの富岡浩美ちゃん、彼女に頼んであったのもラッキーであった。
チョーキーを連れてライヴを観にきてくれることになっていた岩手の345号くんにも、遅れるからとメールを入れる。
(345号くんのブログ http://collector345.blog63.fc2.com/ )
信頼出来る人たちが向こうで段取りしてくれる安心感で、僕らはすぐに到着してからのイメトレへと移行した。
電車の時間など途中で帰る人もいるだろうから、セットリストは無視して新譜のやつとかみんなが聴きたそうな曲は先にやるよと言ってくれた。帰らなければならない人にはそれでも申し訳ないので、ツアーのために作った演奏用のピックをプレゼントしようと決めた。

掲示板には仙台行き17時10分発という文字が現れる。他の会社が欠航続きのなかSkymarkの意地に感激し、コータローの持つ運の強さに感謝する。
あとは無事に飛んでくれることだけを願い、いまやるべきことを考えるのみ。
仙台に到着したらすぐに会場に電話を入れるつもりだが、その音声を客席に流せないだろうかと思い付く。トムにお願いしたら、なんとかやってみます!と言ってくれた。
そして予定よりさらに遅れたが、17時40分ころ僕らを乗せた機体はようやく空へと羽ばたいたのである。あとで聞いたら他の便はすべて欠航になったらしい。危機一髪だった。

「佐藤クン、飛ぶまでにちょっとロスったから向こうで荷物がすぐ出てこなかったら痛いね。それにしても30年やってきて初めてだよ、こんなの」
「おれもだよ。PAだけならまだしも主催ともなると重みが違う」
「着いたらもうさ、そのままステージに上がって音出るの確認して始めちゃおう」
「そうだね。あとは本番で何とかすればいいか。モニター大丈夫?」
「何とかなるよ、昨日の感じにしてもらえれば。今日が初日じゃなくてよかったよ〜」

仙台空港には18時50分頃に着陸した。急いで荷物受け取りのベルトコンベアへ走ると同じ便に乗ってきた先述のファンの人が僕らの荷物とギターを持って立っていた。「荷物最初に流れてきたので取っておきました!」ナイスアシストだ。別便乗り換えの可能性もあり荷物を出しやすくしてもらっていたため、早く出てきた様子だった。ラッキー!
荷物をリレーのバトンのように受け取り、そのまま外へ。Tに待機してもらっていた車に乗り込み会場へ向かう。コータローがその日のMCで言っていたが本当に空港には1分しかいなかった。

車の中から会場に電話を入れる。浩美ちゃんの「中継がつながりました〜」という声とみんなのざわめきがうっすら聞こえてきた。偶然だがレポーターのプロがいて助かった。
「いま仙台空港に着きました。もうちょっと待ってて下さい!いまコータローに代わります」
「もしもし〜。みんな聞こえる〜!?おとこ古市、マッハでそっち向かいます!」

すぐにトムからメールがきた。「電話中継ウケてたので余裕あれば再度お願いします(笑)」
あとどんなに急いでも30分以上はかかるので、入場者のドリンクおかわりはこちらで持つことにした。会場側も快く協力してくれたお陰だ。
高速を降りたとき再度電話中継を入れる。「いま長町インターなので順調ならあと15〜20分で到着するはず。コータローはいま車の中でリハやってま〜す!」電話口から大勢の笑い声が聞こえた。
見慣れた街並が目の前に迫ってくるが、ここがゴールではない。着いてただライヴをやるだけじゃ納得できないのは僕もコータローも同じだろう。ツアー2本目ならば、どんな状況であれ完成度という点においては1本目を超えなくては意味がない。なんだが試されているような気がしてくる。もうすぐ着くという安堵と同時に腕が鳴った。

パークスクエアの前で車を降り、スーツケースとギターを持ってエントランスへの階段を走り下りた。ホールのドアを開けるとフロア満員のお客さんの、どよめきにも似た歓声と拍手が鳴り響く。不思議な感覚だった。
スーツケースを引っ張ったままステージに上がり、コータローはダウンもマフラーもそのままでギターケースからアコギを取り出す。僕はスーツケースを開けてマイクを取り出しマイクスタンドに装着する。このとき気を付けたのは洗濯物が飛び出してこないかだけだった(笑)。必死だ。
f0210751_2462751.jpg
プリアンプDIにシールドをぶち込み僕はPA席へと移動。声とギターがスピーカーから出ることだけを確認しステージへ戻り、こっちOKだよと伝える。
主役が着替えに一瞬楽屋へ行っている間に、僕はマイクを使いいくつかのインフォメーションとお詫びを。すぐにPA席に戻り同期やSEの入ったiPadをつなぎ込む。着替えを確認しオープニングSEのボタンを押すまで10分位だったろうか。本来の開演時間から約1時間45分押しのライヴスタートとなった。

2曲目までは必死に音の状態を普通にもっていくようPA卓をいじり倒す。そこからようやく微調整に入り、3曲目でほぼ通常レベルまで持っていけた。ステージ上のコータローは何事もなかったかのように見事なパフォーマンスを繰り広げている。これぞプロフェッショナル。努力と経験によって蓄積された底力、それを出し切るハートの強さも必要だろう。さすがだ。
途中、セットリストがコータローの手元にないことに気付き、どうせだからとウイスキーと共にステージに差し出すことにした。ちょうどPA席の前にチョーキーがいたので、このグラス持ってきて!と頼み僕はセットリストを、チョーキーは「えっ?おれが?」と言いながらもロックグラスを手渡す。「チョーキー!」と一言だけ発しそのウイスキーをグビッと飲む。これ美味いな。いい酒だなぁ。
チェックしていなかった同期のipadは本番で合わせた。Everyday EverynightからMonochrome Girlへはリズムフェードアウトに続きフェードインするのだが、手に汗をかいていて画面のフェーダーがうまく動かず焦った。
f0210751_10050242.jpg
この日の名言はMCで発した「ごめんね&ありがとう」である。
待たせてごめんね、そして待っててくれてありがとう!というまさに偽らざる心の叫びだろうが、語呂や言い回しが可笑しくてツボに入ってしまった。
何人かのお客さんが帰らねばならない時間には「そろそろ時間?ちょっとこれだけ聴いてって」とアルバムタイトル曲Heartbreakerをプレイ。
終演時間のこともあり少し短めにしなきゃねなどと言っていたが、結局は予定の曲すべてを演りきった。
ライヴが終わり楽屋へ。
「おつかれ〜!乗りきったね。」
「そうだねぇ〜、ホッとしたよ。でも佐藤クン、さすがに疲れたね(笑)」
f0210751_2494794.jpg
打上げにはチョーキーも参加してくれた。5月のコレクターズ北上ライヴの時はステージでのサプライズ数分間と、チョーキー達が飲んでいた店に顔を出しに行った10分間しか会えなかったが、今回は事前に一緒に飲もうよと誘っておいたのだ。北上のときの感じから、おれはいいよと遠慮がちに断られるかもと思っていたが、来てくれた。コータローも僕に「チョーキーと一緒に飲めるの?」と嬉しそうだった。
もちろん酒が進むにつれ話ははずみ、北上の高校時代のことやアマチュアバンドのことなど、まるで同窓会みたいだなと思う。いや、こうやって飲みながら2人が差しで話すのは20年以上ぶりなのだからある意味そうなのだが、少年のように笑う顔に刻まれた皺や表情を見てやはりそれとは違うとすぐに思い直す。ある種の運命や宿命を背負って生きてきた2人の男が交錯する今だからこその深みある美しさというか、とにかくそんな2人を見ながらの酒は格別であった。おかげで、疲れていたのにまた飲み過ぎてしまったではないか。
f0210751_04123576.jpg
みんなで一緒にホテルまで歩く。仙台の夜は冬の匂いが確実にしていたが、札幌の寒さと遅延事件の冷や汗に比べれば、気持ちの問題も含めて爽やかでさえあった。数時間前までの出来事がまるで夢のように感じられる。
歩きながらコータローがポツリと言う。
「佐藤クン、それにしてもさぁ、今日はしびれたねぇ〜。おれたちベテランでよかったよね」
まったくである。あの状況の中お互い120%を出し切り、なかなかいい仕事が出来たのではないか。仕事の質と、最悪の場合を想定しつつ前向きな思考を崩さなかった精神力。そしてそれを大袈裟に見せずクールにこなしたいという美意識。何も言わなくともそこら辺の共通認識が出来ていたことも大きかった。

ただ、疲労の中ものすごい瞬発力を使ったためアドレナリンが出まくり、やはり冷静には振り返れないので、その判断はあの場にいた皆さんに委ねようと思う。
初の弾き語りツアーに初のアクシデント、本人は2倍疲れたであろう。労いの気持ちを込めて声をかける。
「じゃ、明日11時半ね。移動日だから飛行機遅れても大丈夫だね」空を見上げると、丸い月が優しく笑っていた。
みんなと別れ1人家路につきながら口に出す。「ごめんね&ありがとう!」コータローやスタッフも含めあの場にいた全員に感謝する。
f0210751_252389.jpg


12/8(月)
朝の涙は冒頭の通り。背伸びをしたら身体中が痛かったが、気分はすっきりだ。
11時にホテルのロビーへ。チョーキーに北上のDVDを渡す約束をしていたのである。
「例の場面はハイライトでがっちり映ってるよ!あ、おれの部分はとばして観てね(笑)」と手渡すと、ふ〜んと言いながら「ありがとう。大切に観させてもらいます」とホント大切そうにカバンにしまい込む。
11時半にはコータローが下りてきて、チョーキーや345号くんに見送られ、僕らは仙台空港に向かった。余談だが後日345号くんからもらったメールで、その日の帰りチョーキーがまた音楽やりたいなぁ〜と話していたと知り、とても嬉しくなった。

昨日とはまるで違う平和感ただよう仙台空港でまずはランチ。僕はこの秋に食べ損ねていた、はらこ飯(宮城県亘理の名産でシャケといくらのご飯)を注文。コータローは仙台味噌ラーメン。
「またラーメンかぁ。攻めるねぇ」「だって今日から大阪だからラーメンとはしばしお別れだしさ。ところで今夜のメシ、どうする?」
f0210751_2534053.jpg
飛行機は定刻通り出発し伊丹空港に到着。ノンストレスっていいねぇ〜!などと言いながらタクシーでホテルへ行きチェックインし、ソロアルバムのインストアイベント会場であるタワレコ梅田茶屋町店へ。
控室ではこの日MCをするJanus店長の岸本優二氏と打合せ。
f0210751_254467.jpg
「ほんまに僕とのトークでええんですかねぇ。なに訊けばいいすか?」
「そんなのアドリブでいいよ。アルバムの話はいろんなところに載ってるからしなくていいよ。同じこと喋ってもしょうがないし」
「マジすかぁ〜?」
「マジマジ。おれたちいつもそうだもん」
イベントはアルバムの話をすることなく、2人の雑談で終了。そのあと長い行列のサイン会をこなすスターであった。
f0210751_2575275.jpg
f0210751_256391.jpg
シンガーの咲ちゃんはじめ関西の仲間と合流し乾杯。昨日も結局飲んじゃったねぇ〜などと、今夜もワインのボトルが次々と空いてゆく。仕事を終えた森山公一も合流。アルバムへの素晴らしい提供曲を褒め倒しつつ(笑)会話ははずむ。
「ところでコータローさん、初めての弾き語りどうですか?」
「札幌は初日で、昨日の仙台はハプニングでしょ。だからまだわかんないけど、楽しいし何かつかみかけてはいるんだけどね」
「ニューギターの調子もバッチリですか?」
「うん、いい感じだよ。仲間にプレゼントしてもらったやつだから、なんかみんなで旅してるみたいな感覚もあるしさ」
「1人リハもけっこうやってはりましたよねぇ」
「そうだよ。歌詞覚えるのもあったけど、アコギを持つ姿がしっくりくるまでやりたかったんだよね」
「おれも見習わなあかんなぁ〜」

程よく飲んで店を出たのだが、ホテル近くのAORバーに寄っていこうとなり、やっぱりアナログ盤はいいなぁ〜とまた乾杯し夜は更けたのであった。
f0210751_2582538.jpg

12/9(火)
f0210751_2585829.jpg
気持ちいい天気だ。午前中のうちに僕らは中古レコード屋へ向かった。大阪に来ると毎回寄ってしまう良心的な店だ。無言でガサゴソとレコードを漁る。時折いつものように向こう側から声が聞こえる。「佐藤クン、これこの前千円で買ったやつ。150円だってさ」
何枚か収穫したあとはランチだ。これまたいつものインディアンカレー。昼時で混んでいて店の前のショーケースを見ながら待つ。「やっぱスパかな。あれ、大盛りってどのくらいだっけ?普通じゃ足らないしなぁ」旅の楽しみを満喫するコータローであった。

今日の大阪公演の会場は心斎橋JANUS。アコースティックには少し広いんじゃない?とブッキングの際にコータローは心配していたが、イスを置いて飲みながらゆったり見るにはベストだし、コレクターズでやり慣れてるからとここに決めた。
予定より30分早く会場に入らせてもらう。仙台のとき後半でギターの音が少し歪んでいた問題を解決したいのと、札幌・仙台とやってきてさらにいい音を追求したいのとで、プリアンプDIの設定をチェックしたり修正したりしたかった為だ。それに照明が効果的なハコなので、そのリハや明かり作りにも時間を割きたいとコータローは考えていた。
会場に着くと開口一番こう言った。「1人だと広いなぁ〜。ここで1人でやるの?」札幌も仙台もコンパクトで客席と近いステージだったので、余計に広く見えるのは確かだ。彼にはまた新たな試練が与えられたのである。
f0210751_342464.jpg
音のほうは3公演めにしてようやく時間と手間をかけてリハーサルすることが出来た。ギターの音はよりダイナミックになり、マイクと口の距離や角度などもコータローと話しボーカリストとしての比重も大きくなる。僕は札幌と仙台でイメージした曲ごとのリバーヴを12種類ほど作った。
あとは曲ごとに照明の感じを確認しながら全体の流れを追う。「この曲はさ、赤っぽい感じのあかりがいいんだよな。佐藤クンそっちから見てどう?」「いいねぇ。でももう1色あってもいいかも」「じゃ照明さん、この後ろの青も少し足してもらえる?」
同期を使う2曲はもちろん、オープニングやエンディングのあかりのキッカケも今日は細かく指示を出す。コータローが目指していたと思われる、アコギ1本のエンタテイメントライヴショーの全貌が今夜ついにベールを脱ぐのだ。楽しみが増す。
f0210751_345239.jpg
開場1時間前にステージ側の準備が終わると、「佐藤クン、楽屋で一杯やろうよ!」とシャンパンを開け本番に備える。物販と記録映像撮影は、いつもお世話になっているチームナニワカのメンバーが手伝ってくれる。感謝!
来場者全員にプレゼントしたいとコータロー自らが自腹で作ったポストカードは、JANUSのスタッフが配布してくれるという。今日はほんとステージに集中出来る環境が揃った。
この日の開場後、グッズコーナーに長蛇の列ができ賑わっていた。失礼ながら大阪ではあまりお目にかからない光景で嬉しい。

ライヴは非常に完成度が高くメリハリのある2時間となった。MCも絶好調で、気分よくギターをプレイし歌っているのがわかる。もちろん札幌も仙台も楽しくプレイしていたのだが、初日の緊張感と仙台の窮地を乗り越え、さらにパワーアップした男の姿が浮き彫りになっていた。ステージや客席の広さなどまったく気にならないし、むしろスケール感があっていい。特に歌は本当に堂々としていて、ボーカリスト古市コータローが誕生した瞬間にも思えた。
f0210751_354615.jpg
本編ラストで興奮はMaxに達し、アンコールは楽曲を提供した森山公一も見守るなかでのBaby Moon。沁みた。
f0210751_361018.jpg
ライヴ後は何人ものお客さんに、大阪に来てくれてありがとうございました!と声をかけられる。とても嬉しいことだが、僕はただ、ツアーをやってみようというコータローの手伝いをしているだけなのでなんか恐縮してしまうが、それだけ待ち望まれていたのだということだ。

打上げはそのままJanusで。
M「いやぁ〜、ほんまいいライヴでした!」
K「のらりくらり、とBaby Moon、だいじょぶだった?」
M「サイコーでしたよ。特にBaby Moonはあんなえげつないタイミングで歌ってもらえて感激ですよ。ヒロさんもえげつなぁリバーヴかけるし(笑)」
K「確かに今日のリバーヴはきてたね。ステージにいてもわかったもん。きた〜って(笑)」
H「あら、かけすぎた?でもラスト3曲のあとでしかもあの照明なら、あの位が逆にいいかなと思ってさ」
K&M「いや、最高!」
H「森山も歌えばいいのに。いい曲なんだから」
M「コータローさんに大阪のブルース作れ!と言われて作りましたからねぇ(笑)。歌ってもええですかねぇ」
K「もちろんだよ。歌えよ!」
この2日後の森山のBDライヴでは、Baby Moonをコータローからもらったピックでセルフカヴァーしたようだ。とても色気のあるバージョンだったらしい。聴いてみたいな。

いい感じにアルコールもまわった頃だ。
「佐藤クン、今日さ、なんかつかんだよ。弾き語りのコツというかやり方というか」
「やっぱり?なんかギターも歌も完全に肉体化してたよ」
「マジで?いやぁ、かなり楽しいもんだね」
「そりゃよかった。でもあと東京だけって勿体ないよね」
「そうなんだよねぇ。せっかく慣れてきたのにあと2本だもんなぁ。もっとやりたいよ(笑)」
ワイングラスの中の氷がカランと音を立てる。まるでその言葉を祝福しているように感じた。




12/10(水)
この日で一旦解散。コータローは新幹線で東京へ。僕は飛行機で仙台へと戻る。


12/12(金)
代々木ザーザズーでの追加公演日。ブッキングの段階では翌13日にファイナル1回の予定だった。しかし東京公演はすぐに売り切れるだろうと予測していたので、コータローには2daysにしようよ!と言ってみたのだが、弾き語りだし1日でちょうどいいんじゃない?と返答されていた。
初めてのことなので確かに動員も読めない部分はあったが、せっかくの機会を見逃さざるを得ないファンの人が沢山いるかもと思うと、なんか諦めきれなかった。
店長のマティに相談すると、前日ならまだ空いているから仮でしばらく押さえておきましょうか?と言ってくれたので、本公演がすぐに売り切れるようだったらコータローを説得して追加公演を打とうと思い、予約日に結論出すからと仮押えしてもらう。
案の定チケット予約は1分で定員をはるかに上回り、追加公演をやらないと暴動が起きるよ!(笑)とすぐに連絡して、この日の追加公演が決まったのである。
f0210751_3761.jpg
今日の命題はあきらかだった。札幌で種を植え、仙台で土を耕し、大阪で芽が出た花を咲かせるのが今日である。
PAは通常のメインスピーカーに加えステージ前列用に2つ、そしてカウンター側にも1つ、会場内どこにいてもギターの音が響き、覚醒した歌声が聴こえるようにとセッティングする。
ギターを抱えたコータローが到着した。「今日もよろしく。ところでエンディングのSEなんだけどさ、流すタイミングもうちょっとだけ早いとどうかな?」もちろん賛成だ。実は僕も大阪のときに、決めていたタイミングよりちょっと早くSEを出したい衝動があったのだと答えた。こういうのは感覚に従ったほうがいいに決まっている。「リハの最後にチェックしてみよう!」
f0210751_372957.jpg
音決めはすんなりと終わり、あとは照明を作るために1コーラスずつチェックしていく。僕は大阪で試した12種類のリバーヴを今日は曲ごとに全部変えようと思っていたので、それを確認しながらのリハだ。照明が曲に合うシーンを作っていくのと同じように、気付かれない程度ではあるが1曲1曲をよりカッコよく聴かせる音作りにしたかった。それが出来るのはこういったツアーの醍醐味でもある。
f0210751_10360667.jpg
photo by shibaeri

ツアーグッズとして作ったバンダナは、客席から見えるようにドリンクテーブルから垂らそうとコータローが言った。小さいことではあるが、こういう工夫もツアー中の楽しみといえるだろう。
物販は関西からRちゃんが手伝いに駆け付けてくれた。
リハ後はキタくん、O氏も交え楽屋で景気付けの乾杯。キタくんが尋ねる。「コータローさん、やっぱり飲みながらやってるんですか?」「当たり前だろ。そのほうが声出るみたいだし」

万全の態勢で開場となり、続々とお客さんが入場してきてあっという間にフロアが満杯になる。この日もBGMは今回のためにセレクトした下記だ。
No Tell Lover _ Chicago / The Beauty Of You _ Camelle Hinds / Running Away _ Lindy Layton / It Ain't Over 'Till It's Over _ Lenny Kravitz / It's A Shame (ver.Europeenne) _ Clémentine / Have You Ever Had It Blue _ The Style Council / Got To Get To You Girl _ Jermaine Jackson / Digging Your Scene _ Ivy / Never Never Love _ Simply Red

ライヴは5分押しでスタート。
コータローは余裕すらあるように見え、完全にシンガーとしての佇まいを纏っていた。中盤頃、信ちゃん(浅田信一)が到着しPA席の僕の隣に陣取る。「どうすか?」「いい感じだよ!」
今回のアルバムを素晴らしいものにしてくれたプロデューサーの信ちゃんに敬意を表して、とセットリストに入れた彼のカヴァー「ローファー」の時は、急に隣でごそごそと上着を脱いだり落ち着かない様子だった。もし表情を盗み見て涙が見えたら僕も泣いちゃうんじゃないかと思って顔は見ないようにした。何より名曲だし、相当にハートのこもった熱唱だったのである。
新譜からの曲の時は、隣でハモリパートを歌う信ちゃん。レコーディングを思い出しているのだろうか。トークバック用のマイクを向けてそれをスピーカーからこっそり出してやろうかと思うほど贅沢なPA席であった。隣にはヴィオラ奏者の田中景子ちゃんも来てくれている。

客席ドリンクカウンターの方に目をやると、ソトマル(外丸兼次・健児)もいた。コレクターズと僕がちょうど出会った24~5年前、外丸はバレットというバンドをやっていた。仕事でも絡むことになるのだが、僕がギターを弾いていたバンドとよく対バンした仲である。コレクターズと同じ事務所の時もあった。
彼は数日前、仙台公演の打上げで僕がFacebookに書いたチョーキーの文字に反応し、としはる!?とコメントをくれた。バレットの初期、アイゴンがギターでチョーキーがベースだったのだ。そしてコータローの東京はいつ?と訊いてきたので、たまには来なよ!と声をかけていた。
f0210751_03233204.jpg
ライヴは、大阪での完成形がより緻密にダイナミックに進化していた。気心の知れたスタッフがいる慣れたハコというのも安心感があったと思う。
MCでは「明日で終わりかぁ。寂しいなぁ〜」と言っていたが、これだけのライヴを観せられたら誰もがそう思うのではないだろうか。もちろん僕も同じ想いだ。
エンディングSEクラレンス・ブラウンのSame Old Bluesが鳴り響くなかポーズを決め去っていくコータローは、映画スターのようでもある。彼が目指していたアコギ1本でのライヴショーは、この日完全に1つのパッケージとして結実した。
f0210751_03255168.jpg
打上げには信ちゃんやキタくんや外丸も参加してくれた。外丸とコータローはアマチュア時代からの仲間だったという。あの頃は毎日つるんでたよねと、外丸は当時のちょい悪バカ話をいくつも繰り出す。その記憶力もすごいが、エピソードが今にも当てはまるから、変わってないのだなぁ〜と笑ってしまう。とても嬉しそうでよかった。30年ぶりに一緒に飲んだ様子は外丸がブログに書いてくれた。
f0210751_03264760.jpg

先に帰った外丸から夜中にメールがきた。「今夜のコータローの猫手アコギ、さとうマジックでエエ感じでしたよ」パンクスなのに可愛いやつだ(笑)。
f0210751_03275577.jpg
明日もあるからとそれ程深い時間になる前にお開き。信ちゃんが「明日何時入りですか?」というので「4時前かな。早く来れるの?」というと「ヒロさんの手伝いしに4時に来ますよ(ニヤニヤ)」
みんなと別れ新宿のホテルまで歩く。ちょっと遠いが夜風に触れながら帰りたかった。札幌に前乗りした時からちょうど1週間。あの時はツアーが一体どんな感じになるのだろう?と本人も僕も手探りだった。正直僕は、コータローの初チャレンジが無事に終わってくれればいいな、とにかくステージに立ってギターを弾き歌ってくれさえすれば今回は成功だと最初思っていた。しかしハードルを飛び越えるとまた高いハードルを設定するドMっぷり全開の主役に引っ張られ、なかなか見ることの出来ない風景を楽しませてもらっているなと実感する。
f0210751_03595053.jpg
歩きながら脳内はこの1週間を再生していた。大ハプニングもあり決して綺麗な訳ではなくどちらかといえば奮闘に近いのかもしれないが、巧妙に構成された連続ドラマのようだ。タイトルはやはり「Whisky Man Blues」だろうか。もしくは「ソロ市・大冒険」とか。
明日の最終回はどんなドラマが待っているのか。早く結末が見たいような、永遠に終わって欲しくないような複雑な気持ちになる。新宿高層ビルの明かりが霧に反射し、万華鏡のように目映く揺らいでいた。




12/13(土) ※photo by shibaeri
氷入りの白ワインを飲みながらコータローが僕の肩をつかむ。
「佐藤クン、ブルースだったねぇ〜!」
打上げでのこの一言が、まさにこのツアーを物語っていた。
「コータローがMCで言ってたけどさ、おれも終わるの寂しくて昨日あんまり眠れなかったんだよね(笑)」「やっぱり?しかしさぁ、仙台の一件が効いたね。いま思えばあれが逆によかった」
ツアーファイナルは予想をはるかに上回る素晴らしい出来となり、テーブルには空になったワインボトルが無数に転がっていた。
f0210751_03491390.jpg
ツアー最終日、どこか落ち着かず入り時間より少し早く僕は会場に到着した。間もなくコータローも早めにやってきたが、会場が空いておらず外で立ち話をしながら待つ。こんなこともひとつの思い出になる。
ステージやPA・照明も昨日のセッティングのままなので、今日は準備がほとんどない。リハというよりは総決算の仕上げというか、そんな感じで音と照明は最終確認と修正をしていく。コータローは声出しとギターの指慣らしかと思いきや細かいフレーズも練習していた。
f0210751_03484287.jpg
サウンドチェックが始まるころ信ちゃんもやってきた。ステージに上がり足下ではなく両脇に離して置いたモニターを聴いている。「コータローさん、このセッティングは思い切りましたねぇ」「アコースティックならこれ悪くないね。ナチュラルに聴こえてやりやすいかもよ」「なるほど〜」
今度は客席に座って音を確認し、僕のいるPA席まで来た。「ほんのちょっとだけ中域上げたらどうなんすかねぇ?」「モノ足んない?」「いや客入れして吸われたら抜け悪くなるかなと」そんな話をしてちょっとイコライザーをいじる。うむ、確かにこっちのほうがいいかもしれない。さずが名プロデューサーだ。
f0210751_03503448.jpg
「コータロー!ギターの感じちょっと思い付いたことあるから曲によって少しいじっていい?」「もちろん。任せるよ!」この日はボーカル用にリバーブ20種類、ディレイ5種類、ギター用にリバーブ8種類を準備した。綿密に準備をし微調整はライヴの瞬間的なグルーヴに合わせ臨機応変に。
スチール撮影にはしばえり、ライヴ収録に池24の土田Dも来てくれている。「青い風のバラード」を作詞したせきさんも福岡から駆け付けた。リハが終わる頃には仲間たちが集まってきて、ファイナルの雰囲気ぷんぷんである。もちろん楽屋では酒盛りがはじまった。

ドアオープン。あまりギュウギュウにならないようスタンディングスペースを広くとったが、それでも窮屈な思いをさせて皆さんには申し訳なかった。
本番直前のチューニングには信ちゃんがステージへ。
f0210751_10491956.jpg
f0210751_03514051.jpg
この日の演奏はしなやかさが上乗せされていた。とても自由にみえる。
「あてのない影」「Nothing or Something」「青い風のバラード」「のらりくらり」「涙はいつも遠くに光る」「Slide Away」「この夜」
f0210751_04051153.jpg

メロウな曲が並ぶ前半戦に続き中盤にはカヴァーを3曲。ダイナマイツにTスクエアにゴールデンカップス。
そして同期を使った「Everyday Everynight」「Monochrome Girl」で変化をつける。
ボツになったカヴァーを数曲歌ったあと「Oh! My Dear」
f0210751_03580694.jpg
MCではこれからSSW(シンガーソングライターの略)と職業欄に書くかとか、ボーリングが得意だとか、ツアーを振り返ることなどなく思い付くままの話題を喋る。ただ、最終日になるのが嫌で眠りたくなかった…とか、終わっちゃうなんてさびしいなぁ〜、といった本音も覗かせた。
僕の隣に座って見守る信ちゃんは「ライヴも素晴らしいし音もバッチリですね!」と親指を立てる。

後半への導入部は今回の新譜のプロデューサーでもある浅田信一の名曲「ローファー」。続いて「君がいたら…」「Heartbreaker」と歌に真っ向勝負を挑んでいくセクションだ。本当に歌が板に付いてきて、ずっと前から弾き語りをやっている人のようだ。
その後「それだけ」「いつかきっと」で会場のボルテージは上がり、「Mountain Top」では圧巻のギタープレイにフロアから溜め息と歓声がわき起こる。本編最後にギタリストとしての魅力をギュッと真空パックしてみせる。
f0210751_03582131.jpg
そしてアンコールでのムードあふれる「Baby Moon」で夢心地にさせるという、最高のセットリストではなかったか。
f0210751_03544314.jpg
ファイナルということもあり拍手が鳴り止まず、この日はダブルアンコール。もうやる曲がないと言いながら再びの「Heartbreaker」でツアーは幕を閉じた。
f0210751_03551012.jpg
感無量とはこのことだ。一瞬放心状態になったが、すぐに後ろの照明卓のIちゃんにお礼の目線を送る。バッチリだったよと。
ツアーを全制覇した人はどの位いたのだろう。図らずも1本とて同じようなライヴは無かった。どれもが違ったその瞬間最高のパフォーマンスで、すべてがレアなものになったと思う。ライヴの空気感を大事にする彼らしい5本だった。
f0210751_04012331.jpg

打上げはさすがに人も多かったので、しんみりならずに済んでよかった。全員が笑顔だ。
ツアー成功記念に写真を撮ろうと提案する。初のチャレンジを成功させたコータローにふさわしく、記念写真もこれまでに無いものをと思った。お姫様抱っこしか思い付かなかった(笑)。
「おれ案外重いよ!」「いや大丈夫。持ち上げたら3秒でシャッター押して〜!」まわりが沸いていた。
何度見ても笑ってしまうが、このツアーを象徴しているようでなかなか気に入っている。
f0210751_04001411.jpg
先述の、ブルースだったねぇ〜と話したあと、コータローはこう続けた。
「ほんとにやってよかったよ。マジで楽しかった。機会があったら、またやってみたいなぁ」

僕は心の中で、連続ドラマのエンド画面を「Fin」から「Continue」に書き換えた。

thanks to everyone.





[PR]
by higehiro415 | 2014-12-21 04:11 | 音楽